トドお父さん通信

トドお父さん通信

北部九州在住 高BMI中高年のオタク趣味の活動記録

はじめに・経緯

前回 【電子工作】コンパクトな水晶発振子チェッカを作りました(その1)

の続きです。

David Johnson-Davies 氏の ATtiny414 を用いた 100MHz 周波数カウンタの記事をもとに、CR2032電池を使ってコンパクトなケースに入れました。
“Frequency meter based on an ATtiny414 measuring an input of 100MHz.”
http://www.technoblogy.com/show?20B4)

 

1. 仕様

  • ケースはタカチのSW53(外形:53x36x11mm)を使用

  • バッテリはCR2032ボタン電池で3V 約 220mAHを供給

  • タクトSWで電源ON。もう一度SW押すか、60秒無信号で電源OFF

  • 電源OFF時はスリープで0.2uA以下、動作中は14-15mA

  • ATTINY1614マイコンと発振用に74HC1GU04を使用

  • 表示は128x32 OELD液晶モジュールで8桁を表示

  • ジャンパーピンで周波数カウンタと水晶発振子チェッカを切り替え
    水晶チェッカ:1~30MHz (ATカット)ジャンパーピンあり
            32.768kHz (Xカット) ジャンパーピンなし
    周波数カウンタ:1Hz~100MHz

2. 回路図
 
今回の回路図を下に示します。

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Davidさんのもと回路図と比較すると、違いは下記になります。

  1. 電源ON/OFFのタクトSW追加 →PA5に入力

  2. CR2032用 電池ボックスを追加

  3. 外部に水晶発振回路を追加 → PA3(EXTCLK)に入力

  4. Sleep時低電流化のため、発振器電源(PA6)LCD電源(PA1)を追加

  5. PA1-PA2をインバータにしたイベントシステムで構成した発振器は廃止

  • 周波数カウンタと発振器による水晶チェッカの切り替えは3Pヘッダピンをつけました。
    発振器出力をジャンパーピンでPA3に繋ぐか、ジャンパーピンを外して、ミノムシケーブルで測定対象に接続するかを切り替えます。

  • 発振器の定数は前のポストで検討した内容です。切り替え用の2Pヘッダ
    ピンで、MHz用のHC49-U等の水晶を使うときはジャンパーあり、32.768kHz等のXカット水晶を使うときはジャンパーを外します。

    水晶のソケットは、IC用の丸ピンソケットをXin Xoutそれぞれに2個ずつ付けて、水晶を本機に刺しやすくしました。

3. 部品リスト

部品リストは下記です。GoogleドライブにもUPしました。
2千円~3千円くらいでできるのではないでしょうか?

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タカチSW53ケースも、マルツに部品を注文する時に一緒に注文してくださいね。
フリスクと同じくらいのサイズで、120円くらいです。
ケース加工失敗したときのために複数注文が吉です。
 

4. 基板の組み立て

部品がそろったら基板を組み立てます。
タカチのSW53の内径は46.2x29.2x5.9しかありません。

まずは、秋月のフリスク基板 (56.5x32mm) をこの大きさに切り取ります。

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基板サイズがケースに入る大きさになったら、CR2032電池ケースと大物部品をハンダ付けします。
ATTINY1614と74HC1GU4は、一旦DIP変換基板に載せてから基板に実装します。(数ピンだけ止めればOKです)

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続けてCR類の実装と配線です。
実装面積がないので、チップ部品を使ってハンダ付けします。
(R2 10MΩだけは、Aliで注文した足つきの1/8W抵抗を使いました)

配線は細いAWG32のジュンフロン線を使って、裏の厚みを増さない
ように注意しながら主に表側に配線していきます。

表で収まらない部分は一部裏に配線しました。(C7.C8 15pFのみ)

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裏の配線はこんな感じです。コネクタの足は短くニッパーで切ります。

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5. ケース外形図と部品配置・穴加工の検討

次はケース加工です。
タカチのSW53は外形は53x36x11ですが、内径は46.2x29.2x5.9とあり、
高さが約6mmと絶望的に少ないです。

まずはIlIustratorで部品配置図を作って、配置を検討しました。

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LCDパネルがCR2032電池に干渉します。

LCDの裏を見ると、裏面に部品が実装されてないエリアがあります。
ここを電池の上に置けば、ギリギリいけるかも?という感触です。
ダメな場合は、LCDパネルをケースの上に置きましょう!

