今日も郵政民営化見直しについて考えてみたいと思います。
さて、今日は「郵政マネーが海外流出って具体的にどういうことが起きることなの?」
についてお話しましょう。
ちょっと前に、郵政が民営化されると、「アメリカにお金が流れる」という説があったようですね。
でも具体的に、それってどういうことなんでしょうか?
現実として起きるとするとどういう場合に起きるのでしょうか?
折角なので、今日はこのテーマについて分かり易く解説してみたいと思います。
ちなみに、郵政マネー、と世の中的に言われるお金というのは、
私たちが郵貯や簡保に預けているお金のことを言います。
ざっと合わせて340兆円くらい。
340兆円っていわれても皆さんピンとこないかもしれませんが。
日本人の1億数千万人がもっている預金とか保険金とか、株とか、つまりいわゆる「個人の金融資産」を全部合わせると、1500兆円くらい。
340兆円というと、その2割くらいにあたります。
ちなみに、日本最大の銀行、東京三菱UFJ銀行の預金を全部集めると100兆円くらいですから、
その3.4個分くらいのお金。
大変なお金ですね。
さて、これが海外に流出してしまうと誰が一番困るかというと、、、
一番困るのは「日本という国」です。
なぜかって、この340兆円の殆どは、「郵貯」「簡保」という組織を通じて、
「国債」に運用されているからです。
要するに、私たちは郵貯や簡保にお金を預けている訳ですが、
郵貯や簡保は、そのお金をどこに投資しているかというと、
国の借金証書である「国債」に投資しているのです。
郵政マネーがいきなり海外に流出すると、
340兆円もの大金を日本という国に貸してくれていた人が消滅することになりますから、
そりゃあもう、国は大騒ぎです。
国は資金繰りに奔走しなければなりません。
鳩山さんも大慌てですね。
ちなみになぜ郵貯や簡保が「国債」に投資しているかというと、、、理由は以下の二つです。
1)安全であること
国債への投資は、若干金利は悪いですが、「日本国」がお金を借りている人ですから、
絶対に絶対に元本を返してくれる、とても安全な運用と考えられています。
2)他に運用しようと思ってもなかなかよい投資先がないこと
本当は普通の銀行のように、企業に貸出したりすればいいのかもしれませんが、
実際のところ、郵貯の企業貸出は認可されていません。
もちろん、株や債券への投資を強化することもやっていますが、国債と比較すると市場が小さいので、340兆円という小さな国がひとつ吹っ飛ぶくらいの金額を一気に投資してしまうと、
「市場に出てるものを殆ど買い占める」ような形になってしまってしまうというのが実態です。
さて、この郵政マネーが本当に海外に流出するのでしょうか?
もしするとしたら具体的にどういうことが起きるのでしょうか?
まず、海外に流出云々という議論をする前に、十分理解しておかなければならないのは、
海外流出するときの「為替のリスク」です。
郵貯も簡保も、預けているのは私たち日本人ですから、当然「日本円」で預けていますよね。
「1万円」預けたら、預金残高は「1万円」で、引き出すときも「1万円」であってほしいわけです。
郵貯や簡保は、私たちからお金を預かっている間、そのお金を投資して増やしてくれています。
(それで私たちの預金などに「金利」が付くんですね)
今は、郵貯も簡保も、この預かったお金の殆どを「日本国債」に投資してくれてますから、当然「日本円」で投資して、日本円で回収しています。ここには「円安」だの「円高」だのは全く関係ない訳です。
でも、もし郵貯や簡保が、この預かったお金の殆どを「米国債」に投資し始めたら、どうなってしまうでしょう?
実は、「日本」の借金が支えられなくなるという以外に、郵貯や簡保に大きなリスクが発生します。
はい。なにがリスクかというと、海外の債券(例えば米国債)はドル建であるということです。
私たちは同じように1万円を預け、1万円を返してもらいたくても、
郵貯や簡保はそれを「ドルに換えて」米国債を買い、私たちがお金を引き出したいときに、郵貯や簡保がまたそれを「日本円に換える」必要がある、ということですね。
当然、最初ドルに換えたときに1ドル100円で、次にドルから日本円に買えたときに1ドル90円だったら、
最初の1万円は9000円になってしまいます。
このリスクを「為替リスク」といいます。
当然、私たちが「いいのよ、そのリスクは私たちがかぶるから」と言わない限り、
この為替リスクは郵貯と簡保がかぶることになります。
もし、340兆円が例えば全部米国に流れるなんてことがあったら、
ものすごい為替リスクを郵貯も簡保も負うことになります。
ちなみに、銀行や保険会社には、こういうリスクをあまりに背負いすぎて破綻してしまわないように、
自分達が取るリスクに対して一定以上の「自己資本=つまりいざというときに使える自分たちのお金」を積み立てていなければならないという規制を守る必要があります。
(これを、自己資本規制、といいます)
これを守れないと、金融監督庁から、「営業停止命令」「業務改善命令」が下ったりします。
ですから、340兆円分の為替リスクを負うとすると、
それだけ分の自己資本を積まなければならないので、
日本の国債で運用していたときよりも随分と儲けないといけない。
それができないと、自分達の経営を圧迫し、場合によっては自殺行為になってしまう。
(もちろん、いろんな金融商品で為替をヘッジ(為替リスクを消す)ことはできますが、この金融商品を買うにも結構コストがかかるので、実際には殆ど同じくらいの負担がかかります)
ですから、古今東西、
「一部海外で運用することはあっても、基本は現地通貨で調達し、現地通貨で運用する」というのが金融機関経営の基本になっています。
「あまりに多大な為替リスクを負わない」ということが、重要だからですね。
これは、経営者が日本人だろうが外国人だろうが、株主が政府だろうが民間だろうが、外人だろうが
企業体として「潰さない」「過度なリスクを取らない」ことは、金融機関の経営として共通です。
ですから、
たとえ、簡保や郵貯が外資系企業に買収されることになったとしても、郵政マネーを海外流出させるのは、そんなに簡単でもないし、現実的にも難しいと言えるのではないかと思います。
ただ、1つだけ、現実的に「郵政マネー」が海外に流れる可能性があるかなと思うのは、郵便局での投資信託の販売です。
投資信託というのは、プロの「投資運用会社」が貴方のお金を運用してくれますよ、という奴です。
例えば私たちが、郵貯や簡保にあずけていたお金を取り崩して投資信託を買うと、その先には海外の株式や債券に投資しているものが多いですから、結果的に「郵政マネーは海外に流れます」
実はこれは、郵政民営化とは全く関係なく、既に少しずつ起きていることだと思います。
実際、郵貯が投資信託を販売し始めてから、リーマンショックで株式市場が低迷するまでの間、
郵便局での投資信託販売はうなぎ上りに上がっていました。
この場合、「為替リスク」は郵貯や簡保ではなく、個人の消費者が承知の上で、個人の判断で負担していますから、郵貯や簡保にとっては全くリスクがない訳ですね。
郵貯や簡保の利用者に限らず、個人がこれまで預金に預けていたものを、思い切って外債を買ったり、投資信託を買ったりすれば、当然そのお金は海外に流れます。
この流れは、郵政民営化云々と関係なく、将来的には増えていくかもしれませんね。
次回は、鳩山政権での郵政見直し議論についてお話してみたいと思います。
お楽しみに。
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