★1978年 イチコー ブリキ玩具カタログ ~ 玩具・模型カタログ棚から 008 | ポルシェ356Aカレラ

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お盆休みも終わりに近づき交通機関の上りの混雑が続いているようです。8月18日(月)からは日常に戻り東京の通勤電車や道路にもいつもの混雑が戻るのでしょうね。

ここ最近は自動車カタログと玩具・模型カタログとを交互に記事にしていますが今回は玩具・模型カタログです。前回に引き続きブリキの世界では有名なイチコーの今回は少々時代が下った1970年代末のカタログをピックアップします。時代が新しいとはいえカタログ自体が稀少なので恐らくこのカタログの内容もこれまで書籍やネット上に公開されてはいないものだと思われます。しかしながら、興味がない方には全くつまらない記事だと思いますのでスルーしちゃってください。
 




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★イチコーの企業名称は、設立当初は一宏製作所、1960年代には一宏工業(株)、1970年代には(株)一宏という流れで移り変わったが、今回のカタログは最後の(株)一宏となってからのもの。
1970年代は既にブリキ玩具の衰退期を迎えていたが、しかし、このイチコーを始め、野村トーイ、アサヒ玩具等の歴史のあるメーカーがまだブリキ製品を製造・販売していた。自動車玩具においては従来のゴムタイヤがプラタイヤとなったものが多く、タイヤの材質はブリキ自動車の新旧を判別する判りやすいポイントと言える。その他、ロングセラー製品においては製造工程を短縮しコストを抑えるためのパーツの省略が多くみられる。


★イチコー製品はロングセラーが多く、今回ご紹介する1978年版カタログでは1964年のビュイック・ポリスカーがまだカタログ落ちしていないほか、初代プレジデントのパトカーといった1960年代の国産車もまだカタログに載っている。
1970年代車となると1978年版カタログながら、8年落ちの1970年型初代コルト ギャランセダンや同じ1970年式の初代チェリーなどもまだカタログ落ちしていない。その他、1971年の230グロリアHTのノーマルおよび警視庁パトカー、1972年秋デビューのケンメリHTやケンメリワゴンといったイチコーの1970年代を代表する製品が掲載されている。このあたりの製品は1980年代前半までは首都圏でも玩具店に市場在庫があり、230グロリアHTやケンメリワゴンあたりはあまりの大きさに保存が大変だと少々迷いながらも、やがては懐かしいモデルになるだろうという思いから私は1980年代前半に玩具店で定価で購入した。このあたりもさすがに市場から消えて30年が経過してそこそこ貴重にはなってきたようだ。
今回のカタログには1970年代から1980年代前半あたりに子供時代を過ごした世代の人には懐かしい製品が掲載されていると思います。今回もカタログの全てを掲載することは困難なため個人的な視点から抜粋して掲載いたします。




●1978年 イチコー カタログ (A4判・20頁)
各製品に品番・品名・大きさ・値段・仕入れ時のカートン入数とモノによっては製品内容を説明する「仕様」が掲載されており資料価値は高い。1960年代のカタログに見られた実車写真はなくなり全て製品写真に統一されている。また、自動車中心ながらこの時代には鉄道物が増え飛行機も掲載されている。表紙にはこの時期のイチコーの代表製品全長61cmのメルセデスベンツ300SE2ドアHTの正面に加えて全長45cmサイズの初代フェアレディZ、ケンメリHT、230グロリアHT警視庁パトカー、全長51cmの東名急行バス、そして全長44cmの国電シリーズ(小)が写されている。カタログの発行時期は記載されていませんが、1978年(昭和53年)に入る前の1977年(昭和52年)の秋~年末だったのかもしれません。
表紙



【中頁から】
品番3 「1971年 マツダサバンナクーペ」全長22cm・標準売価430円
品番5-1 「1971年 日産チェリーX-1クーペ」全長22cm・標準売価600円
品番5-2 「1971年 日産チェリーX-1クーペ・レーシング」全長22cm・標準売価600円
品番7 「1970年 トヨタスプリンタークーペ」全長25cm・標準売価700円
(1)サバンナ他