LCDガラスの部分は12x26mmなので、ここをケースの上部にはめ込めれば
少しはマシかもしれません。(実際はFFCの部分も逃げないとダメでした)

次はこの配置に沿ってケース加工図を作ります。
こんな小さいケースで角穴加工とかできるんでしょうかね?

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LCDの灰色の部分、およびタクトスイッチとLEDの丸穴、水晶ソケットとジャンパーのヘッダの部分の穴を開けていきます。
 

5. 穴加工

さぁ、楽しい(苦しい)ケース加工の始まりです。
まず、印刷した加工図を両面テープでケースに貼ります。

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丸穴は、ポンチ代わりにΦ1.5mmのドリル歯で穴を開けて、その後にΦ3とか、

Φ4の穴を開けます。(タクトスイッチはΦ4.5でよかったです)

角穴については、四角の内側に丸穴を開けていき、横をつないで割る作戦
です。 きれいな直線になるようにヤスリで削っていきます。

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Φ1.5mmのドリル歯を使いました

穴の間をデザインナイフを使って繋ぎます。

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開きました! これから平ヤスリで削って平面に
します。慎重な作業が要求されます。

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ヤスリで削りましたよ。LCDのガラス部が入るか確認します。

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ガラスの横幅26mmでしたが、左側をFPCの分+4mm余分に削る必要が
あることが現物合わせで分かりました。

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これでOKになりました。
お疲れ様です!

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次は下のL型の水晶ソケットとジャンパーのヘッダの部分の穴
の加工です。
カーバイト歯とハンドルータで加工します。(歯医者さんでつかっているアレです)

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ハンドルータでは力が弱く、らちがあきません。
やっぱ、強力な助っ人を呼んできましょう。

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ドレメルのルータ、やっぱり強力です。
平ヤスリで仕上げます。

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加工が終わったら加工用の紙をはいで、化粧用の紙に貼り変えます。

これで、すこしはマシに見えるでしょう。
これを貼る前に、穴の部分はカッターとデザインナイフで切っておきます。

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今回使ったイラストレータのPDFは下に置いておきます。

https://drive.google.com/file/d/1fQSnnQOSc9EtImxGs1JIocgwQcUjjTe5/view?usp=sharing

 

6. 組み立て

基板の配線が終わってケースができたら、基板をケースに組み込みます。
LCDを上フタの穴の裏に両面テープを貼って、事前に取り付けます。

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LCD基板の裏には、CR2032電池とショートしないよう絶縁のカプトンテープを貼ります。

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これでフタをすると…….パチリ、と裏ブタがしっかり閉まりました。
裏に取り付けた水晶のC6、C7 15PFチップコンの高さが心配でしたが、
そのままでもなんとかなりました。

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少し浮き気味なのはご愛敬です

ギリギリですが、高さがなんとか6mmくらいに収まったようです。
よかったです!
 

今回のまとめ

  • 秋月のフリスク基板を使って回路を組み立て

  • SW53 ケース加工

  • 基板のケース組み込みとラベル作成

今回は思惑通り、非常にコンパクトなケースに100MHz周波数カウンタと
水晶チェッカが組み込めたので、ちょっと嬉しいです。

次回は今回の残り、動作確認と最終調整です。
水晶チェッカ動作中とSleep中の電流確認と発振回路の微調整を行いたいと思います。
周波数カウンタとして、本当に100MHzまでカウントできるかも確認します。

それでは、次回をこうご期待!

 

最近の電子工作の記録はNoteにまとめることにしています。 
 完成写真(ネタバレ注意!)
 

