今年10月に創立100周年を迎える黒部川電力株式会社。北陸電力とデンカが折半で出資している。戦中の日本発送電への出資を免れ現代に引き継がれた日本で最古の現役電力会社。その黒部川電力が、昨年4月、新姫川第六発電所を運用開始させた。(写真左奥/姫川上流より姫川第六および新姫川第六発電所の取水堰をみる。右の建屋はデンカ大網発電所=2023年8月2日撮影=)

 

両発電所の取水堰は、姫川水系姫川に建設された重力式コンクリート堰。発電(Power generation)を目的に黒部川電力が管理している。姫川が県境になっていて、左岸側が新潟県、右岸側が長野県と県を跨いでいる。この場合、左岸側が所在地となる。(写真/下流側より取水堰を望む。右は第一沈砂池=2022年11月6日撮影=) 

 

第一沈砂池から連絡トンネルに入るが、その上部の高台には小さな祠が祀られている。姫六水神宮といい、姫川第六発電所の運用開始に合わせて黒部川電力が建立したと推測する。(写真/姫六水神宮の西北面を写す=2022年11月6日撮影=) 

 

取水堰の堤高は4.121㍍、堤頂長55.281㍍。左岸側に2門のローラーゲートと右岸側に径間がその約2倍あるシェル構造ローラーゲート1門が設置されている。(写真/上流側より望む=2022年10月29日撮影=) 

 

取水堰には、平成10年(1998)以前はローリングゲートが設置されており、東京都亀戸にあった株式会社田原製作所が施工した。同社は大正3年(1914)創業の水門メーカーだったが、平成17年(2005)解散しているようだ。(写真/左岸側に設置されている取水口と取水堰を望む=2021年8月11日撮影=) 

■ 紹介元のウェブサイト>>>

 

 

取水堰の左岸側には随分と立派な魚道が設けられている。この取水堰が竣工したのは昭和9年(1934)。その頃には鮭が遡上するなんてこともあったのだろうか。今では姫川に鮭が戻るといった話は聞いたことがない。(写真/上流側より魚道を望む=2022年10月29日撮影=) 


【図1】
(2015年1月作成 黒部川電力株式会社「新姫川第六発電所建設計画」より) 

当初は既存取水口に加えて新たに取水口を整備する計画で、沈砂池からは延長38.706㍍の連絡トンネルを掘り、既設の開渠口を広げ、既存の導水路とは別の導水トンネルを南側に設置する予定だった。 


【図2】
(2018年1月公表 黒部川電力株式会社「新姫川第六発電所建設計画」より) 

ところが後に設計が変更されている。取水口は既存のもので事足りるとの判断になったようだ。逆に開渠部はさらに拡幅され第二沈砂池の役割を担い、導水トンネルにはゲートが設置されることになった。

 


姫川第六発電所/新姫川第六発電所 Vol.2に続く