こんばんは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。
先日の記事はFacebookで1万人以上の人にリーチしたようです。
参考記事:トレッドミルで傾斜15度をつけて走ることに効果はあるのか?
今日も大きな反響を呼びそうな記事紹介です。2017年2月10日のランナーズワールドでこんな面白い研究結果の記事がありました。
引用元:「ランニングシューズのドロップ数とケガの発生率には何の関係もなかった」
Study: Zero-Drop Cushioned Shoes Show No Difference in Injury Rates
「あなたの走りのスタイルに合わせて適切なランニングシューズを選びましょう。」
「ゼロドロップシューズと言われる自然な走りの実現を目指した...」
「段階的にドロップを低くしていくことで、より優れたランニング技術を身につけましょう。」
こうした文句をどこかで一度は耳にしたことのあるランナーの方もいるのではないでしょうか。
シューズのドロップって何?
ドロップとは、かかと部分とつま先部分のソールの厚みの差を言います。"ゼロドロップ(0mm)"とは、簡単にいえばシューズのかかと部分とつま先部分の地面からの距離が同じシューズです。たとえば、ビブラムファイブフィンガーズ/Vibram Five Fingersやルナサンダル/LUNA SANDALS、ニューバランスのミニマス/minimusシューズなどが含まれます。
クッションの薄いシューズを好むランナーのことを「ミニマリスト」、Hoka One One(ホカワンワン/ホカオネオネ)の一部のクッションの厚いシューズ(マックスクッションシューズ)を好むランナーをその反対に「マキシマリスト」と呼ぶこともあるそうです。
今ではHoka One One(ホカワンワン/ホカオネオネ)もさまざまなタイプのシューズを出していますが「かかと着地でもころりと、足を転がして走れるような形状に...」そのセールス文句どおり「ミッドフット、フォアフットを意識しましょう」ではなく「あなたはヒールフットで、ブレーキ要素の大きな走りをしているのだからこのクッション性の厚いシューズを選びましょう」というアピールで、一躍世界的に有名なシューズとなりました。
僕は「トレイルで地形の凹凸が掴みにくい」「足裏感覚を高めたい」という理由で、軽量で適度なクッション性のあるシューズを好みます。適度を好むというのはあまり軽量なシューズは耐久性、安全性が犠牲になるからです。「捻りそうになった」と思ったらすぐ次の足が出、これまで1000日以上トレイルランをしていますがレースを含めてねん挫は一度もありません。これがクッションたっぷりのシューズだと「捻りそうになった」という感覚が瞬時に掴みにくいため、ねん挫の発生率も増える気がしているんですよね。これは個人的な所感です。
ここからは記事原文の一部を抜粋し、僕のコメントを加えてご紹介します。どのような研究がなされたのか、安藤さんの翻訳が正しいのか気になる、という方はリンク先をご覧ください(笑)
「最新の研究では、どんなドロップ数のシューズを履いてもケガのリスクとの関連性を見出すことはできなかった。」
うわあ、衝撃の研究結果!?
「逆に言えば「ゼロドロップシューズを履いたからケガに繋がる」とも言えない。」
そういうことになりますね。
「どんなシューズを履いてもケガのリスクは変わらないのだから、その人のランニングスタイルによってシューズを替える必要もないのかもしれない。 」
そういうことになりますね。
ゼロドロップシューズを好んで履く200人近いランナーを調査した。
「ランニングのケガの発生率は、元から抱えていたケガと週の練習量の増加にあった。」
「走ったり走らなかったりのファンランナーはゼロドロップシューズを履いても、定期的に走るランナーに比べてケガの割合は少なかった。」
ランニングのケガの多くは、過去の傷病歴や練習量(オーバーユース)によるところが大きいと。
ここからは僕の考えですが、ランナーの多くがマラソン大会の距離を練習量の一つとしてカウントしていないように思います。たとえば日ごろ月に100km前後あるいはそれ未満の人が、月に2度もフルマラソンを走ったり(約85km。2日間でほぼ月間の練習量!)100kmのウルトラマラソンを走ったりすれば急激な練習量の増加により、ケガのリスクは高まるでしょう。足のどこかしらを痛めて「フォームの問題かな」と悩むかもしれませんが、その前に練習量の増加をチェックしてみる必要があります。
「私はこれまで一度もケガをしたことがないんです」というランナーさんがいて「月にどのぐらい走っていますか?」と質問すると「週1日から2日、60kmから80km程度」という答えがあります。そりゃあ、ケガをする時間がありませんよ。。そもそもの練習量が少ないですから。誤解なきよう付け加えておきますが、フォームが悪かったりランニング初心者の方がいきなりそれだけの距離を走ったりすればもちろん月に60km程度の練習量でもケガのリスクはあるでしょう。
zero-drop shoes offered protection from knee injuries but were less protective for foot injuries.
