藤井道彦 著「愛と絶望のコリア記」 | 日々酒とメシと音楽と映画と読書

日々酒とメシと音楽と映画と読書

音と映像の業界に身を置いて30数年。
日々聴いてきた音楽、観てきた映画、読んだ本(コミック含む)の感想などをのんびりとゆるやかに書いています。
時々酒と旨い食べ物の話なども。

元西日本新聞でソウル特派員も務めた藤井通彦氏の新著。

「愛と絶望のコリア記」

なかなか刺激的なタイトルだ。

表紙の写真も。

 

 

韓国の魅力を愛し、日韓関係の改善を信じて取材と報道を続けてきた。

その思いが絶望に変わる……。

彼らにとって「あるべき歴史」こそが「正しい歴史」であるとする韓国社会のナショナリズム。
「不道徳」を決して許さず、ときに陥る独善的な行為の根底にある朱子学思想。
彼らの行動原理となる独自の理屈とは。
愛着と失望を経て韓国を俯瞰した一記者の手記。
植民地支配だけではない、その理由を知る。

(出版元公式サイトより)

 

 

西日本新聞社と釜山日報間の交換記者制度の日本側第一号として釜山日報の編集局で働いた経験に始まり、ソウル支局で実際に見聞、体験した内容や歴代の大統領に直接取材したときの感想、故郷大分と朝鮮半島の縁など、長年の経験を元に今の韓国を鋭く洞察した内容。

 

 

タイトルは刺激的だが、その内容は読んでいくと愛情があるが故の苦言と提言であることがよくわかる。

個人的には現地にいる間に韓国語がどんどん上達していく流れも面白かった。

 

 

本文の「過去は単に過ぎ去ったものではなく、今の状況の中に存在する。過去の誤りを一から正すことで現在の不都合は改善され、正しい未来の基礎になるー。」

著者の知人の在日がスパイの嫌疑で韓国で長期間拘留され、二十数年の時を経て再審の結果無罪となし、裁判長が頭を下げたというくだりはよかった。

 

 

巻末の「現代コリアを読み解く上で不可欠なキーワード」とその解説を掲載した付記が今の韓国(例えば進歩派(左)と保守派(右)の明確な違いとか)を理解するうえで大変役に立つのではないかと思う。

 

 

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