今日も郵政民営化見直しについて、考えてみたいと思います。
前回の続きになりますが、今日のテーマは「ドイツの郵政民営化は失敗だったのか?」です。
前回お話したとおり、ドイツでは1990年、民営化が始まると同時にいわゆる「郵便」と「郵貯」を別会社にしました。
しかし、また1999年から2002年まで、この二つの会社を再統合しています。
で、その後「郵貯(ポストバンク)」は上場しましたが、この大株主は一足先に上場した郵便(ドイツポスト)でありつづけています。
要するに、ドイツの郵便と郵貯は、「結婚していた夫婦が、一度離婚して、また再婚して、その後は同じ家にはすんでないけどつき合っている」みたいな状況な訳ですね。
これはなぜなんでしょうか? なぜ離婚したのにまた再婚したんでしょう?。
昔、ドイツの専門家にこのあたりの事情を聞いてみたことがあります。
そうしたら彼は大笑いしてこんなことを言ってました。
「郵便と郵貯に『再婚』の時期があったのは、改革が遅れてしまった郵貯の経営スタイルを入れ替えたかったからさ」
話を分かり易くするためにたとえ話でいうと、、、
郵便と郵貯が離婚をした後、
郵便君はスタイリストをつけたり、トレーナーをつけてジムに通ったりしたので、頑張ってスリムになり、ファッションセンスも抜群のいい男になって、一足先に社交界デビュー(株式上場)した。
でも郵貯ちゃんは一向にダイエットも出来ず、相変わらずファッションセンスも今イチ。
でも郵貯ちゃんもはやく社交界デビューさせなきゃいけない。
で、しょうがないので、プロダクション(政府)の人が郵貯ちゃんを観るにみかねて、
まず郵便君と再婚させて郵便君の家に住まわせ、郵便君がスタイリストやトレーナーさんに郵貯ちゃんを任せたり、郵便君が郵貯ちゃんの生活習慣を徹底的指導した
それで5年たって、スリムになってファッションセンスも抜群になった郵貯ちゃんは、
漸く社交界デビューし、郵便君とはよい関係を保ちながら、独り立ちした
要するに「郵便と郵貯」の再婚時期は、郵貯ちゃん社交界デビューのための、スパルタ教育期間だったワケですね。
結果的にみえてくるのは、
郵便や郵貯を「一体にすべき」とか「別々にすべき」という議論は、そんなに簡単な話ではないということです。
普通に考えれば、郵便の経営は「クロネコヤマトや佐川急便」のほうが近いけど、郵貯の経営は「地方銀行」の経営に近いわけですから、一人の経営者が両方みるのは難しいはずです。
でも、それぞれの経営者/運営主体の経営手腕によっては、豪腕な一人の経営者が一体で一気に改革してしまったほうがいい、ということもあり得るということなのでしょう。
一方、それぞれ上場したとしても、ドイツのように市場から株式を買えば、結果的にお互いの大株主になることだってできるわけですから、「別々に上場する=全く分離された運営になる」という議論は、あまりに単純すぎるような気もしますね。
さて、今現在、ドイツポストグループは「郵便=ドイツポスト」「郵貯=ポストバンク」ともに上場して、グローバル企業として成長しつづけています。
特に民営化後のドイツポストの成長は目覚ましく、「DHL」という黄色いマークのアメリカの世界的な宅配会社(世界をまたにかけるクロネコヤマトみたいな会社です)を買収したりして、いまや世界随一の物流企業に成長しました。
ちなみに、「民営化」の精神を象徴するドイツポストらしい話をご紹介しましょう。
写真は、ボンにあるドイツポストの本社ビルです。全面ガラス張りの非常に立派なビルです。

実はこのビル、エレベーターも、部屋のしきりもドアも全部ガラスです。
ガラス張りのエレベーターは高速運転するので、当初気持ち悪くなる人も出たりしたので、運転速度を遅くしなくてはならなかったそうです。
実は、お手洗いもガラス張り。。ただしここだけは「曇りガラス」なので外からは見えません(笑)
なぜこんなに徹底してガラス張りなのでしょうか?
はい。
「徹底して透明性の高い仕事をする」「誰がいつ何をやっているのか、誰からもわかるようにする」というのが、民営化し、改革してきたドイツポストの信念だから、だそうです。
ドイツ郵政民営化が失敗だったのか成功だったのかはさておき、
民営だろうが国営だろうが、3事業一体だろうが4社分割だろうが、
とにかく郵政民営化の見直し議論も、これくらい「ガラス張り」の運営を目指したものにしてほしいですね。
次回は、「民営化、株式上場を凍結するデメリットは?」について解説してみたいと思います。
お楽しみに。
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