麻婆豆腐だけでお腹が膨れる。最後は塩焼きそばでなくて、やはり炒飯を食べたい。そこで作戦を変え、酸辣湯(サンラータン)を選ぶが、これもまた大きな器に盛られている。

 

 

ここまででもう腹八分を超えているがビールが中瓶だったのが幸いした。いつもならもう一本頼むところだが封印する。炒飯には律儀に中華スープが付いてくるが、それはもう戴けないかもしれない。炒飯はエスニックな味付けで私には新鮮だが、この味が癖になっている地元の方は少なくないと思われる。

 

 

驚いたことにこの店ではまだ出前を続けている。先代が岡持ちを車まで運ぶと、愛想のいい先代の奥さんが店に現れ、出前先の住所を確認し車を運転して出前に行った。息子さんが継ぐ前から出前を担ってきたのだろう。(写真/出前から帰ってきた車。地元の人には有難いサービスだ)


 

2024年5月1日(fri)

 

ホテルは朝食付ではなかったので、駅のコンビニでおにぎりでも買うつもりでチェックアウトした。ところが歩き出してすぐに路地の向こうにいい雰囲気の喫茶店を見つける。灯台下暗し。昨夜は「モーニング 喫茶」と検索しても表示されなかった。(写真/昭和の香りがする内照式のメニュー看板)

 

 

さらにご機嫌なことに店内には朝からJAZZが流れている。しかも昔懐かしい真空管のアンプや重厚なスピーカーを通じて良質な音が店内に響きわたる。店は創業55年。なんと93歳のマスターがひとりで営んでいる。こんな凄い店があると知っていたら、開店と同時に訪れたかった。

 

 

列車の時刻までは、駅までの移動を差し引くと20分ほどしかないがモーニングセットを注文する。さりげないトーストやサラダだが丁寧に作っている。これはいい店を見つけた。昨夜の南栄といい小松をもう一度ゆっくり訪れたくなる。

 

 

カウンター席の隣に淑やかな女性がいて話し始める。常連の方かと思っていたら、隣まちから訪れたのだという。やはりこの店のことが気になっているようだ。ポップに描かれている「50年の魔力」が宣伝文句のイタリアンスパゲッティが朝からできると聞いて注文されたので、横から写真を撮らさせていただく。すると味見させていただけるという。遠慮なく戴くと一口でその魔力に取りつかされそうになる。ここで時間切れ。後ろ髪を引かれる思いで店を去る。慌てていたので外観を撮り忘れてしまう。

 


旅の原点と北陸アラカルト Vol.7に続く