Power of the Destiny -56ページ目

第1話 プロローグ(1/2)

これは私たちが今現在暮らしている次元と平行して存在している別の次元の物語である。
ここでは、私達の世界を人間界、向こうの世界を幻影界と呼ぶ。

一万年以上もの昔、まだ幻影界では神や魔物や精霊たちが大地の多くを占め、人間はほんの一握りしかいなかった。
世界中で神々が魔を封じる戦いを起こしていた時代である。
その中でももっとも強大な悪であった邪神カオスは、今から五千年前の魔導大戦と呼ばれた戦いで、神から力を授かった五人の英雄によってさらに異なる次元へと封印された。
種族も異なる五人には、世界を守る五つの力が与えられ、以降人間やエルフ、ドワーフなどは、その数を増やしていったのである。
中でも異種間結婚でも子を授かることのできる女性によって、人間は現在大いなる繁栄の恩恵を受けている。
機械文明が栄えた私達の世界とは異なって、いまだに魔法や剣や今は目にすることができない異形のものたちや精霊と暮らす人々。


ただ一つ私達の世界と同じなのは、生を受けて暮らしている人間たちであった。
つまり、人間界と幻影界には、同じ姿かたちをした人間が存在しているのだ。
幻影界は五つの力で均衡を保っていた。
火・土・水・風、そして…空の力。
その力は5人の人間に宿っており、力自体は目に見えないものの、その人間が存在するかぎり、世界は守られていたのだ。

………しかし、その均衡が破られるときがきてしまった。

異次元に封印されたカオスは、善なる神に加担した英雄達を憎み続け、その力を徐々に増大させていった。
気の遠くなるような久遠の時を経て、邪神は更なる力を身内に蓄積していった。
異次元からも全てを見通す目と、邪悪で強大な魔力である。
そして、異次元に幽閉されている身ながらも、空の力が欠けた…─つまり空の力を宿した人間が亡くなった一瞬の隙を突いて次元空間に穴を穿ったのである。
その穴は幻影界に魔手を伸ばすには、充分すぎるものであった…。