渡米 その後2 | パワカンのブログ(輸入車個人輸入代行)

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日本 アメリカ 人と車。日本の将来を考えます。

現在台風16号通過に伴い、千葉のガレージに張り付いております。

自分が飛ばされる、と言うより飛来物など気掛かりです。

そんな訳で、前回の続きをかいてみたいと思います。

 

さて皆さん、

留学や旅行などで外国生活してみる意味は、どんなところにあるとお感じですか?

 

一言で言うと、自分の国の長所や短所が分かる、とよく言われます。

例えばアメリカと比較すると、

高速道路が無料

ホテルに宿泊しても料金は部屋代であって、1人当たりの金額ではない事や

アパートを借りても礼金や更新料もない

チップを払う文化

食事の文化

と言う生活費の面や

治安から言えば、

銃社会なのは言わずもがなですが

気楽に夜中に出歩けないし

言い争いから発砲事件に繋がるケースも多い

現金をあまり持ち歩かないカード社会

交番が無い

 

こういう事を経験して、理屈じゃなくて感覚として見えてくる日本と言うのがあるんですよね。

 

もし、アメリカが高速道路を有料化したら、経済は相当衰退するんだろうな、とか

チップが無くなったら飲食店の失業率は増えるんだろうな、とか。

銃社会で無くなれば、快適に生活できるようになるかも知れないけど、人としての危機管理能力が下がる裏の面もあるのかな、とか。

以前、こんな事がありました。

コンビニエンスストアで買い物をしていたら、店の前にいた2人が急に口論を始め過熱し出したのでした。と思うと、1分足らずでパトカーが来て、警察官が2人を引き離した。

店員がすぐに電話して、巡回中のパトカーが駆け付けただけの事ですが、日本だったら誰が通報しただろうか、巡回しているパトカーがそんなにいるだろうか。

そう言う意味では、アメリカは巡回している事が仕事で、いざと言う時に早く駆け付けられる事に意義を見出しているから、交番はそれほど必要ではない訳で、交通違反の取り締まりをしている姿も日本と比べて見かけることがない。

治安が悪ければ危機意識が働くし、治安が良いがために大事になるまで気が付かない、なんて事もありそうです。

 

なので、危機感が薄く育った私には、アメリカの治安の悪さに慣れるまで時間が掛かったのでした。

 

外食では、チップとして飲食費の15%、夜なら20%は払うようにしていたので、結構高くつくのです。1,000円なら、税込み1,200円になる。夜なら更にです。

だから、外食は相当控えていたし、食べてもFast Foodの類が多かったです。Fast Foodと言っても、日本には無いGrandy’sと言うフランチャイズが主で、KFCのような柔らかいものではなくて、サクサクのフライドチキンが6ドルで食べ放題のランチ。

Fast Foodだからチップも掛かりません。それにしても、あのサクサクはいまだに思い出いします。ちなみに、オクラホマはFast Foodに関わらずどの店に行ってもコーラもコーヒーもお代わり無料でした。

 

犯罪件数やGDPを分析したところで、国の治安や経済を支えている根本から違うのだから、日本に置き換えて考えられる次元にはアメリカはない、事に少しずつ気付きます。

数値を一絡げにして比較しても問題は根深い所にあるんですね。

 

さて、

前回の記事で書いたように、フロリダ州パナマシティと言う町の州立の短大(Gulf Coast Community College=現Gulf Coast State College)に向け、TOEFLのスコアを獲得するまでの間、折角だからと休みの日はアメリカを堪能しました。

まずロデオ。オクラホマならではですが、オクラホマについて現地で習った事を少し説明してみます。

オクラホマとは、大陸のちょうど中部の少し南のある州で、インディアンが多く、草原の広がる事から牧場も多い地方です。

インディアンをネイティブアメリカン(アメリカ原住民)と呼びますが、白人がアメリカ大陸を開拓(占領)した際に、インディアンを奴隷化した訳ですが、最終的に居住区として生活が許されたのがオクラホマ州。米国内で時々見かける居住区(Reservation)の看板ですが、全米で一番多いようです。Broken Arrow(折れた矢)など、インディアンにちなんだ地名が多い理由でもあるようで、オクラホマと言う名前自体が、インディアン語で「赤い目」、赤い人間と言う意味でもあるそうです。

