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トドお父さん通信

北部九州在住 高BMI中高年のオタク趣味の活動記録

先週の日曜日、11月16日に飯塚の市民会館イイヅカコスモスコモンで
タカハ機工主催のイベント、GO!GO!TAKAHA ビックリ発明ランドが
開催されました。

 

福岡のおもちゃ病院も協賛で参加ということで、私も午後から参加しました。
市民会館2Fの会場に着くと、MAKER'Sの作品が色々と展示され、にぎわっていました。


MFTとかのイベントに比べると規模は小さいのですが、結構熱量を感じました。


ソレノイド専業のタカハ機工さんのイベントとあって、ソレノイドを応用した作品が
多くて、こんな使い方もあるのか?と目からウロコでした。

一番面白かったのは、ルービックキューブを自動でそろえるマシンです。
ノルディックのCPUで制御して、秋月のサーボモータを改造して6軸の制御を
行っているとのこと。
中を見せてもらいましたが、小さなルービックキューブの中にコイルが縦横に配置され
ていて、ステートオブアーツ(死語か?)を感じさせました。

おもちゃ病院は3Fで開催されていましたが、こちらは残念ながら閑散としていました。
午前中で大体の受付分が来たようです。

また明和電機さんも参加されていて、3Fにはオタマトーンなどが展示されています。


残念ながら、午後からのおもちゃ病院のお客さんはすくなくて、手持ち無沙汰状態でし
たが、展示を見たりショーを見たりして、結構楽しく過ごせました。
またトランジスタ技術のブースもありました。



このブースでは無料の雑誌を頂きました。感謝です!



最後に記念写真を撮りましたが、福岡でも遠隔地で普段お会いすることがない人たちと

交流できたので、今回参加して良かったと思います。

女性のドクターさんもいて、後ろのポスターは彼女が作成したそうです。
センスがいいので、ビックリしました。


日本おもちゃ病院のシルバードクターさんのおじさんイラストもそろそろ、デザイン変えないとですねw。
 

   今回のセミナーの様子

10月末に おもちゃ病院のドクター向けトランジスタ回路セミナーの第6回目を開催しました。


前回は発振回路のセミナーだったので、回路についてはほぼ終了。

今回はおもちゃにもよく使われる、赤外線リモコンの原理を説明します。
 

いつものように、トランジスタ(バイポーラトランジスタ)回路の説明と手を動かして

組み立て・実験するハンズオンの形態で、2名の方が参加、講師の私も含め4名で行いました。


題目:トランジスタ電子回路セミナー 第6回 電子回路中級編 赤外線リモコンの原理を学ぶ

日時:10月25日(土) 13:00~15:00
場所:筑紫野市 カミーリヤ 2F 研修室

 

かるく前回の発振回路の復習をした後、赤外LEDと赤外センサ(ダイオード)の説明をします。

 赤外光と赤外LEDの説明

まずは可視光と赤外光の違いについての説明を、人間の目の比視感度特性のグラフで説明します。
 

光の波長は緑が550nm, 青が450nm, 赤が650nm前後です。

それ以上、それ以下の波長の光はグラフのとおり、人間の目で見える感度は大きく下がります。
 

今回使用する赤外LEDは940nmですから、人間の目では見えない領域の光になります。
Vfは1.8V程度で、赤色LED等より少し低い程度でほぼ変わりません。

 

 赤外フォトダイオードの説明


次に赤外フォトセンサとしての赤外ダイオードの説明に入ります。
赤外センサとしては、赤外フォトトランジスタもあるのですが、現在ではあまり使われることはなく、赤外ダイオードがセンサとして使われています。

使い方としては、ダイオードに逆バイアスをかけて漏れ電流を検出します。
赤外光の照度(lx)にほぼ比例して漏れ電流が大きくなるので、この漏れ電流を増幅する

回路を作ればいいわけです。ただし、可視光も検出するので注意が必要です。
 

通常は赤外フィルタでカットしますが、Aliで買った低価格品は、7~80%だと思われます。


さて、座学は眠くなるので、手を動かしてハンズオンを始めましょう。
 

まず前回作成したマルチバイブレータのLEDフラッシャの片方を赤外LEDに変更します。

負荷抵抗R4 も1kΩから220Ωにして、赤外LEDに5mAと少し電流を多めに流します。

 LEDフラッシャの改造説明

 

