黄 文雄
韓国は日本人がつくった

台湾人である著者が、「「日帝三六年」がなければいまの韓国はなかった。歴史を学ぶべきは韓国である」と主張し、日本の韓国統治および韓国の歴史について検証した本です。
韓国人の主張する「日帝三六年」の「七奪(主権、国王、人命、国語、姓氏、土地、資源)」は本当にあったのか、むしろ「七恩」として感謝すべきではないかと主張しています。
「第1章 韓国の独立と主権を確立したのは日本だった」「第2章 事大主義と属国根性が染みついた民族性」「第3章 李朝崩壊の混乱を救った日韓合邦」「第4章 「日帝三六年」で実現した法治と人権」「第5章 漢語崇拝を絶ち、ハングルを広めた日本」「第6章 創氏改名と皇民化政策の真実」「第7章 飢餓の国を近代農業国に変身させた」「第8章 近代化のインフラを創出した日本の投資」「第9章 「正しい歴史」を学ぶべきは韓国人だ」
の9章から成っています。
「自虐史観」に慣れた目からみると過激な内容に見えますが、史書や統計数字をバックに論理を展開しており、違和感はありません。
確かに著者が述べるように、韓国は日本が支配するまで一貫して中国の属国であり、対外的にも独立国とは認められていなかったこと、当時の環境からすれば日本が合邦しなければ、ロシアか中国に組み入れられていたことなどは反論しづらいでしょう。
また、日本の保護国となった1906年には980万人だった人口が1938年には2400万人まで増加していることをみると搾取し虐殺を繰り返していたということはあり得ない感じがします。
「歴史認識」を新たにするのに良い本だと思います。

真保 裕一
最愛

小児科医である主人公が事故にあった姉について調査を進めていくうちにいろいろな人間関係が明らかになっていくというスタイルの小説です。
ミステリーとしては、種明かしされるまできちんと材料が提示されていないので、失格でしょう。
人間関係のあり方としてもかなり不自然なものを感じ、感情移入ができませんでした。
主人公が、事故の連絡を警察から受けるまでなぜ「最愛」の姉と連絡を行ってこなかったのか、この小説では理解ができませんでした。


江副 浩正
リクルートのDNA―起業家精神とは何か

リクルート創業者の江副氏が経営やリクルート創業からの体験を語った本です。
経営について語る部分はもっともですし、経験に裏付けられたものなので、重みはあるのですが、他の経営書にも書いてあるような内容ではあります。
印象に残ったのは、本人が自分はカリスマ性がないのと自覚したうえで、社内の一体感を出すために行ったことです。
宴会や旅行などもありきたりではありますがやはりそういったものも必要なのだなと感じさせますし、社内に多くの独立したユニットを作り、そこに経営責任を負わせるというスタイルが後に多くの経営者を輩出するのに繋がったということもよくわかりました。
リクルートの経営の三原則は「1 社会への貢献」「2 個人の尊重」「3 商業的合理性の追求」、
社訓は「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」ということで、それをより具体的に示したものが、
経営理念のモットーで
一「誰もしていないことをする主義」
二「分からないことはお客様に聞く主義」
三「ナンバーワン主義」
四「社員皆経営者主義」
五「社員皆株主」
六「健全な赤字事業を持つ」
七「少数精鋭主義」
八「自己管理を大切に」
九「自分のために学び働く」
十「マナーとモラルを大切にする」
の10か条ということです。

江副氏自身も書いているように、カリスマ性を持って引っ張っていくタイプではなかったのかもしれませんが、こうした理念やモットーを忠実に実現できる組織を作ったことが成功の要因なのだと感じました。

苫米地 英人
夢をかなえる洗脳力

脳機能学者である著者が、既存の「成功本」「夢をかなえる本」などを批判し、本当に夢をかなえるにはどうすべきかを解説した本です。
「夢をかなえる」=「金銭的成功」のような図式を廃し、他人の幸せまで含んだものが夢であり、それをかなえてこそ幸せになれるという考えには共感が持てます。
著者の主張するのは、「止観」し、「抽象的に考えること」。
若干奇異な主張もありますが、言っていることはまともと感じました。

