2014年5月4日(sun)

松本清張の長編小説「砂の器」に登場することで知った羽越本線の羽後亀田駅。その駅舎が昭和49年(1974)公開の映画の当時そのままだと知ってぜひ訪ねたいと思っていた。弘前の桜を愛でる旅の途中でその機会が訪れる。(写真/早朝の羽後亀田駅)


羽後亀田駅の駅舎は大正9年(1920)に竣工し、木造の懐かしい佇まいだ。勝手に小さな無人駅だと思っていたが、簡易委託駅であるものの今でも駅員がいて、意外にも大きな駅だった。駅には路線バスの停留所もありこの地の交通の要所にもなっている。


しかし駅前は数軒の民家があるのみ。住宅街は少し離れた場所にある。砂の器の映画では駅前食堂が登場したような気がするが、今はその姿は確認できない。それでもタクシー会社があり、それなりの需要があるものと思われる。


早朝なのでまだ駅には人の気配がない。改札口もカーテンで閉ざされているが結構広い待合室で、長年思い描いていた閑静な駅のイメージとは異なる。


改札口のガラスには落し物のアクセサリーがそのままガラスに張ってある。こんなのどかな光景が温かい。時間になって、カーテンが開けられると、その向こうには優しそうな駅員が客を待ち受ける。そんな姿が容易に想像できる。


羽後亀田駅 Vol.2に続く