ブレッドボードは前のLEDフラッシャを流用します。
片方が光るから、動作が分かりますね。


 

参加者の皆さんに作ってもらいます。
 参加者実習の様子
 

さぁ、できました。 

光っているかどうかは目では見えないので、デジカメかスマホで確認しましょう。


しかし参加者から「光ってない! 」との声が。
そんなはずはない、と自分のスマホ(古いxiaomi) で確認するとちゃんと見えています。
参加者のスマホはiphoneでした。

 

赤外カットフィルタのせいでしょうかね。色再現性を重視すると、赤外光は禁物です。
人間の目の持つ比視感度と同じにする必要がありますからね。


家に帰って、デジカメ(IXY-650)で見てみました。手前のスマホよりかなり強く検出できますね。

 

さて、赤外光を発光できるようになったので、次は赤外ダイオードを使って

赤外センサ回路を作りましょう。
 

こちらが赤外センサの回路です。
逆に電圧をかけた赤外ダイオードの漏れ電流IbをQ1 2SC1815でIb x hFEで増幅して、

その電流をさらにQ2 2SA1015 PNP で増幅して赤色LEDを点滅させます。


2段目の増幅率は、RLが1kΩ、 電圧増幅率AV=RL/re(エミッタ内部抵抗) となり、LED

に1mAくらい流れる設計なので、re≒25mV/1mA=25Ω。AV=1000/25=40倍になります。


増幅率が大きすぎる場合は、Q2のエミッタに100Ωをいれると2段目の増幅率は10倍

くらいになるので、LED点灯に暗電流の影響が少なくなってちょうどいいかもです。


ブレッドボードの下側に赤外センサ回路を組みます。

動作確認をすると、やはり外光を検出しての漏れ電流が大きいのか、うっすら光ってますね。
でも、赤外LEDを近づけるとLEDがフラッシャの周期で点滅するのが分かります。


やはり赤外カットフィルタが入ってないセンサでは、赤外光の検出は苦しいですね。

つぎに赤外リモコン送信機を使って、リモコンコードの検出を行います。

オシロを使って波形をみてみましょう。(回りを暗くして測定しています)

 

LEDのVfと漏れ電流で、”L"時の電圧が2V+α くらいあります。
応答速度”H"→”L"もあまりよくありませんね。

 

赤外リモコンのコードは、NEC、家電協(AEHA)、SONYが代表的ですが、今回はNEC

フォーマットのリモコンを使いました。


NECフォーマットでは、先頭のリーダ部として9mSの”H”と1.5mSの”L”で、その後が

データ部になります。

データ部の”1”と”0”はH/L DUTY 50%が”0”、H/L DUTY 25%が”1”で検知します。
H部はいずれも560uSです。

データ部はカスタムコード 16bitとデータ 16bit(データ8bitと反転8bit) で構成されます。
外光の影響を防ぐために、信号の”H"部は38kHzで変調されています。
オシロでみると、1周期はリーダ部も含めて70mSくらいになっていますね。(1/0で変化)

 


なおトランジスタチェッカでも赤外リモコンのコードを検出することができます。

 

NECフォーマットでも、パナソニックの家電協でも、どちらもデコードします。


さて、つぎは我々が取り扱うおもちゃの赤外線リモコンのフォーマットです。
手元にないのですが、つつじが丘おもちゃ病院の大泉院長のブログから情報を拝借しました。


38kHzのバースト変調はない、は間違いで後述する赤外センサICで検知するようです。
いずれにしても、デコードのしようがなく、オシロを頼るしかなさそうですね。


最後に、赤外線センサIC(モジュール)で、赤外リモコンの信号を検出してみましょう。
こちらは時間不足でしたので、セミナー参加者には宿題になりました。

回路図は3本線があるだけなので、簡単です。

電グラさえ、間違いなければ完成です。

 

ブレッドボードも簡単ですね。
オシロで波形を見てみました。


     1周期の波形(10mS/div)        先頭を拡大した波形(2mS/div)        


安定して、”H"、”L”のレベルがでるようになりましたね。


最後に、ATTINY85を使って赤外信号をデコードする実験です。
興味があるかたは、下記のtechnoblogyさんのリンクを参考にして作ってみてください。
IR Remote Control Detective

 



Youtubeに、このIRリモコン検出器を使った、赤外リモコン動作確認のビデオをアップしました。

最後は駆け足になりましたが、理解して頂けましたでしょうか?
 
