「何を言うか! 我々との交流を拒否することは、許されんぞ。
君は将来、次官さまを狙っているんだろうが」
「そうそう、次官さま狙いだ。
「そうそう、次官さま狙いだ。
だとすればだ、我々の協力なしには、有り得んぜ」
「今夜ばかりは、例え親の生き死にであろうとも、優先されるべきだぜ、佐伯くん」
「そうだ、そうだぜ。今夜の慰労会が終わるまでは、このプロジェクトは完遂しないんだ」
「今夜ばかりは、例え親の生き死にであろうとも、優先されるべきだぜ、佐伯くん」
「そうだ、そうだぜ。今夜の慰労会が終わるまでは、このプロジェクトは完遂しないんだ」
有無を言わせぬものだった。殺気立った物言いだった。
「分かりました、分かりましたよ」
興奮状態の二人に対し、そう答えざるを得ない正三だった。
“小夜子さん、ごめんなさい。明日、明日には必ず、馳せ参じますから”
「女将、女将、女将。聞いてるか?
この佐伯正三くんはな、驚くなかれ、恐れ多くもだ、次官さまになられるお方なんだよ。
我々とは、毛並みが違うお方なんだよ」
「そうです、そうですよ。我々の後輩ではありますよ、突然にこの極秘プロジェクトに参入した、新人ですよ。
「そうです、そうですよ。我々の後輩ではありますよ、突然にこの極秘プロジェクトに参入した、新人ですよ。
でもね、佐伯局長の甥っ子さまであらせられる。
控えおろうぅ! ってな、もんですよ」
ネクタイをねじり鉢巻にした二人が、口々に正三を褒めそやした。
ネクタイをねじり鉢巻にした二人が、口々に正三を褒めそやした。
「まあまあ、そうですか。佐伯局長さまの甥っ子さまですか。
いつも、佐伯さまにはご贔屓にしていただいて、ありがとうございます」
「でな、女将。今夜の……」
「でな、女将。今夜の……」
口ごもる正三に対して、
「まあまあ、みなまで仰いますな。分かっておりますですよ、万事お任せあれ、ですよ。
「まあまあ、みなまで仰いますな。分かっておりますですよ、万事お任せあれ、ですよ。
どうぞ、心行くまでお遊びくださいまし。
もうそろそろ、芸者衆も来ますですし」と、女将は胸をポンと叩いた。
上座に座らされかしこまったままの正三は、女将に勧められるまま杯を空にした。