品番9-1 「1970年 日産フェアレディZ(小)」全長29cm・標準売価850円
品番9-2 「1970年 日産フェアレディZ警視庁パトカー(小)」全長29cm・標準売価850円
品番9-3 「1970年 日産フェアレディZレーシング(小)」全長29cm・標準売価850円
品番91 「1972年ホンダ・シビック」全長29cm・標準売価1200円
品番92 「1972年ホンダ・シビック警視庁パトカー」全長29cm・標準売価1200円
(2)Z+シビック



品番10 「1973年 日産バイオレットHT」全長26cm・標準売価850円
品番11 「1970年メルセデスベンツ300SE2ドアHTレザートップ」全長32cm・標準売価950円
品番13 「1972年トヨペットコロナ・マークⅡ HT」全長32cm・標準売価1000円
品番14 「1970年 三菱コルト・ギャラン」全長35cm・標準売価1100円
(4)ギャラン他4台アップ



品番15 「1964年 ビュイック・ワイルドキャット・ポリスカー」全長38cm・標準売価1200円
品番16 「1970年 日産チェリー2ドア」ドア開閉アクション付・全長29cm・標準売価1200円
(5)ビュイック・チェリーアップ



品番17-1 「1970年 フォードカプリ」全長39cm・標準売価1500円
品番17-2 「1970年 フォードカプリ・ラリーカー」全長39cm・標準売価1500円
品番17-3 「1970年 フォードカプリ・ポリスカー」全長39cm・標準売価1500円
(6)カプリ



品番18 「1972年 日産スカイラインHT 2000GT(ケンメリ)」全長40cm・標準売価1600円
品番81 「1972年 日産スカイラインワゴン(ケンメリ)」リアゲート開閉アクション付・全長45cm・標準売価2500円
(7)ケンメリ



品番23-1 「1970年 日産フェアレディZ(大)」全長45cm・標準売価2000円
品番23-2 「1970年 日産フェアレディZレーシング(大)」全長45cm・標準売価2000円
品番22 「1965年 日産プレジデント警視庁パトカー」全長48cm・標準売価2000円
品番24 「1970年 メルセデスベンツ300SE2ドアHT」全長61cm・標準売価3600円
(9)プレジデント大Zアップ



品番19 「1971年 日産グロリア2ドアHTレザートップ(230)」全長42cm・標準売価1800円
品番21 「1971年 日産グロリア2ドアHT警視庁パトカー(230)」全長42cm・標準売価2000円
(10)230グロリアアップ



品番26 「超特急ひかり」全長45cm・標準売価850円・・・・・1960年代から連綿と売られた製品
品番27 「東武特急けごん」全長45cm・標準売価850円
品番28 「小田急ロマンスカー3100」全長45cm・標準売価850円
品番25-1~9 「電車シリーズ小サイズ9種類」(常磐・横須賀・湘南・総武・山手・中央・京浜東北等)全長44cm・各650円
(11)電車1ロマンスカー他



品番29-1~9 「電車シリーズ大サイズ9種類」(常磐・横須賀・湘南・総武・山手・中央・京浜東北等)全長59cm・各1200円・・・・・ルーフのベンチレーターが上掲の品番25の44cmサイズでは3つだったのに対してこちらは4つ。
品番30 「電気機関車EH1031」全長57cm・標準売価1300円
品番26-L 「特大ひかり」全長80cm・標準売価2900円・・・・・1960年代から連綿と売られた製品
(12)電車2特大ひかり他



品番31 「日本高速バス」全長30cm・標準売価600円
品番32 「フォルクスワーゲン・タイプⅡ 幼稚園バス」全長27cm・標準売価700円
品番33-1 「都営ワンマンバス(美濃部カラー)」全長40cm・標準売価900円
品番33-2 「西鉄観光バス」全長40cm・標準売価900円・・・・・このような地方事業者のバスはカタログには載っていても地元地域での販売が大半だったようだ(以下同様)。
(13)VWバス他



品番34-1 「日本高速バス」全長47cm・標準売価1200円
品番34-2 「名鉄バス」全長47cm・標準売価1200円
品番34-3 「三重交通バス」全長47cm・標準売価1200円
品番34-4 「北海道中央バス」全長47cm・標準売価1200円
(14)三重バス他4種