今回作成したセミナー用のテキストは、下に置いておきます。
コメント等でアドバイスを頂けますとさらに助かります。
 
それでは、おやすみなさい


過去のセミナー
おもちゃ病院でトランジスタ回路ハンズオンセミナーを実施しました(第1回)
おもちゃ病院でトランジスタ回路ハンズオンセミナーを実施しました(第2回)

おもちゃ病院でトランジスタ回路ハンズオンセミナーを実施しました(第3回 前半)

【おもちゃ病院】トランジスタ回路ハンズオンセミナーを実施しました(第3回 後半)

【おもちゃ病院】トランジスタ回路ハンズオンセミナー(第4回)を開催しました

【おもちゃ病院】トランジスタ回路ハンズオンセミナー(第5回)を開催しました

 ネットで見つけた写真

 

最近は、おもちゃ病院で古いラジコン修理を預かることが多くなりました。
前回は60年前の学研のラジコンの修理を頼まれました。
で、またまたです(笑)

 

今回は近隣自治体でのおもちゃ病院で、例のベテランドクターから今度は40年前のラジコン

修理を依頼されました。

ほぼほぼ修理は終わったのだが、電源ONで送信機からの信号がなくても、車輪が回ったり、

操舵が右に切れたり、左に切れたりするとのことです。

外部電源を接続して、現状の動作確認をします。

ボディは外して、シャーシだけ裸で預かったので、いろいろと壊す心配はないですね。

 4輪駆動なんです

 

送信機は40MHz帯とのことです。送信周波数は40.68MHzと裏に書いてました。

 前進と左右CHあります

前回の60年前の1CHラジコンと違い、今度は複数CHの出力ができるようですね。
 

でも、左右の操舵については、前進・後進の信号が入っている時しか有効にならないゲナです。
なんででしょうかね? 昔のラジコン、今のラジコンに比べて縛りが多いですね。
電池も単三 6本も必要です  🤣😂


さて、受信側の基板を見ていきましょう。
先輩が作った部品配置図をみると、

真ん中に東芝のラジコン用のTA7657PというICが鎮座しています。

 

左下はコイルがあるので、超再生受信回路ですね。

上側はモータを前進/後進で駆動するためのHブリッジ回路ですね。
 

右下はよくわかりませんが、駆動制御回路でしょう。
(あとで3CHの受信ICで前進/後進を切り替えるための位相検知回路と分かりました)

 

 部品配置図です


 受信基板の表写真です

 

受信回路はいつもの超再生回路ですが、今回はゲルマオランジスタではなく2SC380とれっきと

したシリコントランジスタを使っていました。

まず、受信回路の動作をオシロで見てみましょう。
古いラジコンは、同調周波数がズレていることが多いです。


CH1は超再生のクエンチ出力。回路図のコレクタにプローブをつないで測定します。
本当はアンテナかベースのところで測定したほうが、プローブの影響が少なくていいかもです。

 

CH2は、超再生受信回路の信号出力です。TA7667Pの信号入力 2ピンに接続されてます。
 

 クエンチ信号です


 クエンチ信号の拡大です

 

クエンチの周波数を拡大してみてみます。オシロの周波数測定機能で発振周波数を合わせます。

当初は38MHzくらいだったので、コイルのコアを回して40MHzに合わせました。 


パラフィンで固められていたとのことで、ブロアーで少し温めるとコアが動かしやすく

なりました。

基板の裏面はこちら

この基板の回路を解析するとなると、気が重くなりますね。

なんか現代のラジコン基板に比べると、いっぱい詰まってます。

 

 受信基板の表写真です

 

水戸黄門の主題歌を歌いながら(笑)、回路図をトレースしました。

手書きで見にくくてすみません。超再生回路は、一般的なものだったので助かりました。
 

 

