
note記事からの転載です。
おもちゃ病院で、トランジスタ回路セミナーを開催したのは昨年の4月から10月です。
しばらくお休みして、2年目のセミナーを4月から第4土曜日に筑紫野市のカミーリヤで開催しています。
去年の5名はそのまま、2名新規に参加されたので、合計7名のメンバーになりました。
人数が増えるとサポートが大変なので、これぐらいの規模感がいいですね。
お題は、昨年のトランジスタ電子回路から、より実践的な「センサ・駆動系マスター (アナログ系) 」としています。
4月の第一回は新規参加者のために電子回路の基礎のおさらい、第二回はスイッチの動作、第三回は光センサ、第四回はTTP223を使ったタッチセンサについて勉強しました。
今回のセミナーのお題はこちらになります。
おもちゃドクター向けハンズオン電子回路セミナー第5回 タイマー回路
前回は、「障害児の遊び支援」活動をしているおもちゃドクターから、
「TTP223というタッチセンサを使って、おもちゃの犬のスイッチのON/OFFをしたい。」とのことだったので、それを題材にしました。
でも、タッチセンサだと、タッチした瞬間しか動きません。
タッチで動き出したら一定時間そのまま動作するようにした方がいいと思います。今回はタイマーICの使い方を実習します。
これで、センサ出力を使って、一定時間連続で動作するためのタイマー回路を作ります。
1.タイマーICとして有名なNE555(TLC555)の使い方
NE555タイマーICは、50年前にシグネティクス社が開発した古典的なアナログICです。
このICを使って、① 発振器、② タイマー、③ フリップフロップ の3種の使い方ができます。よく使うのは、①と②で、下図に使い方を説明します。
1.発振器: 抵抗とコンデンサで周波数を決定し、可変範囲は数Hz~1MHz程度
2.タイマ: TRIGピンに”L”エッジを入力すると、一定時間OUTが”H"になる
ワンショット・タイマとして動作します。可変範囲は数uS~数時間
になります。
・元祖のNE555と今回使用するCMOSのTLC555の比較表を示します。
TLC555だと3V電池駆動できますし、消費電流も小さいです。
2.タイマーIC NE555(TLC555)の内部回路
次に555タイマーICの内部回路を参照して、回路動作について説明します。
① まず内部はVCCから、5kΩの抵抗が3個直列に接続されて、GNDにつな
がっています。これが555という名前の由来とのことです。
この3つの抵抗で1/3Vcc、2/3Vccという基準電圧を作っています。
② 上側の2/3Vcc以上でONするコンパレータ1と下側の1/3Vcc以下でONする
コンパレータ2の2つのコンパレータ(電圧比較器)があります。
③ RS-FFは下のコンパレータ2がONするとセットされ、上のコンパレータ1
がONするとリセットされます。
④ DISCH(ディスチャージ)端子は、RS-FFがリセットされると端子に接続
された、RC時定数回路のCを放電します。
⑤ OUT端子は、RS-FFがセットされると出力が”H"(Vcc)になります。
3.555タイマーICのタイマー動作
タイマーとして使う場合の接続と、その動作です。
・電源ON直後はRS-FFはリセットになり、OUT端子は”L"になっています。
・ここで、スイッチを押してTRIG端子が1/3Vcc以下になるとRS-FFがセット
され、DISCH端子がOFFになり、Cへの充電が始まります。
CにはRaを介してVccから充電されます。この電圧はTHRES端子にも接続
されて、上のコンパレータ1が電圧を監視しています。
右の動作波形のTHRES(充電電圧)を参照ください。
・充電が進み、C電圧が2/3Vccを超えると、上のコンパレータ1がONし
ます。RS-FFはリセットされてOUT出力が”L"になり、DISCH端子がON
になってCは放電され0Vになり、次のTRIG入力を待ちます。
タイマー時間Tは、下記の式になります。
T = 1.1・Ra・C
ここまでが555タイマーICを使ったタイマ動作の説明になります。
4.555タイマーICの発振回路
次に555タイマーICを使った発振回路の説明です。
下図の上が発振回路になります。
下のタイマ回路との違いは、DISCH端子とTHRES端子の間にRbが入ったことと、TRIG端子にCの充電端子が接続されたことです。
この動作について説明していきましょう。
電源ON直後は、Cの充電端子は0Vから始まります。
Cへの充電はRa+Rbを介して行われ、下記のRaはRa+Rbになります。
V(THRES)が1/3Vccを超えて2/3Vccになると、上のコンパレータ1がONし
ます。RS-FFはリセットされ、DISCH端子からCは放電されますが、間に
Rbが入っているので、下記の式に示すCxRbの時定数で落ちていきます。
電圧が下がってTHRESが1/3Vcc以下になると、下のコンパレータ2がONし、OUT出力が”H"になるとともに、DISCH端子がOFFになって放電が停止し、今度は再び充電を開始します。
これを繰り返して、発振動作を行っています。
発振と言うより、マルチバイブレータの動作と同じですね。
5.555タイマーICの発振回路を使ってフラッシャを作る
発振回路で約1秒周期で点滅するフラッシャを作ってみましょう。
RCの時定数から、1秒周期なら、Ra 100kΩとC 10uF、あるいは10kΩと100uFくらいの組み合わせが適当でしょう。RbはRaの1/10にします。
今回は100uFとRa=10kΩ、Rb=1kΩにします。
T ≒ 0.69 (C x(Ra+2Rb))=0.83秒で、点灯時間は≒0.069秒です。
点灯時間が短いので注意してください。
出力OUTには、LEDを制限抵抗330Ωでつなぎます。”L"で点灯するように、
Vcc側にLEDをつなぎます(タイマーの時は逆に”H"で点灯です。要注意)
LEDフラッシャの回路図です。
LEDフラッシャのブレッドボード接続図です。
さぁ皆さん、組み立てをお願いします!
動作したら、オシロの使い方もデモします。
充電・放電波形が見える化して、よくわかります。
6.555タイマーICで10秒タイマを作る
次にスイッチを押したら、10秒間ONするタイマーを作ってみましょう。
RCの時定数から、10秒周期なら、Ra 100kΩとC 100uF、あるいは1MΩと10uFくらいの組み合わせが適当でしょう。
今回は100uFとRa=100kΩにします。ON時間 T = 1.1Ra x C ≒ 11秒です。
10秒タイマの回路図です。
10秒タイマのブレッドボード接続図です。
これらの内容で、今回のセミナーを行いました。
シングルMOS FETドライバによるモータ駆動は、今回は時間切れで各自の持ち帰り宿題にしました。
前回のタッチセンサで実習済みだからいいと思います。
ちなみに今回のセミナー資料は下のGoogleドライブに入れています。
https://drive.google.com/file/d/1wkiNGBSy4xzKe0zxx3h0I9YHatO3EpFd/view?usp=sharing
来月のお題は、Hブリッジによるモータ正逆転を扱う予定です。
TIのHブリッジICを使った制御を実習する予定です。
時間があれば、Arduino Nanoを使って、PWMとかも実習したいですね。
それでは、また次回 !
参考にした資料
555タイマーICの内部動作やタイマー回路、発振回路については、こちらの記事を参考にしました。詳細な説明資料で非常に参考になり感謝です。
自分にとって、いまさらNE555と思っていたのですが、実際に詳しく調べると深いですね。
アナデジ太郎の回路設計
「〖発振回路も解説〗タイマーIC 555の動作原理と使い方」