雲に覆われていても天気予報では雨ではなかったが、気がつけばいつしか降り始めている。(写真/田植えが終わった田んぼに雨の輪が広がりつつある)

 

 

越美北線沿いに流れる川は終始九頭竜川かと思っていたが、越前大宮駅までは足羽川なのを後に知る。(写真/市波駅-小和清水駅間にて)

 

 

当初は越前大野駅で下車して、越前そばの店に行こうとも考えた。しかし、私がこの路線に乗りたいと思った理由は今回に限り「食」ではない。越前そばは復路の福井駅に譲り、通過する。(写真は復路にて撮影)

 

 

この旅の最大の目的地は終点の九頭竜湖駅の1つ手前の越前下山駅。私が旅を本格的にスタートしたのは2007年。こうした旅ブログを綴る人の多くは若い頃から旅をしているが私はほんの17年でしかない。その原点がこれから向かう越前下山駅にある。

 

 

17年前。私を取り巻く環境は大きく変化していた。当時は出張が多い部署に所属していて全国各地を訪れる機会はあったが、仕事とは別に、自分の行きたい場所へ自分のお金で出掛けようと考え始めていた。そんな時、ふと永平寺が思い浮かんだのだ。(写真/長い荒島トンネルの向こうに越前下山駅がみえてくる)

 

 

永平寺では早朝にも関わらず修行僧が境内を案内してくれた。そこから国道158号で九頭竜湖を抜け、岐阜県高山市経由で帰ろうと計画したのだ。その途中に越前下山駅があった。国道(写真)からそれを見上げたときに、まるで突然現れた山城のような佇まいに衝撃を受けたのを今でもはっきり思い出せる。思わず立ち寄ったのだが、鉄道に強い関心を寄せるきっかけになった。

 

 

そのまま越前下山駅で下車し、20分後に折り返してくる福井駅行きに乗車するつもりだった。ところが、列車からみた光景は当時の感覚とは異なり、そんなにも衝撃的でなかった。あれから17年の月日を経て、いくつもの無人駅をみてきた。つまり、それだけ旅を重ねてきたのだ。もう当時の気持ちに卒業してもいいのではないか。そんな思いが芽生え下車するのを止めた。(写真/終点の九頭竜湖駅にやって来る)
 


旅の原点と北陸アラカルト Vol.9に続く