「ゼロドロップシューズを履いたことによって、膝の痛みは少なくなったが、ランニングのケガ全体の軽減に繋がるとは言い難かった。」
この結果は当然でしょう。クッション性の低いシューズで悪いランニングフォームやオーバーストライドで走れば、かかとや膝に痛みが蓄積されますから、人間は痛みを避けようと、自然とストライドが制限され、ブレーキの要素が少ない走りになり、その結果膝の痛みも減ったというのが僕の考えです。ゼロドロップシューズを履き続けても足裏感覚が鈍い方や足の丈夫な方は、自然とオーバーストライドにはならずに膝は痛いままのこともあるでしょう。
ゼロドロップシューズは痛み療法みたいなもので「シューズを履いてから膝の痛みが軽減された」と言う人がいるのは確かにその通りではありますが「自分のフォームに改善によって痛みが軽減された」というよりも「シューズのおかげで無意識的にストライドが狭くなり、ブレーキの要素が減った(痛みが減った)」というのが正しい考え方のように僕は思っています。
痛み療法なので、理屈がわかってフォームが変わったわけではありませんから、たとえば「レースだけほかのもっとクッション性のあるシューズに履き替える」ということをすればフォームは戻り、膝や今までなかった足の痛みを感じ出すことはあるでしょうね。
今回の記事を読んでゼロドロップシューズとマックスクッションシューズとで、身体の上下動やストライド、ケイデンス(歩数)の変化まで調査してみたら面白いのにと思いました。
・ゼロドロップシューズを履いたからといって、ミッドフットやフォアフットになるわけではない
ランニングシューズのドロップ数値は、低ければ低いほど「ランニング中にミッドフットやフォアフットで着地しやすくなる」と信じられていますが、僕のニューヨークに住む友人はベストセラー本「ボーン・トゥ・ラン/Born To Run」に魅せられ、翌日から自宅にあったランニングシューズをすべて捨て、365日プライベートから日々のランニング、レースまでサンダルを履いていますが、ある時Facebookでマラソンレース中の映像がアップされていたので見たら...ヒールフットでした。
「年がら年中サンダルを履いて生活したとしてもミッドフットやフォアフットになるわけでは...」ある意味、僕の中で衝撃の出来事ではありましたが冷静に考えてみると不思議なことはありませんでした。
ゴルフされている方、クラブを新しくしたらフォームが変わりますか?
スノボされている方、ボードを新しくしたら急に滑れるようになりますか?
ランニングと同じく我流で誰からも何も教わっていない条件で。ゴルフなどは道具の進化によって使用する人によっては飛距離は伸びるかもしれません。
やっぱり道具に頼っているうちはダメだと思うのですよ。
引用元:「ランニングシューズのドロップ数とケガの発生率には何の関係もなかった」
Study: Zero-Drop Cushioned Shoes Show No Difference in Injury Rates
僕は記事紹介コメントしただけでシューズタイプそのものを否定しているわけではありません。シューズの薄いも厚いも好き好きですから。
自分のランニングフォームを把握し、問題点を見つけ、身体の動きを修正しないと、どんなランニングシューズを履いてもケガをしてしまうということです。理想的なフォームを身に着けることが、ケガのリスクを減らすのと同時に、より長く走り続けることを可能にします。
ケガのリスクを減らすのは、シューズではなく皆さまの身体の動きです。
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一度、ランニングフォームを見てほしい