若い人にはあまりなじみがないかもしれないが、昔の人気テレビ番組、「世界まるごとHOWマッチ」に出演していたケント・ギルバートというタレント、というか弁護士がいる。
Voice(PHP研)という雑誌の、その人のインタビュー記事がYahooに掲載されていたので読んでみた。

記事1
記事2

主に日韓の歴史認識に対する対談記事なのだが、日本人でもまるで感心がない人が多いと言うのに、ネイティブのアメリカ人がよくここまで理解を深めたものだと感心した。
昔テレビで見ていたときは、何このエセアメリカ人(笑)みたいに微笑ましく思っていたが、さすがは国際弁護士というだけあって、自分から見ても信じがたいほどの頭脳の持ち主のようだ。
逆に生粋の日本人(だと思う(笑))の自分がここまで英語を操れるようになれるかと思うと、とてもではないが気が遠くなる。

いわゆる特定アジア諸国(中韓北)が声高に喧伝する歴史認識の報道を見るたびに、劇場版パトレイバーで引用された旧約聖書の一節を思い浮かべる。
「エホバくだりて、かの人々の建つる街と塔を見たまえり。いざ我らくだり、かしこにて彼らの言葉を乱し、互いに言葉を通ずることを得ざらしめん。」

自分の国の言語しかわからないがゆえに、必要のない憎しみを植えつけられる。
他国の言語を操れないがゆえに、自分の主張を世界に広めることができない。

困ったもんだ。
2014年のノーベル物理学賞は、青色LEDの量産技術の確立で、日本人3氏が受賞したのは記憶に新しいが、2013年のことは覚えているだろうか?

2012年に欧州原子核研究機構(CERN)の加速器衝突実験において、ヒッグス粒子らしきものが観測されたことを受けて、1960年代にピーター・ヒッグス氏などが提唱したヒッグス機構について評価され、ヒッグス氏とフランソワ・アングレール氏が2013年ノーベル物理学賞を受賞した。
しかし、テレビのニュースや共同通信の記事などに誤りがあり、多くの方に誤解されたままの問題があるのをふと思い出したので、ちょっと書きとめておこうと思う。

おそらく記事を書いた記者などもよく分かっていなかったのだと思われるが、以下の誤りである。
(誤)物質の質量の起源はヒッグス粒子である
(正)物質の質量の起源はヒッグス場である

基本的に物質は質量0なので、すべての物質は自発的に光の速度で動いていないとおかしいはずである。
しかし、現実には物質には質量があり、光の速度など遠く及ばない速さでしか動かすことができない。
これはなぜなのかというお話だ。

報道の内容では、あたかもヒッグス粒子が空間を満たしているため、他の粒子がそれにぶつかって動きにくくなるために質量が生じるという説明がされていたが、これが誤りだ。
そもそも、ヒッグス粒子は超超高エネルギー状態でないと生成されないし、生成されたとしても、きわめて不安定な素粒子であるために、観測不能なほどの一瞬で他の安定な素粒子へと崩壊してしまう。つまり通常の空間ではヒッグス粒子は存在し得ない。
では何が物質に質量を与えている(動きにくくしている)のかというと、それがヒッグス場なのだ。

「場」というのは耳慣れない概念かもしれないが、『目に見えるわけではないが空間に一様に存在している何か』とイメージしてほしい。
高校の物理で習う電場や磁場においても、目には見えないが空間に一様に電子場と電磁場が存在しているために、それらの相互作用で、何もないはずの空間で電磁波が伝導できるのだ。
同じように、目には見えないが空間に一様にヒッグス場が存在しているために、物質がヒッグス場に干渉されて動きにくくなることで質量が発生する。


ここまでが報道の問題点の指摘。
ここからは1964年に提唱された理論を証明するのに、なぜ2012年までかかったのかというおまけの話。

ヒッグス機構を証明するためには、ヒッグス場が存在することを証明しなければならないのだが、一体どうすれば目に見えない「場」を確認できるのか。
それには、ヒッグス粒子を生成してみればよい。

