こんにちは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。

 

 

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今回参加をしてきたVietnam Trail Marathon(VTM)は、Vietnam Mountain Marathon(VMM)、Vietnam Jungle Marathon(VJM)に続くトレイルランニングレースシリーズ第3弾、2019年今年初開催の70kmのミドルクラスのレースです。僕は2014年にVTM、2018年にVMM、今回でベトナム3レースすべて参加になります。

 

日本のどのメディアでもレース紹介されていない、このブログだけのレポートをお送りします。

 

ベトナムは料理も美味しく、コースもバラエティに富んで面白く、大好きな国ですが暑さの苦手な僕はその暑さだけが懸念材料でした。

 

「ベトナムで比較的涼しい1月の冬に新しいトレイルランニングのレースの開催が計画されている」

 

そのうわさを聞いて情報とこまめにチェックをし、エントリーが始まるや否やすぐに申し込みをし(海外レースの中には早めに申し込みをすると割引があります)、半年も前から2019年の目標レースとして楽しみにしていました。申しこみ順で決まるゼッケン番号は4番!(1番ではなく残念。1番は僕が誘って一緒にエントリーをした盟友のアンドレさんでした)

 

市内中心部からタクシーで15分。郊外にあるレース受付会場、クラフトビールとハンバーガーレストランに到着。レースの行われるスタート地点までのバスもここから出発します。ここ4年間は同じ道路沿いにあるレストランが受付会場だったが潰れていた。年月の流れを感じました。

 

すでに多くのランナーが集まっていたが、受付にゼッケンの受け取りは待ち時間0で、ものの1分で終了。

 

入口には、出場国選手の国旗が掲げられていた。日本から参加をしたのは、僕と東京から来た男性の2人のみ。それ以外はベトナム・ホーチミン在住の日本人ランナーグループが10人ほどいました。だいたいどの国に行っても日本人ランナーは集団で、同じ日本人同士で行動することが多いように見え、外国人ランナーからは奇異な光景に移っているようです。僕から見ても同じように見えます。

 

香港や台湾に比べてベトナムのトレイルランニングレースの注目度はまだまだ低いのか、参加のためには少なくとも4泊5日の休みが必要なためか、日本からの参加ランナーは少ない。海外レースの参加者リストを見て日本人の名前を見つけると「日本からも参加者がいる」と考えてしまうが、その多くは国内在住ではない海外駐在日本人ランナーです。僕のように日本から来ているランナーは稀です。

 

最近中国の選手が世界のトレイルランニングシーンを席巻し始めているが、ベトナムのレースではあまり見かけない。言語は漢字ではなく、中国語や英語も通じない国だから?

 

全参加選手のアルファベット名前が入った記念撮影ボード。

 

海外レース参加の魅力の一つは、海外のランナーとの国際交流との交流

海外レース参加の魅力の一つは、やっぱりそこで知り合う外国の人々との交流です。写真は、ドイツ人でタイ・バンコク在住の”マシンガントーカー”のアンドレさん。2014年のベトナムのレースで知り合いました。それ以降ベトナムで3回、マレーシアで2回、日本で1回の合計6回、レースの前後も行動を共にしているので14日間ほど会っていることになります。タイと日本、お互い違う国に住みながら日本に住む友だちよりよっぽど会う頻度が高い。

 

アンドレさんは5か国語(ドイツ語、英語、タイ語、フランス語、日本語)を流ちょうに話し(日本語は僕より上手い!笑)、レースでさまざまな国の人が集まる場で、複数の言葉でまくしたてます。いったい脳内の言語回路はどうなっているのだろうと不思議に思います。

 

そして、自分のレースの武勇伝を熱く語ります。自分がどんな過酷なレースに参加してきたとか、レース中にミスコースした失敗談といったぐあいにです。毎回異なる人に会うたびに同じ内容の話をするものだから(同行する僕はいつも同じ話を聞く)、だんだんと話も洗練されて面白くなってくる。大阪人よりよくしゃべり、僕が会話に入り込む隙がない。僕が人見知りが激しく人との接触を避けるのに対して、アンドレさんは自分から積極的に話しかけ、誰とでもすぐに打ち解けてしまう。「面白い人だな」と誰の印象にも強く残るのか、アンドレさんはアジアのレースではちょっとした有名人である。

 

僕とは対照的な性格だ。しかし、アンドレさんは電子機器が嫌いでFacebookやlineなどSNSは一切しておらず、いまだにスマートフォンではなくガラケーである。携帯電話も頻繁に持ち歩かないため、連絡を取るのが大変だ。山や自然を好むトレイルランナーなのに仕事以外の場では電子機器に囲まれた生活からは極力逃れたいよね、という考えが同じでそれで意気投合した。

 

レースはハノイから北西へおよそ200km、バスで5時間。ラオスとの国境にも近い、ベトナム・ソンラ省にあるMoc Chau(モク・チャウ)で行われる。高品質の紅茶やミルク、イチゴ、プラムなどが名産品で、特に手づくりヨーグルトは甘さと酸っぱさのバランスが絶妙。だいたいの場合トレイルのレースは山奥で行われるので日本から市内中心部までは近くとも、そこからレースが行われる場所まではもっと時間がかかることがほとんどだ。バスが苦手な僕は、毎回バス移動は苦痛である。しかし、今回は凸凹の舗装されていない山道ではなく、ちゃんと舗装された道だったので、乗りもの酔いはレースに影響がないぐらいに済んだ。

