Perfume LIVE @東京ドームのマニアックな話題をお一つどうぞ | 音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界

Perfume LIVE @東京ドームのマニアックな話題をお一つどうぞ

東京ドームの音響と音質について、Perfume界隈の皆さんが結構書いているので、オレも同調しようっと(笑)。

以前の記事で、オレはこのように書いた。



                     ※※※


アリーナで聴く限り "あの東京ドーム" にもかかわらず、音響的には悪くなかったように思う。今回のPAチームはかなりしっかりと "東京ドーム対策" を徹底的に行い、その欠点をかなり打ち消したように感じた。


                     ※※※


オレにしてみたら元々「東京ドーム」と聞いただけで、音響的・音質的には "もう絶望的(笑)" というイメージが頭から離れないぐらい、ほとんど期待していなかった (申し訳ないが、東京ドームでの音質よりも、オレのクルマで聴くほうが良い響きであることは間違いない)。 したがって、アリーナで聴く限り音質的には悪くなかったと思った。むしろ大健闘だと思った。(たしかに「P.T.A.」のコーナーのバスドラの天然リバーブによる "拍のダブり" はかなり気持ち悪かったが)

それで、今回のPAチームはかなりしっかりと "東京ドーム対策" を徹底的に行ったのではないかと感じたのだ。


そのPerfumeを支えるPAチームは「MSI JAPAN」という業界では知らない人はいない、創業30年の老舗のPA会社だ。昨年、同社はデジタルPAシステム「V-Mixing System」と「Digital Snakeシリーズ」をいち早く導入。業界内の話題をさらった。さらに「L-ACOUSTICS K-1」という大規模スタジアムを想定したPAシステムを2009年6月の「福山雅治・アリーナツアー」にてアジア初導入。"大ハコ鳴らし" にはかなり力を入れている。


音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界




この「MSI JAPAN」の "大ハコ鳴らし" は有名で、ドリカムなどの大規模公演を担当することが多く、アミューズ系なら、福山雅治やポルノグラフティーなどの大規模公演はほぼ同社が請け負っている。



PerfumeのPAエンジニアとしては「⊿TOUR・DVD」の特典映像で取り上げられた、佐々さん(MSI JAPAN所属)が有名になってしまったが、今回の東京ドーム公演では "大ハコ鳴らし" と異名をとり、大規模PAオペレーションで豊富な知識と経験を持つことで知られている村田孝氏(MSI JAPAN所属)が手がけたエンジニアリングの可能性が高い。もちろん佐々さん (たぶんFOH担当だろう) は村田孝氏の率いるチームの一員である。



村田孝氏の手がけるスタジアムクラスのPAシステムなら、PAスピーカーの核となるものはやはり先で述べた「L-ACOUSTICS K-1」である可能性が高い。この「L-ACOUSTICS K-1」は元々、野外イベントや野球スタジアムを想定した設計思想で、高音域のf特がフラットでスムーズという評判。東京ドームには最適である。

ちなみにオレは当日会場でPAスピーカーのモデルを確認しようとしたが、視認はできなかった。しかしこのモデルと同形状のPAスピーカーであることは把握している。


村田孝氏のエンジニアリングなら使う卓は「DIGIDESIGN Venue」の「D-Show Profile」であろう。



低音が弱かったという感想も見受けられるがこれは東京ドームの立地条件を考慮すると、致し方がないのかもしれない。


オレは当日、東京ドーム周辺を散策した。確かに水道橋駅周辺は商業地域なのだが、少し離れると住宅街にも遭遇。高音域は遮蔽物があればその音はかなり緩和されるが、低音域にとっては遮蔽物は関係なく、放出され共振し、地域住民の身体にその振動が伝わるだろう。


特にPerfumeの持っている本来のサウンドは低音が強く、さらにスペクトラム分析を行うと人間の耳には感じないような "超低音域" も含まれている。


オーディエンスの期待に応えるようなイコライジングを東京ドームLiveで実施したなら、我々オーディエンスは満足するだろうがそれと同時に、地域住民からの苦情が殺到することも間違いないであろう。もう二度とPerfumeは東京ドームでLiveは実施できなくなる可能性が高い(開演前の注意事項の説明で"ジャンプ禁止" といっていたが、それらを含めた低周波振動に地域住民が悩まされ、クレームも多いからだろう)。


したがってPAのイコライジングとしては、それらの妥協点として "低音域弱め" 、"高音域強め" のf特のセッティングにしたことが考えられる(「P.T.A.」のコーナーのあ~ちゃんの煽りの高音域が会場内を回って聞き取りにくかったのも頷ける)。


その妥協したイコライジングにしては、アンコールの『ねぇ』では充分な音圧と低音が身体の芯を貫く感じで、以上の条件から鑑みるとオレ的には結構満足でき、"MSI JAPAN" PAチームは大健闘だったのではないかと考えている。(まぁ、欲を言えばきりが無いので、最上とは言えないが、ハコの音響特性や立地条件から考えると大健闘かなと。)



あっ、オレの趣味は "音響" です(苦笑)。





○追記1


村田孝氏はMSIエージェンシー(HITEC)の代表取締役社長兼、現役のPAエンジニア(専門は system とFOH )でもある。




昨年の『⊿TOUR』のPAスピーカーは「L-ACOUSTICS K-1」の同社・前モデルの「V-DOSC」を導入していた。ちなみに「V-DOSC」の持っている "緻密でパワフルな低音の質感" がオレは大好きである。

音楽三昧 ・・・ Perfumeとcapsuleの世界




○追記2 (11月12日)

先ほど、MSI JAPANの公式HPを見たところ「コンサート情報」が更新されており、東京ドーム公演で使用されたPAスピーカーが発表されていた。

L-ACOUSTICS社の「K-1」ではなく、昨年の『⊿TOUR』でも導入されていた、同社・「K-1」の前モデルである「V-DOSC」だそうである。

ちなみに東京ドーム公演と同日の11月3日に "さいたまスーパーアリーナ" で開催されていた『SEOUL TOKYO MUSIC FESTIVAL 2010』に、L-ACOUSTICS社の「K-1」を導入していたみたいで・・・・・・・・。「SCHOOL OF LOCK!」での "かしゆかの号泣" を聴いた後でそれを知ったので・・・・・・ なぜか、やるせない、悔しい気持ちが湧き上がってきた・・・・・ (苦笑)。