★1958年米澤玩具オリエント三輪トラック柳宗理デザイン ~ ブリキ自動車コレクションから098 | ポルシェ356Aカレラ

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★アメリカ大統領選挙
即日か遅くても翌日には選挙結果が判明する日本の選挙とは大きく異なり、再投票も可能であったりなど当選となるまでのシステムが複雑で判りにくいアメリカ大統領選挙の話題でテレビは持ち切りですが、実際のところ日本人でアメリカの大統領が誰になるかによって大きな影響を受ける人は左程多くはない気もします。
しかし、トランプさんが1946年(昭和21年)6月14日生れで今年74歳、対するバイデンさんがポール・マッカートニーと同年1942年(昭和17年)の11月20日生れでもうすぐ78歳というのはこれから大統領になって4年の任期(同一の人が大統領となれるのは最長2期8年まで)を務めるには年齢が高過ぎるように感じるのは私だけでしょうか。心身共に健康ならば若い人よりも沢山経験があって良いという見方は出来るとは思いますが、もしバイデンさんが正式に新しい大統領となってこれから2期務めた場合には任期満了時には86歳となってしまいますyone☆


★閑話休題
今日は「ブリキ自動車コレクションから」シリーズ第98回記事として、米澤玩具(ヨネザワ)の1958年三井精機工業オリエントAB型三輪トラックをご紹介します。ブリキ自動車コレクションの記事でピックアップしている他の大半の車種と同様に今回のオリエントの米澤製ブリキについても既に7年7ヵ月前の2013年4月4日のオリエント実車カタログの記事のオマケとして簡単にご紹介していますが、今回はブリキをメインとして詳しくご紹介することとしますne☆
また、これも2017年3月26日の1950年ダイハツ三輪乗用車の実車カタログ記事(「自動車カタログ棚から」第345回記事)のオマケで一度簡単にご紹介していますが、同じオリエントAB型の青島文化教材社製ライトバン木製キットも再度詳しくご紹介したいと思います☆☆☆


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●三井精機工業株式会社
1928年(昭和3年)12月29日に創業した歴史の長い三井系の工作機械メーカーであり、戦後1947年(昭和22年)4月から1961年(昭和36年)まで三輪トラック「オリエント」を製造・販売していました(三井精機が経営困難に陥った1955年以降の販売は日野ヂーゼル販売。日野は主力銀行の三井銀行からの要請を受けて三井精機オリエント三輪の販売に乗り出しています)。1960年代、オリエント三輪の生産終了後も三井精機工業は日野自動車の小型ボンネットトラック「ブリスカ」や中型四輪トラック「レンジャー」の受託生産を行っています。

●柳 宗理デザインのオリエントAB型三輪トラック
戦後の国産三輪トラックはモーターサイクルと同じ直接式のハンドル=所謂バーハンドル車が生産/販売されていました。1955年(昭和30年)前後よりバーハンドルに代わり四輪と同じ丸ハンドル車が相次いで登場します。愛知機械工業のヂャイアントと三菱のTM7/TM8型が丸ハンドル車で登場した後、1957年(昭和32年)に入ると堰を切ったようダイハツ、マツダ、そして三井精機のオリエントも丸ハンドル車を市場に投入します。三井精機のオリエントについては、1957年(昭和32年)10月に初の丸ハンドル車「オリエントAB型」が登場しています。バーハンドル時代の1956年オリエントTR型より採用されたオリエントの個性的なキャブデザインは、日本のインダストリアルデザイン(工業デザイン)界の巨人・柳 宗理氏(やなぎ そうり:1915年6月29日-2011年12月25日)によるもので、個性派揃いだった国産三輪トラック群の中でも一際異彩を放ち、その丸味を帯び愛くるしい生き物を思わせるような造形は脳裏に焼き付いたら二度と離れないような存在感を持っていました。
オリエントAB型は、標準のAB10型でも全長4800mm、長尺のAB20型では全長5945mmと6mに迫る恐竜のような巨体を持つ三輪トラックで後継のオリエントAC型が1961年(昭和36年)に生産を終えるまで、48馬力のエンジンも柳 宗理氏のキャブデザインも変更のないまま生産が継続されています。丸ハンドル化された時期のオリエントAB型やAC型は三輪トラックがトヨエース等の四輪トラックに駆逐されつつあった時代の影響で元々の販売台数が少なかった上に基本的に三輪トラックは事業用車として酷使され乗り潰されているため実車は絶滅しているものと思われます。
(バーハンドル時代のオリエントTR-2型は現存)


