今日も郵政民営化見直しについて、考えてみたいと思います。
風邪をひいて寝込んでしまいまして、1週間以上アップが遅れてしまいました。
すみません(涙)。
さて、今日は予告通り、「ニュージーランドポスト」の話をしたいと思います。
「ニュージーランドポストの民営化は失敗だった!」と国民新党のウェブサイトにも書いてあるとおり、
民営化すべきでない、というケースの典型例として、ニュージーランドポストの例が引き合いに出されることが多いですね。
1)民営化したら郵便局の数が減った!!とても不便になった!!
2)民営化したら銀行が外資に買われて大変! 近くに銀行の支店がなくなってしまった!
という類のものです。
確かに、事実を見てみると、ニュージーランドポストの郵便局の数は、
1000局くらいから985局くらいに減少しています。
当時のニュージーランドは規制緩和で外資(といってもオーストラリア系ですが)
銀行が国内銀行を買収しまくった時期でもあったため、さらに「民営化ってどうなのよ!』
という議論が起きたことも事実のようです。
私も、ニュージーランドのケースから、民営化のリスクをちゃんと把握することは重要だと思います。
ただ、単純に「ニュージーランドでは民営化は失敗した!だから日本の民営化も見直すべき!」
というのは、あまりに乱暴な議論のように思います。
なぜなら、ニュージーランドポストのおかれていた環境と、今の日本の郵政の置かれている環境とは、
本質的に大きく異なるからです。
まず最大の違いは、郵便局の数と密度です。
さっき申し上げたとおり、
ニュージーランドの郵便局は民営化前で1000局あまり。
日本の郵便局は25000局です。
1つの郵便局がカバーしている面積は、ニュージーランドは270平方キロメートル、日本は15平方キロメートルです。
要するに、
ニュージーランドポストは、東京23区を合わせた面積に多くて2、3局くらいしか郵便局がないものを、更に縮小したという状況にあった訳です。
一方、日本の場合は4キロ歩けば必ず1つは郵便局があるような状況です。
「減らされたら困る!!」という議論をするにしても、
相当レベルの違うものを比較しているといえるでしょう。
もう1つの大きな違いは、銀行を巡る環境の違いです。
先ほども申し上げたとおり、ニュージーランドポストが民営化されたころは、ニュージーランドの金融の規制緩和が進んでいました。
もともとそれほど経営基盤が強くなかったニュージーランドの民間銀行は、次々にオーストラリアの銀行に買収されていきました。
一時は「ニュージーランド国籍」の銀行がニュージーランド全土から消滅しそうになった訳です。
更に、買収された銀行は店舗網を合理化していったため、金融サービスを受けるのに、隣町までいかなければならない、というような状況も発生していったのですね。
このような状況をみて、「やはり、ニュージーランド国籍の銀行を作ることは重要である」との問題意識のもと、政府は郵便局ネットワークを使った国営銀行として「キウイ銀行」を立ち上げる決断をすることになります。
「ほら、やっぱり民営化しても上手くいかなくて、国営銀行を立ち上げたじゃないか!!」
という話ですね。
しかし、日本の場合はどうでしょうか?
かなり限定された過疎地を除けば、
日本はむしろ「オーバーバンク(銀行が多すぎる)」と言われているくらいの状況にあります。
都銀あり、地銀あり、信用金庫あり、信用組合あり。。。。
もちろん、殆どの銀行は日本国籍の銀行ですね。
むしろ、ゆうちょ銀行があまり様々なサービスに手を出しすぎると、「民業圧迫!」と言われる訳です。
つまり、ニュージーランドのケースと比べると、既存の民間金融機関サービスだけでも、かなり充実している、といえる訳ですね。
もうひとつ付け加えれば、
日本の銀行はニュージーランドの銀行とは、金融資産も事業規模も、かなり違います。
ゆうちょ銀行など、世界で最も金融資産をもっていると思われる「マンモス銀行」です。
だって、ゆうちょ銀行ひとつだけで、保有している金融資産は180兆円。
ニュージーランドの銀行を買いまくった「超本人」であるオーストラリアの国中の個人金融資産を全部かきあつめても、150兆円くらい。
つまり、ゆうちょ銀行を買うってことは、オーストラリアとニュージーランドの全部の銀行を一気に買うくらいのインパクトがある、ということです。
もちろん、民営化を行うときに、様々なリスクに配慮して注意深く設計することは大事です。
ニュージーランドのケースから学ぶことも多いでしょう。
ただ、「郵政を民営化すると、ニュージーランドのように銀行の多くが外資に買われて、合理化されて、国民生活が不便になる」という議論は、あまりに単純すぎる比較だということですね。
海外の郵政の事例を引き合いに出すときには、
こういった背景の違いをしっかり理解することが、とても重要なのではないでしょうか。
さて、次は、「民営化ってほんとにいいことなの?」についてお話してみたいと思います。
お楽しみに。
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