片便り | 出ベンゾ記

出ベンゾ記

ベンゾジアゼピン離脱症候群からの生還をめざして苦闘中。日々の思いを綴ります。

往復書簡の反対語は何かと、ずいぶん考えた末に、こんな言葉を思い出して、一筆したためました。


なにしろ、そちらのブログでは、コメント欄が閉鎖されていて、大事なことをお知らせしようにも、なかなか方法がないのです。


最初にあなたのブログに注目したのは、お名前が、私の敬愛してやまない久生十蘭の傑作からとられていたから。



その後、十蘭復権の立役者の一人・中井英夫の超傑作『虚無への供物』を、年末になると毎年お読みになると書かれていて、唸ってしまいました。



私は6回しか読んでいません。


さて、こんなことは前置きに過ぎません。


学生の頃、私はほんの短い間、中井英夫と文通していました。そのきっかけはと言えば、私が拙い中井論を書いた同人誌が、作家自身の目に触れたからです。新宿・番衆町にあった「詩歌句」という酒場に、その同人誌は置かれていたのです。





私が「詩歌句」に出入りするようになったのは、院生の先輩の紹介の結果でした。


この店に、私は入りびたりとなり、数年というもの、ほとんど毎日、顔を出しておりました。


ある時、5時の開店を待ちかねて飛び込むと、すでに強烈なオーラをまとった女性がいた。店主の伊東聖子さんの紹介で、その人が中国文学者の中野美代子であることを知りました。


あるいはこのとき、中野の学生であったあなたと、私は出会っていたのではないでしょうか。


伊東聖子の著書『新宿物語』はあなたもブログで紹介されていましたが、恐ろしくデフォルメされたかたちで、私も一章分、登場します。


あれは小説ですね(笑)


ところで、最近、「詩歌句」の跡地を求めて、幾度も番衆町界隈を彷徨っておりますが、未だ確認するに至りません。



たしかに、このビルの脇を下ったはずなんですが。