ADHDをクリエイティブにする4つの特性 | ぽてなまの~と 【ときどきADHD話】

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「なまいき」で「なまけもの」な「ぽてたろう」のノートです。
日常のあれこれや、その日考えたこと、そしてADHDや発達障害についての「あるある」などを書いてこうと思います。

 

ADHDって本当にクリエイティブなの?

ADHDをクリエイティブにする4つの特性

 

ADHD族は一般の人より「クリエイティブなのよね」と思われがちだ。これは個人差があるし、何を基準に評価するのかがはっきりしないので「そうです」とは答えにくい。だが、学生に課題をやらせてみたりすると、やはりADHD族や他の発達障害(組合員)は、非凡な作品を持ってくる。一応「良くも悪しくも非凡」だと言っておこう。

 

たとえば「朝活」をテーマに短い文章を書く課題の場合、「オフィス街で朝7:00スタートの英会話教室が…」「早朝に皇居ランでシャワーを浴びて出社」といったフツーのネタを“調べて”持ってくる子が9割だ。ADHD族、もしくは組合員っぽい子は「朝公園で綱渡りの練習をした後でツナサンドを食べる“朝ツナ会”」にいきなり参加して実況中継のような文章を書いてくる。

 

ビジネス誌などで求められる記事は早朝英会話かもしれないが、「朝ツナ会」のほうが100倍おもしろい。

 

彼らにあって、普通の子にないものは2つ「好奇心」と「衝動性」だ。好奇心が強いと「朝活」というキーワードを得てからの検索・探索する幅が広くなるし、誰よりも深いところまで掘ってくる。つまりネタになりそうな材料をいっぱい抱えてくるということだ。そして衝動性があるので、自分が一番面白いと思ったネタを躊躇なくバーンと出す。「こんなネタを出したらクラスがドン引きしないか」などと考えたりしないのだ。

 

「衝動性」という言葉がADHDと絡めて使われるとき、ロクなことにはならないのだが、これは数少ない例外だと言える。

 

 

 

2011年に発表された、ある研究論文では、5〜10歳の子供203人に「バルーンアナログリスクタスク(BART)」という実験に参加してもらった。 これは1回に1クリックで風船を膨らませるコンピュータゲーム風のテストで、風船が膨らむたびに、参加者はコインがもらえる。しかし、欲張って風船を破裂させてしまうとコインは没収されてしまう。このテストでADHDの子供たちは非ADHDの子供たちに比べ、ぎりぎりまでリスクを恐れず、より多くのコインを獲得するという結果が出た。普通の人が躊躇する場面で一歩踏み込む性質はクリエイティビティと無縁ではない。

 

 

『Journal of Creative Behavior』という雑誌に載ったというだけで、いつ頃、どこの大学で行われたテストなのか不明なのだが、おもしろい結果が出ていたので紹介したい。ある大学で、ADHDの学生26人と非ADHDの学生26人(合計52人)を集め、「地球上にはない未知のフルーツ」を創作して描かせる課題を与えた。するとADHDの学生の作品の方がユニークだと評価された。同じく、新しい発明品のラベル作成をさせたところ、ADHDの学生の作品は固定観念にとらわれない自由な発想の作品が多かったと評価されている。

 

人と違う「好奇心」や「衝動性」、そして「リスクを恐れない」性格……そう並べていくと、何かをゼロから「創造する」分野でなければ活かせない才能だと感じるかもしれない。だが、ここで思い出してほしいのが4つ目の特性「過集中/没頭」力だ。没頭して何かに取り組む力は、手芸や楽器の演奏、バレエ、料理、絵画など、古典的な芸術分野でも断然有利な性質である。

 

夏休みでゲーム機にかじりついている子にため息をついていないだろうか? 彼らはまだ集中力のコントロール方法を知らないから「没頭先」から帰ってこられないだけだ。自分の脳のクセやつき合い方に慣れてくれば、集中力は武器にこそなれ邪魔にはならない。

 

「いくら言ってもゲームをやめない」という聴覚刺激に反応しない場合、目の前で回転灯を回す視覚刺激やアイスノンを頭に当てる触覚刺激など、なにが集中を「ブレイクする」のに効果的か、試してみてほしい。食いしん坊ならおいしい匂いの臭覚刺激一発で戻ってくるかもしれない。