そもそも、場と物質(素粒子)との関係とはどういったものなのか。
場を一定以上のエネルギーでひっぱたいてやる(励起する)と素粒子が生成される(量子化)。
素粒子ごとに1対1で対応した場が存在する。

電子場を励起すると電子が生成される。
電磁場を励起すると光子(フォトン)が生成される。
クォーク場を励起するとクォークが生成される。
ヒッグス場を励起するとヒッグス粒子が生成される。

つまり、ヒッグス粒子を生成することができれば、ヒッグス場の存在を証明できるのだ。
しかし、ヒッグス粒子を生成するためには、通常の素粒子とは桁の違うエネルギーが必要で、それこそ宇宙創成期(ビッグバン)レベルの超超高エネルギーを人工的に作り出す必要があった。
では、この地上においてどうすればそのようなエネルギーを作り出すことができるのだろうか。
そこで登場するのがCERNの加速器LHCだ。

水素原子核である陽子を光速の99.999999%といった速度まで加速させた上で、それを互いに正面衝突させれば、理論上そのようなエネルギーを発生させることができる。
その理論を実現するための基礎研究や、段階を追った加速器や観測機の建設、実験を各国で競い合い、時には共同で発展させていった。

そして、今世紀に入りようやく、国際共同実験グループにより、ヒッグス粒子生成に必要なエネルギーを発生させることができる規模の大型加速器LHCを、スイスのジュネーブに完成させることができた。なんとその大きさたるや山手線に匹敵する。
そのLHCで陽子同士の衝突エネルギーを徐々に上げていき、ついにヒッグス粒子を生成するのに必要と予測されていたエネルギー7Tev(7兆電子ボルト)に到達したのが2010年。
そこから2年間、そのエネルギー帯近辺での衝突実験を繰り返した。
ヒッグス粒子は生成してもその瞬間に崩壊してしまうために、直接観測はできない。
そのために、「ヒッグス粒子が崩壊したときに起こるはずの挙動」を観測して、その過程のデータを貯めていく。
そして、「ヒッグス粒子が崩壊したときのパターンであることが99.99998%程度確からしい」確度の統計を発表したのが2012年であった次第だ。
物理学の実験においては、この程度の確からしさで粒子の「発見」という単語を使える。

理論物理学のノーベル賞受賞者全般に言えることだが、理論を発表してから受賞するまでには、気の遠くなるような基礎研究や実験、検証が必要になるため、存命中に受賞できるのはまだ運がいいほうなのかもしれない。


さて、さらにおまけのおまけで、なぜヒッグス機構の提唱や証明がノーベル賞モノの重要度なのかについて簡単ではあるが触れてみる。

素粒子に関しての挙動をほぼ矛盾なく説明できている標準理論というものがある。
現在の物理学の根幹をなしているこの標準理論が、ヒッグス機構があることを前提に何層にも渡って構築されているので、もしヒッグス機構の存在を否定されると、物理学自体が根底から破綻してしまうのだ。

ヒッグス機構がない訳がないのはすでにみな分かってはいるのだが、あまりにも重要すぎる根源が証明されていないのはマズいので、とりあえずとっとと証明して次のステップに安心して進もうよって意味で重要であったのだ。


しかし、自分で書いていて思うのだが、場を励起して物質を生成とか、通常の感覚からするとぶっとんだ話すぎて、どこのインチキSFだよみたいな。けどこれって現実なのよね。

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今は動画、CG、音声等の編集やPCゲームなどはほとんどやっておらず、現状それほど困っているわけでもない。
しかし、その困ってないというのがクセ者で、なかなか購入には踏み切れず、気付けば十数年。
PCは製品性能向上のサイクルが早いので、あっという間に資産価値が低下してしまう。
購入するなら必要になってからでないと無駄が多いのだ。

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