おもちゃ病院で働きだして、はや2ヶ月。
いろんなおもちゃを修理するためのプラットフォームを、小型AVRマイコン
ATTINY85に実装することをやっています。
まずは、4種類の音のでる基板を作りました。
次は、IRリモコンを作っています。
そんなわけで、動作確認するために出力波形を観測するオシロスコープが
活躍しています。
(TINYシリーズは8ピンでピン数が少ないため、printfデバッグが困難です)
こないだ、ヤフオクでテクトロTBS-3072Cという2現象のオシロを買ったのですが、
入門機のため、どうも操作性がいまいちです。
5~6年前に、テクトロTDS-3014Bという4現象 100MHz帯域のオシロを買った
のですが、買って1年ほどで電源ONしても画面が白いままで起動しない故障が発生
しました。
やっかいなことに、たまに電源を入れると起動することがあり、困っていました。
1か月ほど前に、大昔の修理の技、叩くということを思いだし、試しに叩いて
電源ONすると、なんと起動したではないですか!
でも、数日するとやっぱり起動しなくなる、ガッカリを繰り返していました。
ここは、腰を据えて修理しよう! ということになりました。
起動しないとガッカリして精神衛生上良くないですしね。
幸いなことにテクトロのTDS3000,TDS3000Bシリーズのサービスマニュアルは
ネット上に多数あります。TDS3000の方が詳しいので、両方ダウンロードします。
TDS3000 service maual
TDS3000B service manual
こちらのページは、テクトロニクスのすべての情報がデータベース化されているので便利です。
まずは、分解から。サービスマニュアルに沿っているので、細かい説明は省略します。
このオシロはトルクスビスを使っているので、対応するドライバT-15を使いましょう。
まず、ハンドルのふたを外して、ハンドルを止めている樹脂パーツを外します。
つぎに裏のプリンタポートそばのネジを一個、IFを収納しているふたも外します。
すると、裏ブタが抜けるようになりますので、慎重に抜いていきます。
裏ブタが外れたら、フロッピードライブを外します。外す前にコネクタを抜いておきます。
ロックタイプなので、抜く前にロックを上側に外すのを忘れないよう。
電源基板の奥にあるJ910のEthernetケーブルとプリンタポートコネクタも外します。
これで、電源基板を取り付けている裏シャーシが外せるようになります。
左右のビス3本と、ACインレットの先にあるシールド板を取れている丸ビス1個を
外したら、メイン基板にアクセスできるようになります。
電源基板からJ900に接続してメイン基板に電源を供給する電源ケーブルも一旦外した
ほうがいいかもしれません。動作確認の時には接続しましょう。
裏シャーシーを外したら、静電対策付きのプチプチで覆って、間違って他の基板や
シャーシにショートしないように養生します。
ここで、電源スイッチを入れてみます。
ファンがブーンとなりますが、ディスプレイは白いまま、起動を示すリレーがカチカチ
いう動作にはいりません(泣)
EEVBROGというエンジニア向けブログで、電源系の回路図(電源系統図)を入手しました。
電源基板から、メイン基板へは+15Vのみ供給され、メイン基板で各種電源を作っている
ようです。
LCDディスプレイのバックライトが点灯するので、+15Vは生きています。
電源系統図に従って、メイン基板の+5V、-5Vを調べます。
U900 +5V LDO LM2990T-5.0 → OK。 U930 +3.3V LDO LMS1585ACT-3.3 → OK。
出力は出ているようです。
次にクロック出力の確認。 このオシロは2つクロックがあります。
U930 LDO のそばのY700 48.000MHz → OK
Y700からみて、右下のデジタル部にある Y500 75.7575MHz → NG。
水晶モジュールの出力が出ていません。 ここが原因クサイと先ほどのEEVBLOGに情報が
ありましたので、部品はEbayで仕入れていました。(USから3個で5000円。高い!)
DALLASのNVRAM DS1742W-120も注文済みです
でも、よく見るとY500のVddに1.2Vくらいしか入っていません !?
じつは、この修理の前に一度修理を行っており、そのときは3.3V入っていました。
この時はLDOのピンのはんだ不良と判定し、追い半田で対策を行っています。
ただ、このときにLDO 3.3V出力からY500のVddへの抵抗が12.1Ωもあり、不思議でした。
どうも、内部のパターンが切れているのではないでしょうか?
ちなみにその下のU560 MT58L128LIBFメモリのVddは0Ωでつながっています。
クロック電源だけ、なにか制御されているのでしょうか? でも前回12Ωでつながっていたし
それも考えにくいですね。
えーーい、ままよ、ダメ元で直接つないでみましょう!
まずは、マルチメータを介して接続し、異常電流が流れたら別の手を考えましょう。
はい、つないでみました(爆💦)。
電流値は14.8mA この時代の水晶モジュールとしては妥当な数値です。
それから、カチッ、カチッとリレーの音が! 起動しました!
使えなくなった機器が、それも大事にしていた機器が生き返るのはいいものです。
電線は外れないように、カプトンテープで止めます。
ミッション・コンプリート、これで思う存分電子工作が楽しめます!
でも、しばらくは用心してハンドルを取り付けるのはやめましょう(爆)
EEVBLOG 会員になりましたが、楽しい記事が多いですね。
75.7575MHzは無駄になりましたが、次はこのブログに書かれていた
”NVRAM DS1742W-120の電池切れ対策で交換する”に挑戦したいと思います。
帯域100MHzから、500MHzに設定を書き換える方法も書かれていますが
コンプライアンス的にどうなんですかね?
帯域の高いプローブも持ってないし、100MHzもあれば十分ですよね?
チャンチャン