なぜ算数を勉強すべきなのか?
算数嫌いにつける薬
小学生の頃、算数が大嫌いだった。大人になって使うのはせいぜいかけ算ぐらいまで。生活の中で、平行四辺形の面積を求めねばならぬ瞬間などあるものかと思っていた。中学生のとき家庭教師の先生がいった。
「たしかに算数は使わないけど、パズルと同じさ。脳の中の“使える範囲”を広くするためには“考える”訓練が必要なんだ」
なるほどな~と、ちょっと思った。たしかに算数の成績が良い子は「地頭」がいい。頭の回転が速い感じがする。
もうどんな本だったか忘れてしまったのだが、こんな話が書いてあった。
ある日神様が山の麓の村にあらわれ、「できるだけ大きな石をできるだけたくさん山頂まで持ってきてほしい」と言った。ある者は「その石は何のための石ですか?」と聞き、またある者は「石を運べば、運んだだけのご褒美がもらえるんですか?」と聞いた。神様は答えなかった。
村人の反応はまちまちで、ある者は「何の役に立つかもわからない石を運ぶのはバカバカしい」と、全く運ばなかった。またある者は子供にも小さい石を持たせ、家族全員でできるだけ多くの石を運んだ。
山頂で石を下し、休んでいると神様が現れ、石を全て金塊に変え、運んできた者に与えた。
この話がどのような「よき行い」に導く寓話なのか、いまいちよくわからないが、勉強ってだいたいこんな感じじゃないかと思う。なんの役に立つかよくわからないが、「やれと言われたこと」を一生懸命やっていると、あとから(大人になって)、その意味や価値がわかる。
「もっと勉強しておけばよかった」って言ったことのない大人はいないんじゃないだろうか? 私はほぼ毎日1回はそう思っている。