★1950年ダイハツ三輪乗用車ほか 戦後5年目のタクシー大盛屋 ~ 自動車カタログ棚から 345 | ポルシェ356Aカレラ

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3月21日(火)午前、平年より5日早く気象庁より東京のソメイヨシノ(染井吉野)の開花が発表されましたが、ここ数日は桜が開花したというのは嘘のように寒い毎日になっています。うっかり薄着などして風邪など引かないようにしたいものです。さて、今回は原点に戻り?ワタシの好きな時代の国産自動車カタログをご紹介しますNE。
このところ、タクシーやハイヤーの話がブロ友さんの中では流行っている?みたいですので、ワタシも今回は今から65年以上前、昭和20年代半ばの三輪タクシーをご紹介しますNE。



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★1912年(大正元年)8月5日、東京・有楽町の数寄屋橋際(現在の有楽町マリオンの地点)でタクシー自動車株式会社が6台のT型フォードでタクシーメーターを付けて営業を開始したのが日本のタクシーの始まりと言われ、それから今年で105年になる。
1927年(昭和2年)には、それまで統一されていなかった東京のタクシー料金が市内1円均一となり所謂「円タク」として親しまれた。
戦前におけるタクシー稼働のピークは1930年代半ば(昭和10年前後)であり、その大半を日本組立されたシボレー、フォードが占めていた。1930年代末から終戦を挟んで1950年(昭和25年)まではガソリン供給が統制された影響でガソリン車以外に木炭・亜炭・薪等の代燃車や電気自動車が使用された。戦後5年目、1950年までのタクシーはその大半が戦前のアメリカ車の生き残り達であり、国産車の使用例はまだ多くはなかった。1950年代に入ると共にダットサン、トヨペット、オオタといった乗用車生産を再開した日本の乗用車のタクシーとしての採用例も見られるようになった。

★一方、戦後の風物詩として知られる輪タクも活躍した。輪タクは自転車の後ろに人力車を括り付けたような構造の車両で、自転車の車輪を用いたタクシーといった意味を持つ。
そのルーツは1910年代、大正初期の人働車にあり劣悪な燃料供給事情を背景に戦後の日本で夥しい数が繁殖した。東京では1947年(昭和22年)2月1日に新宿区に本拠を置いた的屋系暴力団「関東尾津組」が乗客2名乗車の輪タクを稼働させたのが始まりとされる。輪タクの初乗り料金は都電や都バスの初乗りの20倍程度と決して安い乗物ではなかったが、それでも自動車を使用した通常のタクシーよりは安価であったために庶民のちょい乗りに使用されるケースは多かったようである。輪タクは燃料供給事情の好転した1951(昭和26)年乃至1952(昭和27)年には都内から姿を消したとも言われるが、地方都市では昭和30年代末頃までは普通に見られた模様である。

★輪タクを人力でない内燃機関を持つオート三輪ベースに換えたとも言えるのが、今回ご紹介する三輪自動車タクシーである。
ダットサン、トヨペットが営業車として台数を伸ばし始めた時期に登場したため、四輪に比べて廉価だったとは言え、三輪自動車がタクシーとして広く営業をしたのは、1950年前後から僅か数年、精々1955年(昭和30年)までのことであったと思われる。街中での三輪タクシーが記録された写真が少ないことから、そのタクシーとしての稼働数は全盛期にあっても四輪のタクシーに比べれば非常に少なかったのではないだろうか。



●三輪タクシー点景 (広報誌トヨタ・ニュース1951年2月10日号より)
点景(1)

三輪電気タクシー
点景(2)電気タクシー

点景(3)


●輪タク (広報誌トヨタ・ニュース1951年2月10日号より)
これは人力車を自転車の後ろに括り付けるタイプではなく、客席が運転席と並置・併走するサイドカー的な形態のようだ。
リンタク


●1956年 大阪駅前の輪タク
ダットサン110、日野ルノー4CVやトヨペットマスターのタクシーが並んだ右端にまだ少し輪タクの姿が見える。
大阪駅前


●三菱みずしま三輪タクシー (玉川こども百科4じどうしゃ:五十嵐平達編 1952年2月25日発行より)
みずしま五十嵐


●1949年トヨペットSBベースの相互タクシー (広報誌トヨタ・ニュース1951年2月10日号より)
ここから4台は三輪ではないが同時代のタクシーの例として参考掲載。この写真の撮影場所は東京駅丸の内口のようだ。日本政府は戦局が悪化していた1944年(昭和19年)に東京のタクシー会社約60社を、大和、国際、帝都、日交の大きく4社に統合・合併させた。
相互(1)

相互(2)


●1949年トヨペットSBP「近鉄タクシー」
近鉄タクシー


●1949年トヨペットSBP 大分「中央タクシー」
背景にある「電気タクシー」の看板に注意。
大分タクシー


●1949年トヨペットSBP 兵庫「神戸電鉄ハイヤー」
後ろのバスもトヨタでしょうか。予約~貸切使用のハイヤーと流しや無線呼出し中心のタクシーといった棲み分けはこの時代からあったのでしょうか。
神戸ハイヤー&バス


