統合失調症のむらジーは、遺品片付けの仕事が重なって忙しいときにいつの間にか歩いて遠出をしたらしい。電話で「西新井警察ですが、そちらの○○さんを預かっています。引き取りにきてください。」と電話があり、「今車がなくて帰ってくるまで置いといてもらえませんか?」といったのだけれども、「そういうわけにはいきません。」というから、だれか手の空いた者を迎えに行かせた。
歩いたらけっこうな道のりだ。よほど心細かったのだろう、せいいっぱいの気持ち悪い笑顔を作って出迎えたという。
「寒い、寒い」というので個室全体を暖めずに、足下にだけ電気毛布を入れ、介護ベットにサイドレール、ベッドテーブルをつけて、手を伸ばせばなんにでも届くようにしてやったら、快適なあまり、温和しく布団の中にいる。西新井まで大声で独り言をいったり、歌を歌って徘徊などせずに、こうやっておとなしくさえしていれば、ずいぶんと楽なのだが、寒いのもいいものだ。