●1957年光文社の動く絵本「とかいののりもの」より103系統 都営トロリーバス補助エンジン付300形303号とツートンカラーのオリエント三輪トラック
B5判・全16頁の絵本の最初の見開き頁。絵・上田三郎画伯。表紙をめくると都営トロリーが前に立体的に飛び出し、プーッ!と警笛が鳴るという優れもの。絵本と玩具を兼ねたような飛び出す絵本の1頁。







●1957年11月発行 三井精機工業オリエントAB型2屯積三輪トラック カタログ(縦255×横202㎜・3つ折6面)
米澤玩具が製品化したAB型の実車カタログ。簡素な3色刷り。日野ヂーゼル販売と三井精機工業のダブルネームでの発行。






丸ハンドルの運転席


AB型スペック一覧



●1960年11月発行 日野オリエントAC型2トン積三輪トラック カタログ(縦210×横275㎜・3つ折6面)
柳 宗理氏デザインのオリエント末期のAC型カタログ。オリエント三輪は当時のリアルタイムのカラー写真が殆ど残っていない中で、この最終型カタログは貴重なカラー印刷となっています。このカタログは日野自動車販売株式会社の印字のみとなっており、製造会社であった三井精機工業の印字はどこにも見られません。


3人乗車で舗装路を走るAC型




【1958年三井精機工業オリエントAB10型 三輪トラック 実車主要スペック】 (1958 Mitsui Seiki Kogyo Orient Typ.AB Three-wheel truck Specification)
全長4800mm・全幅1810mm・全高1940mm・ホイールベース3015mm・車重1495kg・水冷4サイクルOHV2気筒1400cc・最高出力48ps/3400rpm・最大トルク11.0kgm/2600rpm・最大積載量2000kg・乗車定員3名・電装系6V・最高速度75km/h・販売価格60万円


【米澤玩具 1/21スケール 1958年 三井精機工業オリエントAB型三輪トラック ブリキ玩具 主要データ】(1/21scale 1958 Mitsui Seiki Kogyo Orient Typ.AB Three-wheel truck Tinplate Model Toy by Yonezawa Toys KEY DATA)

・商品名: オリエントAB三輪トラック(ORIENT AB TYPE THREE-WHEEL TRUCK)
・米澤玩具 製品番号(管理番号): 不詳
・基本素材: ブリキ
・発売時期: 1958年(昭和30年)頃
・販売価格: 不明(都内・地方共)

・全長:225mm (実車比:1/21.3スケール)
・全幅:87mm (実車比:1/20.8スケール)
・全高:95㎜ (実車比: 1/20.4スケール)
・ホイールベース:148mm (実車比:1/20.4スケール)
・スケール表記: なし
・箱サイズ: 縦91×横226×高さ99㎜
・ボディカラー: オレンジ/ダークグレイ ツートン・ライトグレイ 等
・動力: 後輪フリクション
・シャシー再現: デフ・プロペラシャフトを別パーツにより再現

・バリエーション:
幌付き

・特記事項:
 幌付きの箱付美品および箱は2020年現在現存未確認

・入手難易度: 10段階評価でレベル9程度(幌付はレベル10)

・2020年現在のアンティーク・トイ市場の推定評価額: 幌なし35~70万円程度、幌付き70~100万円程度 (何れも箱付未使用ミントコンディションの場合。箱付で現存する個体は稀少。幌付は状態や箱の有無を問わずウルトラレア)

※1/21scaleは全長・全幅比。



●自動車史/自動車文化史研究の巨人・五十嵐平達先生がリアルタイムに購入した米澤玩具のオリエントAB型三輪ほか
1996年8月10日ネコ・パブリッシング発行「写真が語る自動車の戦後」(五十嵐平達著)28頁より転載。同書の28~29頁に五十嵐先生が1950年代後半にリアルタイムで購入した日本製ブリキの自動車をメインに見開きカラーで掲載されている中に野村のダイハツ、バンダイのマツダや三菱の三輪、同じくバンダイの観音クラウン初期型ベースのBH26型パトカーやRS31ベースの東京駅構内タクシー等と共に米澤のオリエントAB型が写っています。米澤玩具のオリエントが五十嵐先生の目から見ても優れたスケールモデルだったことが判ります。この多数のブリキは全て未使用のスーパーミント状態のまま、五十嵐先生亡き後はトヨタ博物館が引き取って所蔵しています。