次にTA7657Pのデータシートを見てみましょう。

電源電圧は9V、超再生受信回路にLDOで5Vを供給し、受信回路の出力を2ピンに入力し

アンプと積分回路で波形を成形し、3CHのON/OFF動作を行うアナログICのようです。

ラジコンの操作モードと応用回路はこちらです。
送信側はTA7333PというアナログICあり、これとペアで使うようです。

無信号のときは、どのCHもONしない仕様ですが、どうもノイズが入って誤動作するようです。

アンテナを触っただけで、車輪が回ります。

まず現物の基板の動作をオシロで確認します。 


送信機の前進を押した状態です。


CH1はTA7657P ラジコン受信ICの2P 信号入力です。

CH2はTA7657P の9、10、11PのCH出力のうち、前後進を制御する11Pの出力をみます。

CH3はTA7657P の左操舵を制御する10Pの出力に接続します。

CH4はTA7657P の右操舵を制御する9Pの出力に接続します。



2mSくらいの周期の50%デューティのパルスが2Pに入力されていますね。
11Pの出力が”L"になって車輪が前進で回りました。

 

次に送信機の後進を押した状態です。
今度は0.8mSくらいの短い周期の50%デューティのパルスが2Pに入力されました。


前と同様に11Pの出力が”L"になって、今度は車輪が後進で回りました。
11Pの出力と、この信号の周期を見て、前進/後進と切り替える回路があるようです。



今度は送信機の左右のレバーを左に押します。同時に前進/後進を押さないと動作しません。
今度は0.8mSくらいの短い周期の”H"が20%デューティのパルスが2Pに入力されました。

 


今度は10Pの信号が”L"になって、今度は回転すると同時に車輪が左に動きました。
 

最後に前進と同時に、送信機の左右のレバーを右に押します。
今度は2mSくらいの周期で”H"が80%デューティのパルスが出ています。

 


今度は9Pの信号が”L"になって、今度は回転すると同時に車輪が右に動きました。


TA7657Pのデータシートを見ると、デューティの違いで検出しているようです。


H周期が80%のとき、9P(右操舵)がON、50%のとき11P(前後進)がON、20%のとき
10P(左操舵)がONするようです。周期が2mS、0.8mSに変わるのは前新/後進を制御する

のためのようです。

3CHしかないので、前後進は基板上に周期検出回路があって、制御しているようです。
ICと制御回路はちゃんと動作しているようですね。

あとは、超再生回路のノイズで誤動作しているとの見立てを立てました。
入力信号がないときに、前進/後進が動いてしまうようです。

いろいろと見てみると、どうも検出するパルスはTA7657Pの5ピン、積分出力にでていました。
オシロのCH4につないでみてみましょう。

 

 前進操作時の5ピン出力

2mS周期の50%デューティで信号が出ています。
 

 

 後進操作時の5ピン出力

0.8mS周期の50%デューティで信号が出ています。

 

 無信号時の5ピン出力

ノイズのような信号が5ピンにでていますね。これが誤検知の原因になっているようです。


もとのラジコン受信回路の超再生のノイズが原因で、簡単に取り除けそうにありません。

発振レベルを抑えるしかなさそうです。

どうしようか?と悩みながらトレースしていた回路図を見て、「超再生回路のベース電圧を

調整する半固定ボリュームがある!」と気づきました。

前にマスタングの回路を見たときに、ここは50kΩの半固定が付いていました。
今回は6.8kΩの固定抵抗が実装されてますが、基板上のシルクには半固定抵抗のマークがつ

いてます。

 

ここに、手持の10kΩの半固定抵抗をつけてみました。

 

ベース電圧は、もとの回路では4.7kΩと6.8kΩで分圧されていたので、5x4.7/11.5=2Vです。
これで約1.5V~5Vまで可変できます。

 

もとのクエンチ波形です。8uS周期(120kHz)で間欠発振しています。
CH1がトランジスタのコレクタ波形、CH2がIC 2ピンの入力、CH3がIC 11ピン(前後進)出力です。無信号時の入力のノイズが大きいので、11ピンが”L”に誤動作しています。


半固定VRでバイアス電圧を下げていくと、発振とノイズの振幅が下がってクエンチ周期も変化

していきます。

誤動作しなくなったバイアス電圧レベルです。クエンチ周期は5..8uS(170kHz)に短くなりました。

CH1、CH2ともに振幅が小さくなって、CH3も”H"で誤動作しなくなりました。このままレベルを下げると発振停止します。

これで、今回のラジコン修理もファイナルアンサー! となったのでしょうか?
このおもちゃを委託したベテランドクターさんに返して、修理結果を評価してもらいましょう!

今回も前回同様にメチャ苦労したが、直ってよかった!!

古いラジコンの修理をされる皆さんの参考になれば、幸いです。
 

それでは、おやすみなさい。

 

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