こんばんは。
トレイルランナーズ大阪の安藤大です。


少し前の記事になりますが、2017年2月7日のトレイルランニングメディアのトレイルランナーマグに以下の記事が紹介され注目を集めました。

【記事】ランニング練習の80%をトレッドミルで走り、100kmのウルトラランニングレースで2位入賞!/From the Treadmill to the Western States 100
 

そうか!トレッドミルで傾斜をつけて走ることはランニングにもいいんだ!」TwitterやFacebookではリンク先の記事を読まずにタイトルだけを見て「いいね」を押される人も多いので早合点された人もいたかもしれません。
 
 
今日はそういう話ではありません。
 
 
記事内容は、ライアン・カイザー/Ryan Kaiserがアメリカの100kmのトレイルランレースで2位入賞し「練習の8割をジムのトレッドミルで行った」と話し、トレーニングついて語った内容です。ライアン選手は、2016年に全米一過酷な100マイルレースであるハードロック100マイルで5位、ウェスタンステイツ100マイルで11位とロングレースで上位成績を残し続けているウルトラランナーです。
 
結果を出し続けている人から学ぶことは、一つの成功への近道だと思います。
 
住んでいる地域は冬場は路面が凍結し、そのためトレッドミル練習に切り替えた。
ライアン選手の住むオレゴン州のベンドは、冬場は雪と氷におおわれる地域です。日本の冬の北海道、福井県に新潟県など北陸や東北を思い浮かべるとわかりやすいでしょうか。
 
路面が凍り、屋外でランニング練習できないため”仕方なく”、コーチが「ジムでトレッドミル練習に切り替えよう」と薦めました。(日本でも段々と広まってきましたが、アメリカではパーソナルコーチをつけることは一般的で珍しくありません。)
 
海外ではプロアスリートにもなればお金を支払って専属コーチを雇いアドバイスに従って練習している選手も多くいますが、日本では実業団を除き「自費でコーチを雇って練習しています」という話をほとんど聞きません。この点が日本と海外のランナーとで競技レベルの差にも表れていると思います。
 
世界トップクラスのランナーであるキリアン・ジョルネ選手やセバスチャン・セニョー選手などはランニングコーチ、フィジカルコーチ、理学療法士など自分の悩みごとに分けて専門家に相談をしながらトレーニングや体のケアを行っています。
 
a weekly long run of 20 miles or longer, with two of marathon-distance and one 50K training run.
「普段の練習量は月平均371kmだがレースに向けた昨年12月と1月は520kmと40%練習量を増やし、100kmを走るためのスタミナづくりを行った。レースから数えて10週間のうち週1度は32kmのロング走を行い、1度だけ50km走を行った。」
 
100マイルレース参加にあたって、普段から膨大な練習量をこなしていたことがわかります。ケガを防ぐために練習量は少しづつ増やしていくことが望ましいですが、柔らかいベルトの上でトレーニングしたおかけで故障少なく練習量を増やせたと私は考えます(過去にトレッドミルを走りすぎて故障をした、という人はほとんど聞いたことがありません)。
 
現在ランニングアプリでさまざまな海外プロランナーの練習頻度や練習ペースを分析していますが、週3日、4日程度の練習では良い結果は望めず、週平均7日から12日はランニング練習を継続しないとウルトラランニング競技で上位入賞することは難しいと言われています。ランニングアプリのストラバでは、「トップアスリートは年間で週平均8日以上ランニング練習している」という統計もあります。
 
トレッドミルでの練習は、メンタル強化の効果が大きいと言われています。ジムのトレッドミルで毎日淡々と400km以上も走り続けたライアン選手。退屈な室内からトレイルへ出た時の開放感といったら、その嬉しさは想像に難くありません。
 
20km、30kmとロング走をしたい人は屋外の舗装道路を走るよりもジムのトレッドミルの上で行った方がよっぽどメンタルも鍛えられますし(マシーンの利用時間が許されるのであれば)、自然とオーバーストライドを防げ、ケガの発生割合を抑えられます。
 

私の教え子で、Kさんという女性ランナーがいます。「ランニングを始めてからほとんどをジムのトレッドミルを走りマラソン目標達成してきました。」と言います。誰からから目標マラソンタイム達成のための目安練習量を聞いて、Kさんが素晴らしいのはまずそれを実践してみたこと。「月間150km走れば4時間切りできる!」と150km走り→達成、「月間200km走れば3時間30分切りが達成できる!」と200km走り→達成、今度は「月間250km走れば3時間15分切りが達成できる!」と達成に向けて頑張っています。ランニングを始めてから一切故障なしです。ジムのトレッドミル練習だけでサブスリー達成するようなことがあればすごいですね。

