稲泉 連著「『本をつくる』という仕事」 | 日々酒とメシと音楽と映画と読書

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音と映像の業界に身を置いて30数年。
日々聴いてきた音楽、観てきた映画、読んだ本(コミック含む)の感想などをのんびりとゆるやかに書いています。
時々酒と旨い食べ物の話なども。

いやぁ、いい本を読んだなぁ。

稲泉 連著「『本をつくる』という仕事」

 

 

 

校閲がいないとミスが出るかも。色々な書体で表現したい。もちろん紙がなければ本はできない。他にも装丁、印刷、製本など本の製作を支えるプロに話を聞きにいく。

(出版社公式サイトより)

 
本を作るのは著者と編集者だけではない。
活字を作る人、紙を作る人、製本技術者、校閲者、装幀を作る人…。
 
 
本に使う紙が昔は酸性紙で数十年で劣化してボロボロになっていたというのをこの本を読んで初めて知った。
今は中性紙を使っているそうだが、自分が子供の頃に買ってもらった本が50年経っても多少の変色はあれど、今でも読むのに耐えうるのはひたすら紙の研究を重ねてきた人たちがいたから。
 
 
また、自分も今多少仕事で関わっている校閲。
新潮社のプロフェッショナルな校閲業務の一端を知ることができ、特に今作で取り上げられた方は塩野七生から「会社を辞めても私の本を続けて見てほしい」と言われたのだそうだ。
 
 
装幀もその作品の本質をいかに表現するかということに苦心したエピソードなど、とても興味深く読ませてもらった。
 
 
まぁ最近は時折電子書籍を買ってしまうこともあるが、やはり本は紙で読むのがいいなぁということを再認識させてくれる作品であった。