今回は、おもちゃ病院などでの修理治具としてコンパクトで省電力な水晶発振子

チェッカー(兼周波数カウンタ)を作りましたので、そのレポートです。


今回のこのプロジェクトのベースとなっているのは、David Johnson-Davies 氏の 

ATtiny414 を用いた 100MHz 周波数カウンタの記事です。
“Frequency meter based on an ATtiny414 measuring an input of 100MHz.”
http://www.technoblogy.com/show?20B4)。

 



まずは、手持ちの ATtiny1614(ATtiny414のフラッシュ16kB版)を用いて、

ブレッドボードでDavid氏の非同期TCD 1秒ゲート方式周波数カウンタを実際に作り、

これにタクトスイッチでON/OFF (スリープ) するロジックを追加することにしました。

また、32.768kHzの時計用の水晶もチェックしたいので、発振器は外付けにしました。

 



まずは元の周波数カウンタをブレッドボードに組んで動作させます。16MHzの水晶が発振し、15.9977...と表示しました。
ここからスイッチや外部発振器を加えて、プログラムを改造していきます。
 

スイッチを使って動作中とSleepを切り替える、また数十秒入力がないときは

Sleepするプログラム改造は、ChaNさんの回路内導通チェッカを参考に組み込みます。
このブログでは、この記事ですね。

 


この中のSleep制御を今回のプログラムに組み込んでいきました。

今回の完成したプログラムはgistにUPしています。
todopapa/100MHZ_FREQ_METER_260408c.ino

プログラムの変更内容は末尾に載せた note記事のリンクを参照ください。

省電力化の検討

今回はCR2032電池で駆動しますので、できるだけ省電力になるように回路とソフトを検討しました。

  • ATTINY1614のピン割り込みで、スイッチを押したときに起動して、Sleep時は極力電流が流れないようにする。

  • 発振回路は74LVC04や、74AHCU04より消費電流の少ない74HCU04で
    設計します。さらに電流消費を減らすためにVccに100Ωを挿入します。

  • LCDの待機電流は数10uAと小さくありませんでした。
    発振器と同様に、ポート制御でSleep時は電源をOFFし、起床時にON
    するようにしました。立ち上がりが少し遅く感じるのはそのせいです。

  • 空きポートは出力に設定し、”L"にします。

発振回路の検討
Davidさんの元プロジェクトでは、ATTINY内蔵のイベントシステムを利用して、

PA1とPA2間でインバータを作って外部回路なしで水晶チェッカを構成しています。

 2MHz~20MHzまでの水晶の発振確認ができます。

非常にいいアイデアで面白いのですが、今回の水晶チェッカではもう少し
周波数の適用範囲を広くしたいので、発振回路は外付けにしました。
京セラさんのこちらのPDF技術資料を参考にしました。
https://share.google/OjOgbdeYOrG7h31R4


この回路がよく見るCMOS TTLを用いた水晶の発振回路ですね。
TTLの入力と出力を1MΩの帰還抵抗でアンプにします。

 

 

この表が重要ですね。RfとRd(制限抵抗)の値が表になっているのはありがたいです。

Rf=1MΩ、Rd=0~1.5kΩです。
負性抵抗Rxは普通いれないですよね(0Ω)。異常発振とかの場合は入れるそうです。
 

C1, C2の値は、水晶のCLによって変わります。(MicroChip資料)

これもユニバーサルな定数を決めるのは難しいですが、想定するHC-49/U水晶のCL=15PFとすれば、浮遊容量を4PFとすると22PFになります。

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この内容で決めた下記の回路を基板に組んで、事前確認を行いました。

デバイスも最初は74VHC1GU04を使ったのですが、待機中に10何mAも流れるので困りました。発振させるだけですからね。

次に74AHC1GU04を試しました。こちらも7-8mA流れるので、最終的に74HC1GU04になりました。
これなら、5-6mAしか流れない上に、電源ラインに100Ω入れてさらに電流を抑えたので、4-5mAの消費で済むようになりました。

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32.768kHzの発振で問題発生!