 

屋外ではなくジムのランニングマシーンの上で走る理由を聞いたら、「日焼けの心配がなく、天候に左右されないから」と答え、それが「自分の肌に合っている」と言います。

 

「フルマラソン4時間以上のランナーと4時間より速いランナー、その差は何なのか?」ある調査・研究では、「その差は、定期的に走る習慣があるかどうか。」と言います。フルマラソン4時間以上のランナーは走ったり走らなかったり、フルマラソン4時間を切るランナーは仕事や家庭、雨、少々のことでは予定スケジュールを変えず決めた予定をこなす傾向にある、と。

 

私の経験上、また周囲を見渡してもこの事実はあながち本当のように思います。

 
5 of his 8 long runs were on the treadmill.(ロング走はトレッドミルの上で)
・「ロング走の8本のうち5本はトレッドミルの上で行った。」
・「練習量の85%は会話ができるぐらいのジョグペースだった。
・「ランニングエコノミーやVO2 max、乳酸性閾値を高めるために週に3日はストライドを意識したインターバル走を取り入れた。
 
ランニングの練習メニューを決めるときにはジョグだけでなく、インターバル走を積極的に取り入れることの重要性を記事では書いています。
 
Don’t overemphasize vertical gain.(獲得標高を意識しすぎるな)
日本では今月に「これぐらい山登りした」と累積標高を意識するランナーがなぜか増えていますが、記事アドバイスでは「上りは平地に比べてスピードが落ちる。平地よりも遅いスピードで練習するメリットは少ない。ロードやトラック競技メインの選手がトレイルのレースに出て活躍しているのを見ればわかるだろう?」という提言。
 
最近20代の若手のランナーを見て、素晴らしい!と僕が感じるのは、自分の適正を見極めて短い距離から勝負をしていることですね。30kmを完走したら50km、100kmとチャレンジするような人は少ない。だからレースの競技成績もいい。学校陸上競技にはハーフマラソンさえありませんから「50kmに100km?とんでもない」と考えるのが普通だと思います。レース距離は少しづつ伸ばしていくもの。最近の若い人たちはよくわかっています。
 
we never put the treadmill over a six-percent grade.
「トレッドミルでは傾斜6%以上では練習しないこと。」記事アドバイスを要約すると「傾斜15%をつけて走っているランナーの皆さま、本番レースで傾斜15%の坂を走りますか?(走らないですよね?歩くことが多いですよね)つまり、それは実践的な練習ではありません。

僕は以前は「より高い傾斜でトレーニングしていればそれよりも低い傾斜では余裕をもって走ることができる」という考えをもって練習を薦めていた時期もありましたが、今では「レース中に出てくると予想される傾斜で、正しいフォームで楽に走れるように練習しなさい」という指導方針に変えています。本番のレースでは5%や6%の緩やかな上り坂の方が多いのだから、トレッドミルで10%や15%といった傾斜でトレーニングしても実践的とは言えず、本番でも走り続けられる傾斜でスピードトレーニングをした方が効果的だ、ということですね。
Practice running downhills fast during your long runs.(下りを速く走れるように普段から練習しておきなさい)
「トレイルのレースに出るのだから、下り坂は速く走れるように山で練習しておきましょう」
 
Most people benefit from doing workouts and (most of their) total miles on flat or rolling terrain, 
 
本格的なハードな山岳レースに出場を予定している人でもない限り、「ほとんどの人は平地や走りやすい山道での練習で十分」という提言です。
 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

【STEP1】無料メール講座で学ぶ

国内唯一の定期刊行トレイルラン情報の無料メルマガです。2012年発刊以来、3,000人以上の愛読者がいます。トレイルランシューズやザックの選び方から走り方まで。 はじめてのトレイルラン講座メルマガ(週1回程度)

【STEP2】大阪城公園での練習会やトレイルランイベントに参加する

関西近郊でほぼ毎週末にトレイルランなどのアウトドアイベントを開催!多くがお一人様です。安心してご参加ください。平日夜の19:30から大阪城公園で走り方の練習会も開催しています。 「イー・モシコム」からエントリー 公式サイトからエントリー(エントリー手数料無料)

一度、ランニングフォームを見てほしい

「ランニング中に肩こりを感じる」「長時間走ると足首の前の部分が痛くなる」「いつもレース後半で膝が痛くなり、ペースダウンする」「上半身と下半身が連動していない」 完全予約制、1対1の個別指導ランニングフォーム診断KAIZEN「カイゼン」