認知症に対応するときはAIになりきれ | ぽたらか

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ぽたらかは20年の歴史を閉じます

こんな穏やかな顔をしているけど…。

 

ゴミ部屋の片付けを依頼されて、「もし、ゴミの下に住人が居たらついでにその人も回収してください。」と言われ、本当にゴミに埋もれていたじいちゃんを見つけて回収してきたことがある。

 

公園にいた雑巾の塊みたいなじいちゃんは部屋の真ん中でずうっと流れていく、自分のおしっこを不思議そうに眺めていた。そんなじいちゃんたちも、たった2カ月で小ぎれいになって、認知症など微塵も感じさせない普通のじいちゃんになってしまった。多くは栄養失調によるせん妄だった。

 

脳血管性認知症、高次脳機能障害、アルツハイマー認知症、レビー小体型認知症、アル中による肝性脳症またはウエルニッケ脳症、統合失調症、躁うつ病、etc.…。大概はここに来るまでそういう病名はついていない。観察してそうじゃないかなあと判断して、専門医に行って、診断してもらい、住所を設定して介護申請して、2カ月ほどして介護認定がおりる。

 

その間は在宅介護サービスは受けられない。寝たきりで大人しくオムツ交換をさせてくれるのなら、そういう状態が何カ月に及んだって平気だけれど、薬もまだ決まらない、環境も変わって不安だらけだし、そんなジジババがどんなに騒ごうが暴れようが、対処するのは常に私一人である。

 

元ホームレスのヘルパー達は愛想は悪いけれど、よくやってくれた。しかし、時々失踪の虫が湧くらしいからあてにはならない。福祉に憧れてきた尼僧が1人2人いたけれど、他人の排せつ物を扱う事が出来ず、直ぐにやめて行った。人のうんこが気持ち悪くて、子供が産めるか!っと思ったけれど、だから尼になったのか。

 

要介護の介護認定がおりて、特養に入所が決まったって、私が朝も夜中も見守りして、おむつ交換して便処理したこの苦労は報われない。「こんな夜更けに寒いだろう!早くしろ!」などと憎まれ口をたたく。全く可愛げがない年寄りばかりだ。こんな年寄りにはイライラしたり、腹を立てるだけ損である。顔を合わせると暴言を吐く年寄りの目の前には出ない…これに限る。更衣やおむつ交換のときは、機械的に事務的に、暴れて介護拒否しようものなら、腕をねじ上げて押さえつけてやる。

 

ただ、私はそんなときのことをいくら思い出しても大変だったーという記憶がない。きれいごとではなく笑い話としてしか思い出せないのだ。「このくそばばあ、早くしろ!」と最後まで暴言を吐きっぱなしで死んだじじいは、後で病院の看護婦さんから「〇〇さんね、ぽたらかに帰りたいって最後まで言っていたからびっくりしたのよ。帰るところがあったの?っていうとうれしそうに笑って。」そんな話を聞くと、あの憎たらしい顔がどうしても思い出せないのだ。私もそろそろ、認知症になってきたかも。