上りホームから階段を下りたところで振り返ると、右側は新清水トンネル内にある下りホームに向かうトンネル道に続き、左手が玄関口になる。
下りホームに向かうトンネル道の長さは80㍍ほど。もっと地下に向かうものと思っていたが、ほぼ水平だ。なぜなら、新清水トンネルは、駅の横の山から掘削が始まっているからだ。土合駅のように約70㍍も上下線ホームで高低差がある訳ではない。(写真/ホーム側から駅舎側を写す)
ホームの向かいの壁には、湯檜曽駅が、坑口から200㍍入った場所にあることを示している。新清水トンネルの全長は13.5㎞で、隣の土合駅は、トンネルの奥に向かって3.5㎞ほど先に位置する。考えてみれば、トンネルの中に二駅も存在する珍しいトンネルだ。
水上駅方面に目をやると、ホームから坑口がみえる。つまり湯檜曽駅は外の光が届くので、土合駅のような暗闇が支配する空間ではなく、完全にトンネル駅と呼ぶのは抵抗がある。しかし、新清水トンネルの中にこうして駅を造ろうとした設計者が誰かは知らないが、いずれにしても柔軟な発想の持ち主だったといえる。
新しい駅舎は玄関口だけのコンクリートの打ちっ放しのシンプルなデザイン。ある意味、究極の駅のかたちだ。かつてこの駅の北側にあった旧駅舎は、スキー場のロッジ風な造りで、なかなか趣のあった建築物だったようだ。新しい駅舎の意匠に戸惑うオールドファンは少なくないと思われる。
駅構内を離れ、国道291号から駅舎の方向を望む。こうして横からみると、階段の建屋が存在感を増し、上り線ホームが堤上の一段高い場所にあることがよくわかる。ちなみに、雪があって今回は断念するが、上り線ホームの南端からは、新清水トンネルの坑口が望めるはずだ。
【動画】 湯檜曽駅上り線貨物列車通過>>>
【動画】 湯檜曽駅下り線貨物列車通過>>>
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