郵政民営化、ホントに凍結するとどうなるの? | 世界一やさしい「郵政民営化」のお話

世界一やさしい「郵政民営化」のお話

小泉旋風では「賛成!」。民主党旋風では「全面見直し、凍結」。

でも、本当はどっちなの? それともどっちでもいいの?

今イチわかりにくい「郵政民営化」見直し議論。 今だからこそ、ぐっと分かりやすく解説してみたいと思います。

こんにちは。

今日も郵政民営化見直しについて、考えていきたいと思います。

さて、今日は、「郵政民営化をホントに凍結すると何がおきるのか?」について、少し解説してみたいと思います。

ただ、何がおきるのかは、「何をどう凍結し、どう見直すのか」によって随分違うので、いくつか重要なポイントに分けてみていきましょう。

基本的に、今「郵政民営化見直し!!」と叫ばれている議論のなかで、具体的に出てくる「施策案」は、大きく分けて以下の3つになります。

1. 西川社長に辞任してもらう。

2.なるべく早く上場するはずだった「ゆうちょ銀行」「かんぽ保険」の株式上場を「凍結」する。

3「ゆうちょ銀行(ゆうちょとしての預金、決済等を運営している会社)」
「かんぽ保険(いわゆる簡保保険の販売と運用をしている会社)」
「日本郵便(手紙や年賀状、宅配等の集荷/配送を運営している会社)」
「郵便局会社(25000の郵便局の「窓口」を束ねている会社)」
という、4つの会社に分割したのを、やっぱり全部もとに戻してくっつける(3事業一体にする)


では、それぞれについて、少し詳しくみていきましょう!。

1.西川社長が辞任するとどうなるか?

これは例の鳩山氏(弟)が言い出した、「経営者として失格、だからクビ」という奴です。

西川社長というのはちなみに、「ゆうちょ銀行」「かんぽ保険」「日本郵便」「郵便局会社」の親玉(親会社)である「日本郵政(株)」の社長です。

親玉会社の社長である西川氏の役割は、4つの子会社が夫々独立した民営化会社として独り立ちできるよう手助けをすること、特にゆうちょ銀行、かんぽ保険を「上場」を達成させることでした。

皆さんご存知のとおり、「上場」とひとことで言っても、「上場する!!」って言ったら誰でも上場できる訳ではありません。
上場するには、「ちゃんとしっかり利益を出せる会社であること」「将来成長する可能性が高いこと」「ちゃんと法律を守る優等生であること」等、いろんな条件をクリアしなければなりません。

ですから、上場を目指す会社の経営者は大変です。襟を正し、体制を整え、実績をつくり、「脂肪を落として筋肉質」にし、将来の絵を描かなければなりません。

西川氏は「上場を実現することが自分の役目である」とずっと言い続け、その方向で舵を切ってきた人でした。

西川氏の辞任の話がでてきたのは、「かんぽの宿をあまりにも安い価格で売却しようとした」ことがきっかけでしたね。

「上場準備はいいけど、やり方がまずい。ちゃんと襟を正してないじゃないか!それじゃ駄目だ!」

という訳です。

では西川氏が辞任すると何がおきるのでしょうか?

正確には、「後任が誰になるかによる」と思います。

つまり、西川氏の後任が

「上場なんてやめちゃうんだ! だからそれまでして来た準備は全部ストーップ」

という人になるのか、

「ちゃんと襟を正してしっかり上場準備を続けるんだ!」

という人になるのかによって、方向性が全く違うということです。

ただ、今の雰囲気だと、「上場をやめる。だから上場を目指して舵を切って来た西川氏は辞任」という空気になっていますから、西川辞任=上場凍結を決定的にするということになるような気がしますね。


2.「上場を凍結する」、つまり、これまで上場準備を進めて来た「ゆうちょ」も「かんぽ」も、上場しないとなると、どんなことが起きるの?


