中島 隆信
オバサンの経済学

著者は慶應義塾大学教授、これまで「大相撲の経済学」「お寺の経済学」「障害者の経済学」などを著しています。
本書の感想はというと、はっきり言ってどうでもいい内容です。

オバサンとは「女性らしさの維持をやめた存在」と定義し、女性らしさの維持によるメリットが年齢とともに下がり、それにかかるコストが年齢とともに上がることから、両者が交差する点からはオバサンとなったほうがメリットが上回ると説明、また、女性の変化について、「お母さん」→「オバサン」→「おばあさん」という流れを想定し、その変化が合理的なものであるという説明をしています。
ムリに経済学の概念を使わなくてもいいと思うんですけどねぇ…。

J.ストーズ・ホール, 斉藤 隆央
ナノフューチャー―21世紀の産業革命

ナノテクノロジーという言葉は、広義では「100ナノメートルより小さなものを扱うすべてのテクノロジー」を指すが、本来の意味は、「すべての原子や化学結合が精密に規定されたマシンの設計・製造のこと」であり、本書ではその本来の意味でのナノテクノロジーの発展によりどのような世界が開けるかを述べています。
序文でドレクスラー氏が「ナノテクノロジーは、第二の産業革命をもたらすともてはやされてきた。第三、第四、第五でないのは、コンピュータやロボット工学などのテクノロジーでもそうした予言があったが、どれもまだ最初の産業革命を凌いではいないからだ。」と述べていますが、たしかに本書を読むとナノテクノロジーにより革命的な変化が起こることがわかります。
しかもその技術が21世紀に実現するというのですから、今後の世界に起こる変化は大変なものになるかもしれないと感じました。
目次は以下の通り多岐に亘っています。
「1. ナノテクノロジーとは何か?~そしてそこに多くの混乱があるのはなぜか?」「2. 未来の手がかり~こんな予言を本気で受け入れられるだろうか?」「3. 現在のナノテクノロジー~実験科学と生命活動――そしてここから実物の登場に至るまでのプロセス」「4. ナノマシンの設計と分析~理論、現在のツール、そして将来像」「5. ボルトとナット~成熟したナノテクノロジーはどんなものになるか」「6. 機関~分子マシンを動かす」「7. デジタル・テクノロジー~原子は物質世界のビットだ」「8. 自己複製~母なる機械」「9. 食品と衣服と住まい~ナノテク時代の暮らしぶり」「10.経済~コストはどうなるか?」「11.輸送手段~イッツ・ア・ベリー・スモール・ワールド!」「12.宇宙~はるかに大きな世界がそこに待ち受ける」「13.ロボット~ありとあらゆる仕事のために」「14.人工知能~それは意外に間近に」「15.暴走するレプリケーター~危険な火遊び」「16.真の脅威~ならず者はさらに危険なおもちゃを手にする」「17.ナノ医療~悪いところを治す」「
18.身体改造~超人の可能性」「19.人間の未来~いつまでも幸せに暮らすために 」
ナノテクノロジーによって、社会、衣食住、エネルギー、交通、経済、環境、宇宙、テロ、医療などが激変します。
「分子サイズ」のエンジンによって、自動車にたくさんの脚がつき、どんな路面でも軽々と滑っていく。歯ブラシの毛の1本1本にモーターがつく。超薄く、軽いナノスーツを着れば、アラスカの屋外でテニスができる…各家庭に空を飛ぶ車が普及、食品も日用品も1台のマシーンで作り、ナノロボットはペンのサイズでポケットに、自分の分身を使えば複数の場所で同時に仕事ができる。寿命は10倍になり、宇宙にも低コストで進出できる…。
本当にそのような世界が実現するのかどうか、判断する能力はありませんが、そのなかのいくつかでも実現すれば、コンピュータの普及以上にインパクトのある変化が起こるかもしれないと感じました。
自分が生きている間に間に合えばいいなと思います。

山本 周五郎
人情裏長屋

昭和8年から27年の間に発表された「おもかげ抄」「三年目」「風流化物屋敷」「人情裏長屋」「泥棒と若殿」「長屋天一坊」「ゆうれい貸屋」「雪の上の霜」「秋の駕籠」「豹」「麦藁帽子」11編が収められた短編集です。
「豹」と「麦藁帽子」は現代ものですが、それ以外は長屋もの、武士ものです。
ユーモアと人情に溢れた話ばかりで、「長屋天一坊」「ゆうれい貸屋」などはそのまま落語になりそうです。
「三年目」は解説などにも書かれている通り、「さぶ」の原型となるような作品です。
現代ものについてはいまひとつの感じがしましたが、それ以外はすべて読んで心温まるような作品でした。

デイヴィド・クレイグ, 松田和也
コンサルタントの危ない流儀 集金マシーンの赤裸々な内幕を語る

長年、欧米の大手コンサルタント会社に勤務した著者によるコンサルタント会社の内幕を描いた本です。
薄々感じていたことですが、やはりそうだったんだなぁという感じで、コンサルタント会社には基本的にはたいしたノウハウはないということがよくわかりました。
著者が経験したことや見聞きした話、著者の所属していたコンサルタント会社自身がM&Aに失敗し、組織が崩壊してしまった話など、軽快な筆致で書かれています。
結語の「コンサルタントに食いものにされないための9カ条」では、クライアントが真に価値あるコンサルティングを買うための条件として以下の9つを挙げています。
1.社内の人間の手では解決不能な問題が存在すること
2.社長及び経営陣がその問題を正しく把握していること
3.コンサルタント会社が、単に自分たちのよく知っていることを売りつけようとしているのではなく、本当に問題の解決を望んでいること
4.そのコンサルタント会社にこちらの問題を解決する適切なスキルの持ち主がいること
5.適切なスキルを持ったコンサルタントが確実にこちらのプロジェクトについてくれること
6.期間と予算を厳守させること
7.報酬の基本は出来高払いであること
8.そのコンサルタント会社が「リーズナブルな」顧問料と経費を請求していること
9.ITシステムを買う場合、新たなシステムの構築を決める前に既存のテクノロジーを応用するあらゆる可能性を追求すること
以上、当然のような条件なのですが、本書を読むと、逆にこれが望むべくもない不可能な条件のように感じられます。
著者が本書でも疑問を呈していたように、経営者は経営するのが仕事でそれで報酬を得ているのに、なぜコンサルタントにバカ高い報酬を払って経営コンサルを受けるのか、理解できないところです。