品番33-3 「サファリバス」全長40cm・標準売価900円・・・・・ちょうど各地にサファリパークが開園し始めた時代を表わしています。
品番33-4 「国鉄バス」全長40cm・標準売価900円
品番35 「東名急行バス」全長51cm・標準売価1700円
品番36 「日本高速バス」全長57cm・標準売価2000円
品番37 「特大 日本高速バス」全長70cm・標準売価2500円・・・・・1960年代半ばの金型が使用されています。
(15)サファリバス他



品番44 「四発プロペラ日本航空DC-7」全長40cm/翼長42cm・標準売価1000円
(16)日航4発



品番45 「日本航空ジャンボ ボーイング747」全長40cm/翼長36cm・標準売価950円
(17)日航ジャンボ



品番38 「ハンドル付 日本高速バス」全長70cm・標準売価3500円
(18)70cmバス



品番39 「ハンドル付 東名急行バス」全長51cm・標準売価2200円
(19)50cmハンドルバス



・品番42 「大回転ポルシェ」全長55cm・標準売価3500円・・・・・アバウトな造形ですが917がモチーフ?仕様欄に「後輪を使って360°クイックターン」と記載。果たしてどういうギミックだったのでしょうか。この製品はブリキでなくポリ系素材のように思われます。
・品番24-H 「ハンドル付 1970年メルセデスベンツ300SE2ドアHT」全長61cm・標準売価4000円・・・・・品番24を元にハンドル操作で前輪が左右に切れクラクション付とした当時の最高価格商品。
(20)917+ベンツ



●裏表紙・・・・・ケンメリHTの製品群と東京都江戸川区平井4-18-20の株式会社 一宏の記載。同じ江戸川区平井ながら本シリーズ第7回記事の1960年代の住所とは丁目・番地が変わっている。
(21)裏表紙






★オマケ(その1): イチコー 1/10スケール 1965年 ニッサン プレジデント警視庁パトカー
全長48cm。品番22として今回の1978年版イチコーカタログに載っている、当時デビューから既に13年が経過した初代プレジデント。但し初期製品はホイルキャップが実車を模したプリントであったのがメッキに変更され、ボンネットにフェンダーミラーとサイレンが付いていたのもこの末期製品では省略されている。このプレジデントはノーマルが先にカタログ落ちし、パトカーだけが連綿と販売された。初代プレジデントについては、自動車カタログ棚シリーズ第71回記事をご参照ください。
プレジデント(1)

プレジデント(2)

プレジデント(3)



★オマケ(その2): イチコー 1/14スケール 1964年 ビュイック・ワイルドキャット・ポリスカー
全長38cm。品番15として今回の1978年版イチコーカタログに載っている、当時既に14年落ちのビュイック。このビュイックもノーマルは早々にカタログ落ちし、ポリスカーのみが連綿と造られた。ノーマルの絶版後にパトカーのみカタログに残すというのはダイヤペットなどのミニカーでもよく見られたが、子供に売れる商品を後に残したということなのだろう。
ビュイック(1)

ビュイック(2)

ビュイック(3)



★オマケ(その3): イチコー 1/14スケール 1970年 ニッサン フェアレディZ警視庁パトロールカー
全長29cm。品番9-2として今回のカタログに掲載されているモデル。
フェアレディZ(1)

フェアレディZ(2)

フェアレディZ(3)


こちらは1980年代以降に販売された製品(1990年代まで販売?)。本体はヘッドライトレンズの色が青緑から濃紺に変わったのみだが、箱は全く変わり、長年親しまれたイチコーの「pu」のロゴマークに替わり「ICHIKO」の文字を青と赤で挟んだ四角いロゴマークとなった。イチコーの初代フェアレディZはこのサイズと45cmの大サイズが造られたが、大サイズの方は70年代末までで市場から消えたようだ。初代Zについては自動車カタログ棚シリーズ第30回記事 をご参照ください。
フェアレディZ(4)


1970年代の製品(左)と1980年代の製品(右)。ヘッドライトレンズの色が異なる。
フェアレディZ(5)