熊哲、この新作は見逃せない
コロナ騒ぎの前からだから、もう何年劇場に行っていないのだろう。数年前までの私は月に2~3回は観劇の予定があり、いつも財布にチケットが入っていた。
バレエも歌舞伎も文楽も落語も、アイドルのドームコンサートもクラシックの音楽会もミュージカルも、もちろんストレート・プレイも大好きで、とにかく劇場に足を運んで「ライブで楽しむ」というのが信条だった。
それが最近は全くの「予定ゼロ」。介護が本格化してきちゃって、夜出かけるのは難しいし、ステイホームに慣れてきたら「案外なくても生きていけるもんだな」とか思えるようになってしまった。
ウツの底を這いずってたときは何もかもが億劫で、テレビで劇場中継を見る気にもならなかった。劇場との縁がぷっつり切れてしまったような雰囲気だ。
でもね~、これは見たいのよ。熊川哲也率いる「Kバレエカンパニー」の「蝶々夫人」。テクニック的にはクラシックバレエがメインだろうけど、いわゆる“古典”ではないから、モダンバレエに区分されるのかもしれない。
この演目、正確には2019年に初演された作品の再演なんだけど、今回はピンカートン役にバイエルン州立バレエ団プリンシパルのジュリアン・マッケイを招聘。演出にもいろいろ改訂があるらしい。
うぅ、見たい。
男性のトップ・バレエダンサーって「すごく跳ぶ」とか「すごく回る」とか、アクロバティックな技術で評価されることが多い。ジュリアン・マッケイはそういう意味では地味めかもしれないけど、ものすごく基本に忠実で、実にクラシカル。
マッケイはルックスもノーブルだし、所作も繊細で美しいので、海賊よりも「ジゼル」のアルブレヒトとか王子様系の方がしっくりくる印象だ。ピンカートンの軍服姿もカッコいい。
「蝶々夫人」はもともとがオペラだから、オペラ版も見るのだが、歌手としての力量はともかく、主役カップルのビジュアルが「え~?」なことが多くて感情移入できないことも。
このバレエ版の美しい蝶々さんなら、ピンカートンが惚れるのも納得。また蝶々さんが別れを惜しむのも納得だ。
でもこれ、初日が5月24日なので、もうチケット残ってないだろうな~。やっぱりアンテナはちゃんと立てておかないと、情報キャッチできないよね。
↓バレエ界の貴公子はアメリカ生まれでロシアに留学した変わり種。