成人発達障害、手帳はいつまでにとる?
昨日書いた、ママの大ボケについての記事「『お金がない!』が始まっちゃった?」とも、ちょっと関係する話だ。
子供の頃に「発達障害ですよ」と診断を受けた最初の世代って、今、何歳ぐらいになるのだろう?
40代以上で発達障害の人って、成人してから自分で「なにか変かな?」と問題意識を持ったり、子供の診断時に「ひょっとして親のあなたも?」と受診を勧められたりした「成人発覚組」が多いのではないだろうか。
私もADHDの確定診断を受けたのは30代だから成人発覚組の一員だ。その頃は仕事が一番忙しい時期で、そこそこ稼いでもいたので「脳のクセが多少強めだけど、普通の生活に支障もないし、“障害者”にはあたらないんじゃないの?」とか思い込んでいた。
当時のADHDの治療は自由診療がメインで月1~2万円かかるのが常だったが、それも「まぁ、出せるんだからいいんじゃないの?」と、公的な補助制度もロクに調べなかった。
●今の生活がいつまで続けられるかわからない
そんなとき、あるイベントで会った精神科外来の経験もあるナースのケイちゃんに言われた。
「脅かすわけじゃないけどさ、今の生活がいつまで続けられるかわからないよ? 精神障害者手帳はとっておきなよ。現状だとせいぜい3級ぐらいだろうけど、ゆくゆく状況が変わったときのセイフティネットになるから」
●50代前半で、女性は40代のうち
ケイちゃん曰く、男性も女性も50代以降は「認知症ではない」と、きっちり証明するのが面倒になってくるので、できれば50代前半までに「確定診断→手帳をもらう」ほうがいいそうだ。
また、女性は更年期でメンタルに大ダメージを受けて、精神状態が悪化することがあるので、できれば40代のうちに申請を済ませておいたほうがいい。級は後からでも上げられる。
手帳と障害者の「級」をとることで得られるメリットについて、ここでは書かないことにしておく。住んでいる地域の自治体によって考え方や予算に雲泥の差があるからだ。
たとえば私が住んでいる東京都には「私の生活に、今すぐ役に立ちそうなサポートシステムはない」というのが現状だ。だが、地方によっては家事や通院のサポートを受けられたりもする。
同じ都内や県内でも、隣どうしの市でサポート体制に大きな差が出ることもある。気軽に引っ越しができる人なら「動くべし」と勧めたいレベルだ。
●障害年金の申請に必要
現在の主な収入源が永遠にうまく回ってくれたらいいのだが、人生には何があるのかわからない。ちょっとしたきっかけで精神の状態が悪くなり、仕事が続けられなくなったりした場合、級によっては障害年金の受給が受けられる。
だが、この年金申請はハードルがけっこう高く、初めての診断からイッキに年金受給まで駒を進めるのが難しい。ほとんどの人が「うつの併発」など、何らかの悪化をきっかけに主治医と相談して申請を決めている。
また、精神科の通院の場合「自立支援医療」の対象になり、収入に応じて医療費や処方薬代が減免される。こっちの申請にも障害者手帳は必要になる。
●生命保険の「障害」条項は入念にチェックを
一部の生命保険には、障害者になると一時金などの支給が受けられるものがある。また、最近は「働けなくなった場合に備える」タイプの保険も増えてきた。
ただし、この「障害」という言葉の定義が、保険会社と行政では食い違うことが多い。生命保険の約定など読まない人がほとんどだと思うが、目を皿のようにしてチェックし、できれば担当者を呼んで詳しい説明を受けたほうがよい。私が入っていた生命保険では、障害者手帳をとった時に一時金の支払いを申請しても通らなかった。