山田 修
実践!企業再生52週間プログラム―この7つのステップで劇的に変わる

経営者として外資系5社を渡り歩き、再建の実績を残してきた著者が、社員300人以下の会社経営者用のに1年間で行う企業再生マニュアルを著したものです。
目次は以下の通り。
1 徹底した社内コミュニケーションをとれ(0~4週)
2 「三つの要素」で大づかみに分析せよ(3~6週)
3 マネジメント・チームを変える(4~13週)
4 商品戦略、マーケティングをゼロ・ベースで立て直す(9~21週)
5 組織を本格再編する(13~30週)
6 プロセス管理と内部効率化(26~47週)
7 決め手となる「戦略」を確定する(39~52週)
社内コミュニケーションの重要性、マネジメント(経営陣)の重要性、ゼロ・ベースでの思考、意思決定など、記述は具体的であり、参考になります。
著者がはじめに述べている通り、多くの経営書は大企業向けに書かれたものが多く、実際には日本の企業の大部分を占める中小企業には実行が難しいものです。
本書は数十人から数百人程度の規模の会社には有効な書だと思いました。

榎本 秋
戦国軍師入門

本書はタイトル通り戦国軍師についての入門書。
「第1部 戦国軍師とは何者か」では、戦国大名や合戦の実態と戦国軍師について説明し、「第2部 勝敗を分けた軍師の決断」では有名な14の合戦を紹介し、「第3部 名軍師、その生涯と運命」では有名な軍師16人について簡単に説明しています。
合戦や軍師の紹介について、ひとつひとつの事例が短すぎるので、いまひとつ凄さや面白さが伝わってきませんでした。
もう少し事例を絞って詳しく記述したほうが興味を持てた気がします。
紹介された事例は以下の通り。
合戦:安祥城の戦い、九頭竜川大会戦、厳島の合戦、北九州をめぐる戦い、稲葉山城乗っ取り、耳川の戦い、秀吉の中国攻め、今山の戦い、沖田畷の戦い、秀吉の四国征伐、人取橋の合戦、関が原の合戦、石垣原の戦い、大阪の陣
軍師:太原雪斎、山本勘助、真田幸隆、朝倉教景、甲斐宗運、宇佐美定満、蜂須賀正勝、竹中半兵衛、鍋島直茂、角隈石宗、立花道雪、黒田官兵衛、片倉景綱、島勝猛、直江兼続、本多正信

茂木 健一郎
感動する脳

タイトル通り「感動する」ことの重要性を脳科学の見地から述べた本です。
読みやすい本で書いてある内容も悪くないと思いますが、既に著者の本を何冊も読んでいると特に目新しいことはありません。

池内 ひろ美
男の復権―女は男を尊敬したい

著者は夫婦・家族問題コンサルタント、「東京家族ラボ」の主宰者とのことです。
「第1章 大人の男になるための十箇条」「第2章 後悔しないための女の選び方五箇条」「第3条 「少年の心を持った」オヤジ」「第4条 「オトコのお母さん」になっていないか?」「第5章 ガンバレ!男たち」の5章からなっています。
著者は、夫婦・家族問題コンサルタントで年齢的にも近いので、もう少し成熟した意見を書いてあるのかと思って読んだのですが、20代~30代前半ぐらいの男性向けという感じで、あまり深みのない内容でした。
書いてある内容が男性寄りの見方だと感じたのですが、3~5章はダイヤモンド社のPR誌への連載を加筆修正したものとのことで、なるほどなという感じです。


武谷 牧子
テムズのあぶく

第1回日経小説大賞受賞作。
ロンドンを舞台にした50歳の日系企業支社長と46歳の舞台監督の恋の物語です。
お決まりの展開ではありますが、最後はちょっとほろっときます。
ストーリー自体はありふれた話で、テレビドラマにはうってつけという感じです。
ロケ地はロンドンとナポリ。
中高年の恋物語は悪くはないと思いますが、舞台がロンドンでエリートサラリーマンと海外で活躍する女性アーチストというのがちょっと嫌味な気もします。
まぁ、渡辺淳一のくだらない与太話と比べたら100万倍ぐらいいいですが…

ピーター・ラヴゼイ, 山本 やよい
殺人作家同盟

アマチュア作家がつどい、自作の小説や詩、エッセイなどを発表し合うクラブで、その会長の作品が、出版社経営者のブラッカーの目にとまり、出版される運びとなる。
クラブではブラッカーの講演会を開くが、その後ブラッカーは自宅諸共焼き殺され、会長に疑いが向けられる。
クラブの新参者であるボブ・ネイラーを中心として、一部のクラブ員は会長の容疑を晴らそうと独自の調査を開始するが……。
という話です。
クラブのメンバーや警察関係者は良く描き分けられており、犯人もなるほどという感じです。
ただ、基本的には謎解きだけなので、オールドタイプのミステリーという印象でした。