 

山村に4つ星ホテル?”ラグジュアリー”の名前から期待を高くしていたが、とつぜん村の中にヒルトンホテルみたいな豪華絢爛なホテルが現れた。

 

ラグジュアリーホテル・モク・チャウ Muong Thanh Luxury Moc Chau Hotel。まわりは民宿の中でこのホテルだけ浮いている。奈良県の吉野や十津川村、東京の奥多摩、群馬県の神流(かんな)にこんなホテルがあったらびっくりするでしょう。それと同じだ。

 

自分がいま人里離れた山奥にいる、ということを忘れてしまう。

 

部屋もアンドレさんと同室。アンドレさんの「A」、アンドウの「A」、お互いアルファベットがA始まりなので必ず同室になる。ベトナムジャングルマラソン参加では、窓やお風呂もない現地住民の民家の2階を間借りし、蚊帳の中で雑魚寝だったことを考えると、天と地ほどの快適性だ。

 

ホテルの費用はレースパッケージに含まれている。つまり、ランナーには安く済ませる、ほかのホテルを選ぶ選択肢はない。ランナーから「高い」という不満の声があっても下手に安い宿を予約してクレームを受けるよりは、高級宿を予約をして「高かったけれど良かったね」と言ってもらう方が主催者としてはずっといい。

 

チェック!電気に水道は通っているし、お湯もすぐ出た。湯沸かしポットはあってコーヒーは飲めるし、Wi-Fiも使えて回線速度も速い。驚きだった。

 

夕朝食はビュッフェ形式。まるで結婚式の披露宴会場のような風景。日本ではこのようなスケールのレース前夜祭はまず体験できないので海外レースならではだ。食事の時間が「夜6時から9時の間でいつでもお越しください」というスタイルなので、それぞれが都合のいい時間に来て食事をするので、ビュッフェで列に並ぶこともなくストレス0で食事ができた。

 

開会式、レース説明。

 

招待選手や有力選手が紹介された。

 

「今回は…なんと!ベトナムマウンテンマラソンとベトナムトレイルマラソン、両大会の男子チャンピオンの3人が来ています!!」

 

なんてこった。ベトナム国内のトップランナーが3人も。うち2人はサロモンの契約ランナー。みんな25歳前後と若い。男子優勝候補の一人は24歳でフルマラソンの自己記録は2時間30分だという。

 

フルマラソン3時間切りランナーぐらいはどうにかなるが、フルマラソン2時間30分ランナーとは差を詰めがたい実力差がある。マラソンの記録で彼ら彼女らの努力がわかる。それ相応の努力をしたからこそそのレベルに到達している。フルマラソン5時間ランナーとフルマラソン4時間切りランナー、それぐらい体力差がある感じだ。

 

「(若くてイケイケのランナーに勝てっこない)」

「(3位内表彰台は難しい。僕は4位、5位ぐらいか…)」

 

主催者「皆さん!この女子選手をご紹介できて嬉しく思います。」

主催者「彼女は今大会で男女総合で優勝する可能性を秘めています。ジョー・ミーク!」

 

ジョー・ミーク Jo Meek(SCOTT RUNNING/イギリス)“The Running Squirrel(素早いリス)”の別名を持ち、リスのタトゥーを足に彫っている。

 

写真(スコット・スポーツのホームページより)本当だ。少し動物のリスに似ている。笑うと八重歯が出て、もっと似ている。

 

フルマラソンの自己記録は2時間46分、ロードの100kmウルトラマラソンの自己記録は、7時間43分。2014年のIAU 100kワールドチャンピオンシップで4位。2013年にはサハラ砂漠マラソン250km Marathon des Sables で2位。「車に追いつかれたらそこで終了」の世界最大の鬼ごっこマラソン「Wings for Life World Run」で女子優勝もしている。トレイルランナーのレベル指標となるITRAの総合スコアは716点(エキスパート)、女性スコアでは805点。

 

主な戦績

2014 Comrades Ultra Marathon 5位

2016 Transvulcania Ultramarathon 14位

2016 Utmb - CCC 101km 2位

2018 Eiger Ultra-Trail 51km 2位

Marathon des Sables(MdS)サハラ砂漠マラソン完走

 

「(勝てっこない、ウルトラの女子世界ランカーが来た…)」

「(僕は頑張って5位、6位ぐらいか…それ以外には負けんぞ)」

 

 

タイムは、記録でしかない。

順位は、結果でしかない。

重要なのは、自分のベストを尽くしたかどうか。

 

 

これは僕の言葉で、いつもそう思っている。記録や順位はあとづけで、最後までベストを尽くしたかどうかが重要だ。しかし、今回は2019年の目標レースで、僕の得意な70kmのミドルクラスのトレイルランレースとあって「9時間30分で完走し、順位は10番以内」記録も順位もその両方を狙っていた。キメるところではキメる。

 

僕は何の注目選手として紹介もされない。当たり前で、暑さが苦手な僕はこれまでアジアでは何の目立った成績も残していない。注目されない方が気楽に走れていい。ダークホースとして目にもの見せてやる。

 

第1回ベトナムトレイルマラソン Vietnam Trail Marathon3続きはこちら

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