上場するはずだった郵貯/簡保の株式売却を凍結、という方針の背景に、
こんな理由がささやかれています。
「郵政民営化はアメリカの陰謀。上場したとたんに外資に買われ、
340兆の郵政マネーが米国に流れる」
もし本当にそうなったら、確かに大変なことになります。
例えば、わたしが、メインバンクの三井住友銀行に預けたお金は、おそらく、
三井住友銀行の取引の、××商事等への「貸出」に使われています。
でも、わたしが郵貯に預けたお金は違います。そのほとんどが、日本という国に対する貸出=国債
での運用に使われているからです。
もし郵貯のお金が、アメリカという国への貸出として流出してしまうなんてことがおきてしまったら、、、
これだけ借金を抱えている日本は、他にお金を貸してくれる人達を大急ぎで探さななければならないことになります。
しかも、340兆円分。。
この金額は、これまで発行されている国の借金(国債発行残高)の2割ほどの金額になりますから、
もう大変なことです。日本全体を揺るがす、由々しき事態になります。
でも果たして、本当にそんなことは起きるのでしょうか?
このコワーイシナリオが現実のものになるためには、
まず、誰か「アメリカに資金を流すんだ!!」と強く決意した人間が、
郵貯や簡保の経営のコントロールを握る必要があります。
確かに、過去に外資が日本の金融機関を買って、経営を握ったケースはあります。
おそらく記憶に新しいのは、日本長期信用銀行でしょう(今の新生銀行)。
でもよく考えてみると、郵貯や簡保のケースは、破綻した金融機関ではありませんから、
長銀のときのように、10億円ぽっきりで買えるというようなバーゲンセールはありません。
さらに、郵貯や簡保の規模は、長銀の比ではありません。
ゆうちょ銀行だけでも、資金量は180兆。
これは日本最大の民間銀行である、三菱東京UFJ銀行の1.8個分です。
したがって、この経営をコントロールするだけの株を一人で買い占めようと思うと、おそらく
4-5兆円以上の規模の資金が必要になるでしょう。
折しも世界は100年に一度の金融危機。
最も資金力があるはずだったアメリカの金融機関たちは、
この不況を自分達が生き残るためだけでも
上位10社で合計7兆円の資金不足だと言われています。
いくら340兆円が欲しくても、先立つ資金がないというのが
足下の状況のような気がします。
ですから、郵貯や簡保が上場したとしても、「とたんに郵貯マネーがアメリカに買われる」可能性は
当面とても小さいと言えるのではないでしょうか。
とはいえ、、「郵貯マネーがアメリカに流れるのを阻止すべし!」
という議論より、
「国の借金の2割を、結果的に郵貯マネーに頼っている
国の財政自体をなんとかしなければならないのではないか」
という議論のほうが、よっぽど健全ですよね。
次回は、「郵貯マネーは上場すると投機マネーになってしまうのか?」
について、考えてみたいと思います。
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