そういえば、ケビンコスナーの映画Dance with Wolvesで出てくるインディアンに付けられた名前も、こういうのが多かったですね。(“こぶしを握って立つ女”とか)

因みに、この映画は西海岸側なので、いわゆる西部が舞台です。

白人に徹底的に抵抗した「ジェロニモ」と言う酋長の名前を知っている人も多いと思いますが、最終的に強制移住させられ生涯を閉じたのもオクラホマでした。

 

更に牧場が多いことから、いわゆるカウボーイも多く、白人比率も高い。ブーツ、ベルトのバックル、テンガロンハット、そしてロデオの看板をよく見かけました。カントリーミュージックの良く似合う町でした。それでいて、人種差別や縄張り意識の高さも肌で感じていました。

 

ある時、レンタカーを借りて皆で州をドライブした時、広大で綺麗な牧場が目に入ったので脇に止めて記念撮影をしていました。牧場主がトラクターで近づいてきました。テンガロンハットにオーバーオールのお爺さん。絶好のタイミングとばかりに「一緒に」と声を掛けようとした時、”Get Out”と一言、散弾銃を向けられ、慌ててその場を離れた事がありました。

当時、ルイジアナ州のバトンルージュ、ハロウィーンの時期に他人のドアを叩いて撃たれて亡くなられた日本人留学生の事件が話題になりました。不用意に他人の敷地に近づいてはいけないんですね。

 

更にぞっとする事がありました。

夜中、机に向かっていた時、隣の空き地から銃声が聞こえました。10mも無いすぐそこです。以前、ホームステイ先で何度か聞いていたので、すぐにわかった。

自分の部屋は1階です。見ようと思えば左脇のブラインド―の隙間から窓越しに様子が見えます。隙間を覗いた瞬間、「もし目が合ったら?」と一瞬ためらう。

部屋の電気を消さないと!と考える。

いや、「もし殺人だったら、部屋の明かりが消えた瞬間、目撃した」と思われる。

ならば、何事もないかのように机に向かっていよう、と考えた。でも「今この時、ブラインド―越しに自分に狙いを定めていたら?」と思ったら、背筋が凍りつきました。もう出来る事は一つ。すぐにトイレに駆け込んでドアを閉めて待つ事しかなかったのです。

こう言う瞬間は頭がフル回転していて、「パン!」と聞こえてトイレに入るまで10秒にも満たないくらいです。ボケボケしていたら、もしかして,,,です。

トイレにそのまま何時間居たでしょうか。出た瞬間を狙って窓越しに構えているかも、と思うと、もう出ようとドアノブに掛けた手を離し、もう少し待つ、こんな事を繰り返します。

考えすぎだと思う人もいると思います。でも、慎重の上に慎重を重ねるのは性分でしょうか。

身の危険を感じたら、先に進まない勇気が結果的に身を守る事に繋がるかも知れないと言うのは体感で経験してきた事です。

夜が明けると、早速警察が来て色々と調べていましたが、「その場に居ました」なんて言うの、怖いんですよね。もし殺人事件だったら、誰が見ているか分からない、目撃者扱いされたくない、斜め前に危険な匂いのする人達が住んでいる現実もあり、横目で素通りして学校に向かったのです。

 

TOEFL勉強中も、友人達が車を買ったりした事もあり、同乗して行動範囲が広がります。

週末はボーリング、1ゲーム200円しない安さなので、しょっちゅうでした。夜のドライブと称して、ラングラー(JEEP)で意味もなく真北に向かおう、と言う事がありました。しかも一般道。

最初はクリスマスのネオンが綺麗なニコルズヒルズと言う住宅街を抜けます。

 

余談ですが、アメリカはクリスマスシーズンになると、皆で地域一帯を飾りつけたりしています。アメリカに行って知った習慣です。写真の通り、暖色をうまく使った拘りの庭やデコレーションを披露している家が並び、沢山の人が散歩がてら見に来るのですが、

どの町にもあるものなので、12月に渡米の方は是非、探してみては如何でしょう。

10年前ですが、カリフォルニアカリフォルニア ロサンゼルスだったら、トーランス近くのLomitaやPasadenaは綺麗でした。

 

