【成り立ち】
宮中文化から生まれ、位をいただいています。
武家の奥方や娘さんもです。
京には帝や公家がいて、奥方や娘、女官等も教養の一つとして芸事を身につけていました。
しかし現代と同じで、旦那さんが亡くなったり、お父さんが亡くなったりで、宮中での生活が困窮していく者もいます。
生活をしていく為に自分が今まで身につけてきた教養で芸を、宮中での宴等の時に見せる・・・という事が生業となりました。
元々、位をいただいてるので、宮中へは出入りできます。
その中でも芸事に優れ教養のあるものに『太夫』という位を与えらました。
『太夫』という位は、正五位の別称で、帝に謁見を許された一番下の位です。
位のことなので、もちろん男性でもいらっしゃいます。
【芸事】
舞や茶道はもちろん、他に琴や胡弓、笛など宮中の芸事。
和歌や投扇興などの遊びが必要。
【道中】
太夫がするので『太夫道中』
大傘をさして往来を道中できるのは、太夫という位を与えられているからです。
神社仏閣の神職や高僧のお練りを様式化したものです。
もちろん、花街の外でも道中はできます。
ちなみに私は『内八文字』
前→禿
横→引舟
後→傘持ち
【衣裳】
十二単を簡略化されています。
※太夫を舞妓や芸妓のように見かけないのはだからです。
十二単の人が、外を一人で歩いていましたか?歩けませんよね?
位があるものは、必ずお付きの者がおります。一人では行動できません。
なので現代でも見かけることはないのです。
襟を返し裏の緋色を見せるのは太夫の証明です。
※お芝居や花魁でも襟を返していますが、これは間違えられたまま伝わってしまったせいです。
なぜ緋色かと言うと、正五位の位の袴の色が緋色だからです。
これを見せることによって御所へ上がるための言わばパスポートのようなものです。
帯の結び方は『嶋原結び』と言い漢字の「心」を表しております。
※前で結ぶというのは位のある証拠。前に帯があると何もできませんからね。「心」という字を表しているので、必ず手は帯の下に置きます。それは手を「心」の上に置いてしまうと心を隠すことになるため、下に置いて心から接する、という意味があります。おもてなしの心ですね。
お歯黒をしております。
※位があるものであれば男性でもお歯黒をしていました。なぜかというと、歯を見せるとうのは「はしたない」とされたからです。
年中素足です。
※これは位があってもお客様より一歩控えるという意味です。
この豪華な衣裳になったのは、明治頃からです。
最初の頃から今の姿になるまでは、簪も少なくシンプルだったのです。
おそらく、現代のファッションと同じで、「あ、あんなとこに簪さしてる。ええな」というような感覚でどんどん豪華になっていたのかな。。。と言われてます。
その証拠に時代祭りの吉野太夫はシンプルです。