●1950年マツダPB型 広島 三輪タクシー
福山自動車時計博物館がタクシー用三輪に復元した車両。
マツダPB福山


●新愛知起業ヂャイアント三輪バス
事業者不詳。狭隘地ではオート三輪の荷台をそっくり客席とした形態のバスも運用された。
ヂャイアントバス




【主要スペック】 1950年 ダイハツ三輪乗用車セダン型 (1950 Daihatsu Three wheels passenger car sedan Type)
全長3400㎜・全幅1460㎜・全高1700㎜・ホイールベース2150㎜・最小回転半径3020㎜・車重770kg・FR・空冷単気筒4サイクル738cc・最高出力15hp・変速機3速MT・燃料タンク容量13ℓ・乗車定員3~5名・経済巡航速度35km/h・販売価格:不明



●1950年7月 ダイハツ乗用自動車 専用カタログ (縦25.7×横18.2cm・2つ折4面)
カタログNo.KBS.582.3。まだ印刷用紙の供給も十分でなかったこの時代としては異例に良質の紙を使用したカタログで、ダイハツのネオンの点いたビルをバックに帽子を被ったドライバーが芸者風の女性を乗せた三輪乗用車を描いた表紙が秀逸。3人乗りの幌屋根のフェートン型と3人乗り横扉付のセダン型、5人乗りの左横ドア付で客室が前後2列シートと同じく5人乗りながらリアドアで客室が客がサイドウインドに背を向けて向い合せに座る左右2列シートタイプが掲載されている。人力の輪タクよりは遥かにパワフルとは言え、770kgの車体を15hpエンジンで5人フル乗車で走らせることは大変だっただろう。
ダイハツ(1)表紙

表紙と裏表紙が一続きの絵
ダイハツ(2)表紙・裏表紙

【中面から】
ダイハツ(3)中

ダイハツ(4)

ダイハツ(5)

スペック
ダイハツ(6)スペック



●1950年? ヂャイアント・スター号 AA-5型 実用三輪乗用車 専用カタログ (縦18.7×横13cm・2つ折4面)
このカタログは2012年6月24日の本シリーズ第12回記事「ダイハツビー」で既にご紹介していますが、画像を変えて少々詳しく判る形で再掲載することとします。全長3500mm・全幅1555mm・ホイールベース2300mm・車重840㎏・水冷単気筒OHV636cc・最高出力19ps・最高速度60km/hと上掲のダイハツ乗用自動車より若干大きく、しかしエンジン排気量は小さいにも関わらず高出力。
スター(1)表紙

【中面から】

スター(2)

スター(3)

スペック
スター(4)スペックAA5型

裏面
スター(5)裏面





★オマケ(その1): 青島文化教材社 1957年オリエントAB-10型ライトバン・サービスカー 木製ソリッドキット
箱サイズ:縦12.6×横17.5cm。完成時の全長19cm。当時定価:不明。スケール1/25程度の模型。プラモデル登場以前の木製ソリッドキット。2017年現在も模型メーカーとして第一線で活躍しているアオシマだが、木製キット製造からプラモデルに転向したのは1961年(昭和36年)。ライトバン・サービスカーとして製品化されているが、窓の開いた荷台部分はそのまま客室として三輪乗用車にも転用出来そうなデザイン。
青島(1)

青島(2)

青島(3)



★オマケ(その2): 大盛屋チェリカフェニックス35番 1/40スケール 1964年セドリックカスタム東京駅構内タクシー
全長11.5cm。アンチモニー製。1964年6月発売。当時定価380円。大盛屋は相前後して2代目40系クラウンの東京駅構内タクシーもモデル化しているが、クラウンよりもこのセドリックの方が流通量は少なく更に大盛屋が間もなく倒産していることもあり、国産タクシーのミニカーの中では入手が難しい1台。新品時から東京駅構内タクシーのシールが少々曲がって貼ってあったり、青い帯がかすれていたりしたりと個体差がみられ、パーフェクトな状態のものは少ない。一緒に写っているのは、大盛屋の発売から48年の時を経てリリースされた2012年11月発売のトミカリミテッドヴィンテージLV-127番の1/64スケール 1964年セドリック東京駅構内タクシー(税抜1500円)。
大盛(1)

大盛(2)

大盛(3)

大盛(5)

大盛(5)

TLVとの並び
大盛(6)トミカ

大盛(7)トミカ後ろ



★オマケ(その3): トミカフェスティバル イン東京
2017年3月25日(土)~4月2日(日)の午前10時~午後4時、池袋サンシャインシティ文化会館ビル4F展示ホールBで開催中のトミカフェスティバルに行ってきました。

展示されていたプラチナトミカ「フェアレディ432Z」・・・何と700万円!買う人がいるんでしょうか。車種が泣く子も黙るトヨタ2000GTでないのは、2000GTは1970年のオリジナルの金型が摩耗して使えないため、やむなく432Zにしたのでしょうか。
プラチナトミカ

組立工場はFJクルーザーとカウンタックLP400の2種で行列の短いカウンタックを無難な黒シートで3色作ってきました。3台で税込1700円(1台当り約566円)。組立工場の箱でもちゃんとランボルギーニの版権シールが貼ってあってビックリ。
カウンタック