その先からどんどん寂しい道になり、いつものボーリング場。

それで、この後はどんな道になるのかな?と日ごろから興味があったのです。

走るほど町の灯も無くなり、最後は街灯も無く、車のライトが無ければ真っ暗です。

時々道端でバチンと言いながら火花を飛ばす物体があって、何かと見てみると、オイルを吸い上げているやつがいます(下写真左側)。至る所に設置してあって、これがオイルジャックってやつかと感動したものです。森も林も何もない所は満天の星空の下で静寂の世界で、ソフトトップを畳んだラングラーでドライブだったので、臨場感たっぷりでした。一旦停まって、耳を澄ませてみようとエンジンを止めて、ライトを落としてみたら、驚くなかれ、無数のホタルが飛んでいました。脇に水が流れていましたが、澄んでいるんでしょうか。とにかく凄い数で、温かいからか、車にも、体にも留まる。じっと眺めていたいのですが、タイヤにも留まり始めたので、その場から立ち去る事にしました。

google map

 

更に進んでも何もありません。だからと言ってよく見ていないと、道が1m以上陥没している事があり、落ちると大変です。私が遭遇したのは、20mほどの長さに渡り1mほど陥没していたので、運よく飛び降りても20m先は1m高い道に追突するだけ。出来たばかりか看板も立っていませんでした。運よく落ちずに済みましたが、こういう落とし穴があるので田舎道は要注意かも知れないです。

もっと酷いのは舗装されていない道です。時々交差している未舗装を進んでいると、野生化すると言うか、草が生え始めました。両側は森に囲まれ始め、現れるオイルジャックも小型化して触れそうな所にさえあるほどのまさしく怪しげな林道になりました。ヘッドライトの先に何も見えなくなってぱっと森が開けた時、吊り橋が見えた。瞬間的に、また嫌な予感がして、陥没した道の時のように急停車しました。車を降りて近づいてみると、今度は数十メートル下に橋の足場らしいものが横たわっているじゃないですか。吊り橋の支柱とワイヤーが残ったままなので、一見では橋が架かっているように見える所が恐ろしい。

このまま進んでいたらひとたまりも無かったねぇ、と皆でほっと胸を撫でおろし眺めておりました。懐中電灯を取り出して照らしてみると、相当深い崖だという事を知って更にぞっとする訳ですが、落ちた橋の足場の横に車も横たわっているではないですか。今さっきの感じはないのですが、1人がきっと助からなかっただろうね、と何気なく呟いた。反射的に皆が顔を見合わせた瞬間、「此処に長居してはいけない」と同時に感じ合って、来た道を急いで戻ったのです。舗装走路に戻るまでは、バックミラーも見ない、誰もが決して振り向かいと決めて、無言で走り抜けた事がありました。

その時の教訓としては、道が野生化するイコール整備されていない&通れない理由がある。思えば、人は通れない事を知っていたのに、看板は立っていなかった。

国土が広すぎるために、手が届きにくいと言う一面があるようです。

こんな所にも命の危険が潜んでいます。

 

オクラホマには竜巻と言う自然災害も起こります。老朽化ではなく、この影響で橋が崩れた可能性もあるのです。

ある時、夏にも関わらず、突如として冬のような気温に下がった時があります。

日が落ちると竜巻は見えない。オープンにしているので車のヒーターを入れてもあまり効かないので、幌を閉じようと車を止めた。風がどんどん強くなるばかりで幌を閉めるにも、閉められない。同時に、どこからともなく異様な音が聞こえてくる。それでようやく竜巻が近くに来ていると皆が実感するのですが、都市部ではないので警報が鳴らないし、夜ではどこにいるのか分からない。逃げるにしても、森の騒ぐ逆方向と風下に向かって道を選ぶしかないのです。そこを脱するとまた夏の気温に戻ってホッとする。こうして日常で非日常を体験していくのですが、そこに住む人達は、きっとこういうことを理解したうえで生活していて、決して珍しい事ではないんですね。

日本に戻る度に、「顔が険しくなる」と言われたのは、危機感を察知しようとしているが故の事だったのかも知れません。

 

ドライブの話が長くなりましたが、他にスポーツ観戦や映画、特有の文化にも慣れてきました。

オクラホマの体験談をもう少し次回で紹介していきたいと思います。