1)ゆうちょも簡保も、上場のために絶対に必要な「収益性の改善」や「経営の効率化」は、そんなに急いでしなくても良くなる。

例えば、無駄をなくそう、とか、預金をもっと集めなきゃ、とか、新しいビジネスを立ち上げよう、という外からのプレッシャーは随分低くなります。

私たちにとって何かいいことがあるかというと、採算はやや度外視してもよくなるわけですから、あまり頑張ることなく、「国民の皆さんのために、今までより低価格で沢山のサービスを提供します」なんてことも、おきるかもしれません。

上場する場合と比べて、外からのプレッシャーがなくなる分、本当に無駄をなくせるのか、効率的な運営とサービスの質のバランスをどう取るかは、「国のコントロール」と「経営者」のモラルの高さに100%依存する形になる訳ですね。>

    
2)ただし、わたしたちの「税金」負担分は、株式上場する場合より大きくなる可能性が高くなる

郵貯と簡保を上場すると、「国」がいま持っているゆうちょ株、簡保株を、(全部かどうかは分かりませんが)、市場で売ることになります。

NTTの上場のときもそうでしたが、こういう大きな公的機関の民営化のときには、結構高値がついたりします。

その結果、国は臨時収入として「株の売却益」を得られることになります。

これは、実は結構大きいですね。おそらく数兆円の規模にはなるでしょう。

上場しないとなると、まずこの収入はなくなります。 

ですから国の家計簿を考えてみると、

もし「必要な出費」が変わらないとすると、この「臨時収入」がない分、通常の収入=すなわち税金収入=すなわち私たちの税金負担が相対的に増えることになるかもしれません。

「郵貯もかんぽも「公的サービス」なんだから、自力でなんとかする、というよりも、私たちが税金でなんとか維持してあげないとだめよね」
と、私たちひとりひとりが思うかどうかが、分かれ目になりそうですね。

3)民間企業が「政府が税金を使って私たちのビジネスを圧迫してる!!ずるーい」と思ってしまう

普通の銀行などは、当然のことながら上場しています。
上場している企業として、市場のプレッシャーにさらされています。

つまり、収益性が悪くなると株を売られ、株価が下がり、株主総会で「何やってるんだ!!」と経営者がお叱りを受けるわけです。

でも、同じ業務を営んでいながら、ゆうちょ銀行はもし上場しないで、国が100%株主になるとすると 
そんなプレッシャーを受けない分、有利にビジネスを出来てしまいます。

普通の銀行からしてみると「フェアじゃない」「たまったもんではない」訳ですね。

もし本当に、ゆうちょや簡保のサービスが「公的機関でしかできないもの」なのだとしたら話は分かり易いのですが、実際には郵貯も簡保も、基本的には民間の金融機関と同じ顧客に、同じようなサービスを提供しているケースがほとんどなので、話がややこしくなります。

この問題はおそらく、民営化見直しのなかで相当議論になると思います。




3.「4分割した会社を、またもとに戻してくっつけるとどうなるの?」


細かいことは、どういう風にくっつけたり戻したりするかによって大きく変わるのでまた別の機会にお話しますが、少なくとも、これだけは言えるのは、

「分割の仕方をどう見直そうと、恐ろしいほどの時間と労力とお金がかかる」


ということです。

郵政は、全部あわせると従業員数が30万人ちかくいる、極めて巨大な企業です。

ちなみに、トヨタ自動車の従業員は7万人。連結子会社を含む全世界のトヨタグループの従業員が約30万人で、世界で第三位の企業規模だと言われています。

ちょっと想像してみてください。

海外も含めた全トヨタグループと同じ規模の会社を、2-3年の間に4つに分割して、またもとに戻す、ということ自体、どれくらいのお金と労力がかかるでしょう?


当然、昔3事業一体だった時代から、民営化とともに巨大な組織を4つに分割し、独立に運営できる事業体にするまでには、これまで既に、大変多くの時間と労力と資金がかかっています。

組織のポジションを決め、一つだった人事部や法務部、システム部を4つに分け、30万人全員の人事を決めて発令し、それぞれの事業計画をたて、一緒だった決算書を4つに分けるための血のにじむ努力をし、それぞれに必要なITシステムなども構築し、、、、、。
準備期間も含めると1年以上の時間を、まずこの4社体制を作り込むことにほぼ費やして来たと言っても過言ではありません。

またこれを一体にするということは、また同じような労力と時間をかけて、時計を巻き戻すことになります。

問題は、それだけのコストと時間と労力をかけてまで、またもとに戻すことの「効果」「メリット」「意義」は明確なのかどうかです。


ですので次回は、
「3事業一体ってそんなに重要?」について詳しく解説してみたいと思います。
お楽しみに。

↓↓お手数ですがワンクリックください。読んで下さる方が増えるそうです。

人気ブログランキングへ 


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村