肺癌手術の後、医師から呼び出しがあり、父と妹と3人で宣告を受けました。
「肺癌とリンパに3箇所の転移がみられました。余命はあと半年程度です。抗癌剤治療を頑張れば、1年は生きられるかどうか…というところです。」
頭の片隅で、乳癌のときのように「転移なし、完治です」と言われるような気がしていて、突然の余命宣告に頭が真っ白になりました。
年齢を重ねる度「1年なんてあっという間」とよく言いますが、母に残された時間はその「あっという間」しかなくなってしまった。
ただ、抗癌剤が奇跡的に効いたら、まだ可能性があるかもしれない…と家族みんなで母を支えていくことを誓いました。
その後、術後、毎日入院している母に会いに行きました。
日に日に痛みや苦しさは緩和していき、4日後くらいに母に笑顔が戻りました。
そして、5日後に退院が決まり(まだ完全に回復していないのに?と思いましたが、最近はすぐに退院させるようです)
私も仕事の関係上、遠方に帰らなくてはならない日となりました。
最後の日、病室のカーテンを開けると、突然母が泣き出しました。驚いた私は、母になぜ?と問いかけると、
「〇〇ちゃんが来るとね、エレベーターの方からコツコツ、コツコツって足音がするの。『あぁ!!きたきた♪』と思って
毎日嬉しいの。帰るときは、コツコツと遠のいていく足音が寂しい。毎日、毎日、家のことも大変やのにありがとうね。」
目頭が熱くなったけれど、母が私のことを頼りにしていることはわかっていたので、あまり泣いて
心配をかけたくなくて、ぐっとこらえました。未だにこのときのことが忘れられません。
遠方に嫁いでしまったことを、初めて後悔しました。
私は幸運なことに大好きな人と結婚でき、夫も同じような想いで大切にしてくれる人です。
彼と結婚するためには、遠方にいくしかなかった。父も母も全く反対しなかった。「○○ちゃんが幸せならそれでいい。」
そういう人たちなのです。
出来れば近くで看てあげたい。今まで亭主関白で家事なんてやったことのない父と、何も出来ない歳の離れた妹のことも心配でした。
私の判断は正しかったのか、新幹線の中で、涙が止まりませんでした。