Does Anybody Really Know What Time It Is ?
/ Chicago
シカゴは、1969年にデビューしている。
いわゆるブラス・ロックと言われるホーン・セクションを
フューチャーした独特のスタイル、そして鋭く社会問題に
斬り込むポリティカルな歌詞で人気を高めていった。
シカゴのアルバムデビューは1969年4月28日にリリースされている。
このアルバムは二枚組、しかもほとんどの曲が政治色の濃いものに
なっているので、現代の感覚からするとちょっと異様だ。
1960年代末、アメリカ国内では反戦運動がピークを迎えていた。
アメリカのベトナム戦争が正念場を迎えていた
1969年に大統領に就任したニクソンは、
ベトナム戦争を縮小する方向を模索しつつあったが、
実際の現地での戦闘はなおも泥沼の様相を呈していた。
シカゴのアルバムデビューから二週間後の5月10日、
ベトナムの都市フエ西方のトゥアティエンの高地では、
ベトナム戦争史上もっとも凄惨な戦闘が始まった。
その高地は米軍兵士から「ハンバーガー・ヒル」と呼ばれるようになった。
混沌とする社会情勢を背景に、
1960年代後半、フォークとともにロックは反体制のシンボルだった。
ロックは、自由、解放、反戦、革命などを象徴するアイコンでもあった。
このアルバムからは、「社会の現状」を打破し、
よりよい未来を目指そうとするのはロックの社会的使命なのだ、
と言わんばかりの強い信念が感じられる。
真正面から政治と向き合うスタンス。
まっすぐに社会を見つめる視線。
60年代後半には、体制批判、戦争批判は
ごくありふれた光景だった。
それから十年余りの時が流れ、社会もロックも変わっていった。
シカゴと言えば、「メロウなラブバラード」を連想するように、
もはやAORのソフトロックのイメージの方が強くなってしまった。
もちろんこのような変化は、シカゴに限ったことではない。
この時期のミュージック・シーンでは、よく見られた光景だったのだ。
むしろ、音楽よりも社会全体が十年余りで
大きく様変わりしたことの方が重要だ。
さらに時は流れてあれから40年。
社会も人々も、そしてロックにも、もはや当時の面影はない。
もうあのような時代は来ないのかもしれない。
しかしそのような社会の姿、ロックの姿を記憶にとどめておくことも、
また大事なことではないかと思う。
今回の曲は、シカゴのデビューアルバムの中の名曲、
「いったい現実を把握しているものはいるだろうか」
Does Anybody Really Know What Time It Is ? (1969)
参照例URL↓
http://youtu.be/up756wj93rQ