ここで問題が発生しました。
通常のHC49/Uの水晶なら問題はなかったのですが、時計用の32.768kHzの水晶が発振してくれません。

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一般的なHC-49-U水晶と時計用の32.768kHz 円筒型水晶


32.768kHzの発振回路の検討
この件については、同業者(笑)の安孫子おもちゃ病院のHPに詳しく書かれていました。
水晶発振子の動作確認用発振回路の製作(その2)
32.768kHzの水晶って、MHzオーダーで使われるATカットの水晶と違って、音叉型なんですね。Xカットというらしいです。

AI君にお伺いを立てると、「時計用の水晶はESRが数十kΩと大きく、また大きな励磁電力を流すことができない。ESRが数百Ωと小さいATカットの水晶と違う」とのご回答でした。

ネット上で、前の会社で設計時にお世話になっていたアナログデバイスのTNJ-099という技術資料を見つけました。(石井先生、お世話様です)

 
記事によると、石井先生も駆け出し時代に32.768kHzの発振に苦労した経験があるとのことでした。

当時はCMOS ICも4069、帰還抵抗も1MΩあたりを使っていたからでは?ということでした。
時計用の水晶は励磁電力の許容量が小さいので、制限抵抗Rdを100~470kΩと大きくすることも大事で、小さいと壊してしまうこともあるとのこと。

さっそく、この定数に変更して時計用の水晶をつなぐと、こちらもあっさり発振しました。

ブレッドボードでは、この定数でもMHz用のHC49-Uが発振したのですが、
どうも不安定です。

基板に組むと、Rdが大きすぎて全く発振しません。
100kΩ、22kΩ、10kΩと下げていっても、ダメです。
100kΩ以下では、時計用の水晶が発振しなくなります。

原理的にこの両立はむつかしそうです。
発想を転換して、Rd=220kΩにして、ジャンパーピンでショートすれば
Rd=0Ωになります。
帰還抵抗Rf=10MΩでも、問題なく発振します。

こうしてできたファイナルアンサーの発振回路は下記です。

 



 

全体の回路図はこれです。この説明と部品リストとかは次回に持ち越しです。


ここから先の検討の記録とソフトの説明は備忘録としてNoteにまとめています。  

ぜひこちらからご覧ください。
 
次の第2回は、タカチのSW53というケース加工と、ケースに合わせたユニバーサル基板の組み立て、最終調整を記事にしようと思います。

次回をこうご期待!
 



1.はじめに

noteの記事 【電子工作】理髪店で使う丸くしを3Dプリントで作る

の続編です。


前回の記事で、なじみの理髪店さんから依頼された、今はもう手に入りにくい

昭和の丸くしをAIのClaudeで設計し、JLC3DPに発注するところまで書きました。


あれから約10日間、待ちに待ったOCSから試作品が入った荷物が届きました!

2. 開封レポート

  • 梱包の様子

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基板に比べると、結構大きな箱に入っています。

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  • 取り出した試作品の外観写真

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左がレジンPLA9600 (通常樹脂) で作った試作品、
右はTPA (やわらかい樹脂)で作った試作品です。
 

・色については、PLAは白ですが、TPAは半透明です。
・硬さについては、PLAは普通の樹脂と同じくらいですが、
 TPAは靴の中敷きに使われるということで、柔軟性があります。

自分が使うなら、TPAのほうが柔らかくて気持ちがよさそうです。

3. 設計データとの比較・出来栄えチェック

  • サイズ感(直径80mm、25歯)は合っているか
    25歯は間違いありません。

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直径80mm (ノギスで79.7mm)

  • エッジのRはきれいに出ているか

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エッジはR0.4かわかりませんが、丸まってます

  • ベースと歯の高さはいいか

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高さは40mm (ノギスで39.7mm)

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ベースは14mm (歯の高さは40-14=26mmです)

  • 厚みはいいか

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厚みは指示通り 4.0mmでした。

  • TPU(やわらかい素材)の出来栄えはどうか?

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こんな柔らかさで、ちょうどいい感じです。
散髪のときに、これで頭皮をごしごししたら、気持ちよさそうです。

理髪店さんに引き取ってもらえなかったら、自宅で使いましょう!


4. 理髪店に持っていってみた(使用感レポート)

実際に使ってもらった感想が今回のメインの読みどころです。

  • 使い心地はどうだったか

  • 歯の強度・しなり具合

  • 髪の落とし具合、実用に耐えるか

これから、理髪店さんに持っていきます。
つぎの理髪の際に、感想を聞いてまた報告しますね。

noteの記事はこちらです。