宮内 亮治
虚構―堀江と私とライブドア

ライブドアでナンバー2だった宮内氏がライブドアについて書いた本です。
かなり正直に書いているんではないかと感じました。
起訴された粉飾決算についても、意図して法を犯したのではないが、そう指摘されれば現在では違法だったと思っていると述べています。
2004年9月期決算の粉飾決算では堀江社長のプレッシャーがあったこと、ニッポン放送の株式取得騒動のあとは堀江社長は業務への熱意を失っていったことなども事実だろうと感じさせる内容です。
特に何かを得るような内容の本ではありませんが、ライブドア事件に関心がある人にはそれなりに面白く読めるのではないかと思います。

パオロ・マッツァリーノ
つっこみ力 ちくま新書 645

「つっこみ」は愛と勇気とお笑いでおもしろさを生み出すもの。「愛」はわかりやすさ、「勇気」は権威に対する勇気だと言います。
そして、人は「正しい」議論や批評、批判には興味を持たない。つっこみ力を磨き、「おもしろい演出」をすることが必要だと主張します。
また、「メディアリテラシー」の要素は論理と批判だが、社会が求めているのは新たな価値を提供する創造力であり、論理力や批判力は役に立たないと指摘します。
確かに「正義」に対して、論理で批判するよりも、「つっこみ」のほうが心に訴えます。
以前紹介した「それってどうなの主義」と通ずるものがあります。
後半では、統計データの恣意性をわかりやすく批判して「つっこんで」います。
思っていたより面白い本だったのですが、自称イタリア人戯作者「パオロ・マッツァリーノ」というペンネームはどうかと思います。
本を読む前はホントにイタリア人の書いた本だと思って敬遠していました。

山口 勝業
日本経済のリスク・プレミアム―「見えざるリターン」を長期データから読み解く

株価・金利・為替の長期データから日本経済と投資家行動を最近の行動ファイナンスまで含めてファイナンス理論に基づいて実証的に分析した本です。
内容はやや専門的ですが、投資や市場について理論的な興味のある人にとっては内容の濃いものだと思います。
目次は以下の通り。
「第1章 日本経済の変曲点」
「第2章 バブルとパニックはなぜ繰り返されるのか?」
「第3章 理論と現実----どちらが間違いか?」
「第4章 投資家はどれだけの報酬を要求しているか?」
「第5章 企業の実力と株価は関係があるのか?」
「第6章 市場は均衡しているか?」
「第7章 負けるが勝ち!? なぜ業績の悪い会社の株価が上がるのか?」
「第8章 小型株への投資リスクは報われるのか?」
「第9章 日本国債の利回りは低すぎるか?」
「第10章 円ドル相場はいくらが適正か?」
「第11章 金融市場の社会心理学」

朱川 湊人
超魔球スッポぬけ!

Webマガジン幻冬舎に連載されていたエッセイをまとめた本です。
著者は、「花まんま」「かたみ歌」「わくらば日記」など都市伝説やノスタルジックな世界を描く小説を書いているのですが、このエッセイはそうした雰囲気とはかなり異なり、著者の別の面を見せています。
怪獣おたくや学生時代のバンドの話など、楽しく読め、文体も小説とは違って軽いもので、読みやすいものです。
特に何か心に残るという内容ではないですが(タイトルからしてそれは期待してもしょうがないですね)、さらっと読むにはいい本です。

デビッド・ボルコーヴァー, クリス・ブラディ, 北村 礼子
サッカー名監督に学ぶ勝つための経営学

私はサッカーファンで経営学にも興味はあるのですが、それでもちょっとわかりにくい本です。
理由は、例を挙げて説明しているのが、1960年代から2003年ぐらいまでのイギリスのプレミア・リーグの監督についてだからで、イギリス人には理解しやすいのでしょうが、そこまで詳しくないとピンときません。
内容は悪くないと思うのですが、やはり日本人にはスポーツを例に取るのであれば、プロ野球がいいようです。
例に挙げられた監督の人柄や実績がイメージできないときついですね。



山崎 武也
一流の矜持
年上の人間の話は聞いたほうがよい、ということが年を経るにつれてわかってきた、と著者は序文で述べています。
しかし、本書は年寄りの繰言のような感じで、どうでもいいことや、当たり前のことを偉そうに言われても…というような内容の羅列です。
若い人に向けた部分とリタイアした人向けのアドバイスのような内容が混じっており、自分の世代の人間にはあまりふさわしい内容のコラムはありませんでした。
タイトルは立派ですが、読むには値しない本です。