市ヶ谷駅のほうから、靖国通りを九段下まで下ってくると、日本橋川にかかる俎橋を渡ることになる。マナイタバシと読むんだが、この傍にエメラルドグリーンのビルが建った。しばらく前のことだ。
昨年の晩秋だったか、近くまで行ってみると、これが専修大学の140年記念館という建物であることがわかった。2020年竣工。日建設計。
この一帯は専大関係の施設が10棟ほども固まる、専大の領土みたいなところだが、1号館はまだ明大リバティタワーも法大ボアソナードタワーも無い時代に、伝統校としてはかなり早い時期に採用された高層ビル校舎だった。
その専大140年記念館の足下に、上のような看板が立っている。
こんな地名だったのかと思うばかりだが、通称九段下ビルとあって、なるほどそれならばわかる。
一目で復興建築と知れる有名なビルだったからだ。
なお、85年のビルの歴史のなかで特筆すべきは、戦前、このビルにタイヘイレコードの録音スタジオが開設され、かなりの数の軍歌や戦時歌謡のレコードが制作されたことか。
知られていない逸話が、まだまだ埋もれていそうである。