●米澤玩具 1/21スケール 1958年 三井精機工業オリエントAB型三輪トラック幌なし (オレンジ/ダークグレイ ツートン・箱付)
1990年代後半にアメリカのコレクターが放出した個体。当時約70万円という価格でしたが箱付はまず出ないと考え、思い切って入手しておいたもの。その後、オリエントの箱付はこの個体と同じ英語表記の箱のものを一度だけ見ています。日本語表記の箱と幌付仕様の箱は見たことがなくウルトラレアと思います。箱は国内向けと輸出向けが共用で日本語表記の箱はそもそも存在しないかもしれません。オリエント三輪の立体造形物は、現在に至るまでこの米澤製以外にはプラモデル登場以前の木製ソリッドキットがあるのみという貴重な存在です。














テール中央には片仮名でオリエントの文字、右側に桜に「Y」の字の有名な米澤玩具の商標。


箱絵に描かれているのはオレンジ/グレイのツートン。箱右下には楕円にORIENT文字のオリエントの実車の商標が印刷されています。




手前のミニカーは大きさ比較用モデルワム1/43スケール・ホワイトメタル製1957年ダイハツミゼットDKA型(全長60㎜)


箱横面にはOrient Three-wheel truck AB TYPE(オリエント三輪トラックAB型)の印字




ホイールキャップにはORIENT文字がプリントされています。


実車に忠実な室内プリント




デフ、プロペラシャフトが別パーツで再現されたシャシー




●米澤玩具 1/21スケール 1958年 三井精機工業オリエントAB型三輪トラック幌なし (ライトグレイ・箱なし)
上掲のツートンカラーよりも実車っぽいカラーリングです。


















●米澤玩具 1/21スケール 1958年 三井精機工業オリエントAB型三輪トラック幌付仕様(幌リプロ) (オレンジ/ダークグレイ ツートン・箱なし)
Iコレクション(東京ティントーイズクラブ)より。オリジナルの幌骨に後年手造りした幌を被せたもので幌は非オリジナル。オリジナルの幌にはORIENTの文字が入っているのかどうかは不明。この個体と同様に幌骨のみが残り錆がかなり浮いたジャンク状態の幌付きの米澤製オリエントを1990年代初め頃の横浜ワンダーランドマーケットの会場で25万円で売られているのを見ています。しかし、その後、約30年、幌付きオリエントは幌骨のみが残った状態のものでさえ一度も見掛けないウルトラレア品。しかし、人知れずオリエントの幌付仕様の箱付未使用美品が現存している可能性もゼロではありません。






●米澤玩具 1/21スケール 1958年 三井精機工業オリエントAB型三輪トラック幌なし 2種の並び












左のオレンジ/ダークグレイのツートンにはリアパネル左下に謎の突起部がありますが、右のライトグレイには突起部がありません。






手前は出来の良いモデルワム製1/43ダイハツミゼットDKA








【参考】 青島文化教材社1/25スケール程度 1957年オリエントAB-10型ライトバン・サービスカー 木製ソリッドキット
箱サイズ:縦126×横175×厚さ24㎜。完成時の全長約19cm。当時定価:不明。米澤製オリエントAB型より一回り小ぶりの1/25程度のプラモデル登場以前の木製組立キット。ホイルキャップなどブリキ製のパーツも入っています。木製部品がギッシリ入っていて割合重いです。現在も模型メーカーとして盛業のアオシマが木製キット製造からプラモデルに転向したのは、有限会社化された1961年(昭和36年)。箱と組立説明図では印字された製品名が微妙に異なり、箱には「ライトバン・サービスカー オリエントAB-10型」の印字、組立説明書には「三輪商業用トラック ライトバンAB10型」(トラックとライトバンが併記というのは妙です)と印字されています。


箱横面には「ライトバン サービスカー」の印字






ホイールキャプはクロームメッキのブリキ製


手書きの組立原寸説明図。ABK製作。「単1乾電池1本にて面白く走るライトバン」のコピーがあるものの、説明図に従って木製部品を組み立て、快調に走るレベルまで仕上げるのは相当大変です。






右下に記載のある、「仕上げにはセロバスターを」のセロバスターというのは12色出ていた塗装用ラッカーのようです。




※オリエント三輪トラックの実車カタログについては2013年4月4日の自動車カタログ棚からシリーズ第126回記事をご参照ください。





★オマケ(その1): ホットウィール新製品 トヨタ2000GT 東京オリンピック2020記念ニューカラー白
2020年11月新製品。既に出ている赤茶に加え、白い2020TOKYO記念のトヨタ2000GTが発売になっています。トヨタ2000GTが好きな向きなら、やはり押さえておきたい1台。








★オマケ(その2): 柳 宗理デザイン1956年オリエントTR-2 三輪トラック実車動画
この動画を見ると旧車レストアの苦労が判ります。