ホームから上りの由利本荘駅方面を望む。まだ始発前で清々しい朝の空気が漂う。昨夜この路線を駆け抜けたはずの大阪駅行きのトワイライトエクスプレスに思いを馳せてみる。


朝日が辺りを照らすと
まるで夢から覚めるような錯覚に陥る

側線の脇に保管庫があり、貨物列車などが停車していたのだろうか。その奥には保線員の休憩室らしき建物が残る。予想よりずっと大きな構内で、これにもびっくりするが、後に調べて貨物の取扱をしていた記録は見当たらない。


羽後亀田駅は単式ホーム1面1線(写真中央奥)と島式ホーム1面2線を有する。どのようにホームを使い分けているのかは不明だが、その全容が跨線橋から確認できる。


始発の酒田駅行きが入線し、また新しい朝が始まる。松本清張の「砂の器」で注目されたこの駅には、以前は清張ファンが多く訪れたに違いない。少ない手掛かりをつてに、はるばるやって来た刑事たちのことを思い出したことだろう。しかしなぜこの駅周囲に住宅は少なく、少し離れた場所に集落があるのか気になるところだが、旅人にとってはその孤立感に心惹かれてしまう。


改札の柵は錆びて、開業からの長い歴史を物語る。待合室には次に来る秋田駅行きを待つ地元の人たちも姿もあって、予想していたより人の利用があることを知る。木造の駅舎はぜひ後世に引き継がれてもらいたいものだが、人が集う羽後亀田駅の頼もしい姿を確認することができた。


羽後亀田駅 END