風呂から上がり、大広間で寛ぐ。すでにテーブルには半分くらいの人が付いているが、隣の座席では、地元のお年寄りが、家から持ち込んだ漬物をテーブルに広げている。新しい白鳥園を開設するにあたり、地元の人たちが市民会議を重ねたとウェブサイトにあるが、その話し合いの結果、食料の持ち込みは制限されなかったと思われる。

 

以前の白鳥園で、人気だった焼き鳥は、復刻版としてメニューに連なっている。閉館する前に、ローカル局で紹介されていて、とても美味しそうだったと記憶していた。今回の旅の一番の目的といってもいい。おろしにんにく醤油のたれがたっぷり載っていて、決して期待を裏切らない。

 

メニューをみて食べたいと思ったのが石窯焼きピザ。写真をみて目が釘付けになった。9種類もあることから、悩んだ挙句、定番のモッツァレラのマルゲリータを注文する。ピザにトマトの組合せにはどうしても弱い。

 

帰り際、1階の入口に、その石窯があり、若者がピザを焼いている。火が通っているので、すぐに焼けるそうだが、室内は40℃を軽く超えるのだと言って笑う。

 

しなの鉄道の戸倉駅までは、歩いて10分ほど。その道すがら、住宅街の中に戸倉国民温泉の看板を見つける。こちらは昭和の面影を残す造りだ。調べると、設立は昭和31年(1956)、中は楕円型のシンプルな湯船があるだけのものだ。偶然とはいえ、こんな温泉があるとは知らなかった。ぜひ冬の旅で訪れてみたい。

 

戸倉駅の立ち食いそば店「かかし」のことは以前、本編でも紹介した。温泉街の玄関口を賑やかなものにしたい。そう願う若い女性店主が経営する。時間がなかったので、ホーム側のカウンターから酎ハイだけを注文する。冬の旅に、戸倉国民温泉とかかしの組合せ。それを想像するだけでワクワクする。

 


篠ノ井駅で篠ノ井線に乗り換えて、再び姨捨駅。スイッチバックのため速度を落とした最後尾から眺めていると、長野駅行きの列車が先にホームに入線して行く。豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」が停車することで、これからますます注目されていくと思うが、自転車に乗る私にとっては、北信と東信、どちらにも通じる起点の駅である。
 


朝一番の白鳥園ポタ END