2020年7月20日(mon)

 

ダムファンの方のネットによると、鉄骨トラスの支柱に覆われた橋梁が設置されるのは東北電力ではお馴染みのスタイルなのだという。私は同電力が管理するダムを観察するのは初めてだが、電力会社によって一つの流儀があるのは好ましいと感じる。

 

ダムに並んで阿賀野川右岸側に上野尻発電所の取水口がある(写真)。同発電所はダムと同じ昭和33年(1958)運用開始されている。有効落差14.10㍍を流れ落ち最大出力5万2,000kW、常時出力1万6,400kWを発電している。 



第二上野尻発電所は有効落差15.54㍍を流れ、最大出力1万3,500kWを発電するが、このデータを入手している「水力ドットコム」には常時出力0kWと表示されている。これはつまり、電力不足に対応する非常用の発電所という意味なのだろうか。(写真/上野尻発電所の取水ゲートの右横が第二上野尻発電所の取水口)   

 

上野尻ダムは阿賀野川水系阿賀野川に建設された重力式コンクリートダム。Power generation(発電)を目的に東北電力が管理している。福島県内の阿賀野川では最下流に位置するダムである。昭和31年(1956)着工、2年後には竣工している。堤体には8門のローラーゲートと2門の自由越流式洪水吐(写真左)が設置されている。 

 


ダムの天端から右岸をみる。減勢工の上にある建屋がダムの管理事務所と発電所建屋。その奥には変電設備があり、東北電力ネットワーク阿賀西線によって鹿瀬発電所から接続され、阿賀東線によって会津変電所へ送電されているようだ。(写真奥/紅白鉄塔が阿賀西線No.55送電鉄塔。その右奥が阿賀東線No.1送電鉄塔) 

 

上野尻ダムの規模は堤高30㍍、堤頂長190㍍、堤体積6万5,000立方メートル。天端上には福島県道338号上郷下野尻線が通り、柴崎橋という名称になっている。  

 


総貯水容量1,237万立法メートルのダム湖には、全長269.7㍍、幅員4.5㍍の旧柴崎橋(写真)が残されている。この付近はかつて渡船で渡っていたが、渡船途中に犠牲者が出ることもあって、昭和13年(1938)悲願の旧柴崎橋が竣工している。その後、上野尻ダムの建設に伴い、供用廃止されたものの撤去のための予算が無かったため、橋梁自体は解体せずに路床のみを取り除き、左岸寄りの橋桁を落橋させ通行できないようにしたのだという。
 


上野尻ダム Vol.2に続く