★1959年 ダイハツ ミゼットMP 丸ハンドルのミゼット ~ 自動車カタログ棚から 171 | ポルシェ356Aカレラ

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★1957年(昭和32年)8月発表、同年12月に18万4000円という2輪車並みの低価格で発売されたダイハツ ミゼットは、従来自転車やオートバイを配達に使っていた零細業者を中心に爆発的にヒットした(2012年11月14日の本シリーズ85回目参照)。
当初のミゼットはオートバイと同じタイプのバーハンドル車だったが、1959年(昭和34年)5月に丸ハンドルの軽三輪マツダK360が発売されて売り上げを伸ばし、続いて同じく丸ハンドルの軽三輪三菱3輪ペットレオも発売されるという状況の中で軽三輪ブーム火付け役のミゼットもバーハンドルから丸ハンドルのMP型に移行した(但し、バーハンドルも暫く併売)。

★丸ハンドルのダイハツ ミゼットMPは当初、アメリカ輸出向け専用として1959年(昭和34年)4月にデビューした。驚天動地の小ささを武器にアメリカでは主に工場内での部品などの小口運搬用に使用された。ボーイング、ロッキードなどの航空機工場では巨人機の足元をトライモービルと言われたミゼットMP型があたかもミズスマシのように泳ぎ回っていたという。国内向けにはアメリカ輸出開始半年後の1959年10月にMP2型としてデビューした。MP2型ミゼットは、それまでのバーハンドル・ミゼットに比べて全長で145mm長い2685mm、全幅で96mm広い1296mmに拡大され、一つ目だったヘッドライトは2つ目となり、エンジンを跨ぐ1人乗りだったシートがまともな2人乗りとなり、雨風をしのぐ普通のドアも付いて居住性は飛躍的に向上した。バーハンドル ミゼットと姿形は全く異なるもののメカニカルな変更は殆どなく、エンジンもZA型249cc10psがそのまま搭載された。しかし、バーハンドル ミゼットに比べてMP2型では80kgも増加した車重を10psで支えることは苦しく、MP2型の発売から僅か2ヵ月後の1959年12月にはボアを10㎜広げ305cc12psのZD型エンジンに換装したMP3型に移行した。
丸ハンドル ミゼットMPの主な変遷は以下の通り。外観的にはリアウインドが2分割なのはMP3型初期までの僅か数ヶ月のみで非常に稀少。現存車両は圧倒的にMP5が多い。ミゼットは軽三輪の代名詞的なクルマでもあり、映画等で昭和30年代を表現するための小道具として頻繁に使用されている。


【丸ハンドル ミゼットMPの主な変遷】

(1) 1959年(昭和34年)4月・・・アメリカ輸出向けMP型デビュー
(2) 1959年(昭和34年)10月・・・国内向け丸ハンドル ミゼットMP2型デビュー
(3) 1959年(昭和34年)12月・・・ZD型249cc12psエンジンに換装したMP3型デビュー
(4) 1960年(昭和35年)5月・・・全長を200mm延長し2885mmとし、荷台を広くしたMP4型デビュー
(5) 1961年(昭和36年)8月・・・ドアに三角窓とサイドモールを付けたMP4後期型デビュー
(6) 1962年(昭和37年)9月・・・全長を更に85mm延長し2970mm、キャンバストップを全鋼製キャビンとし先端の口ばしの形状を丸く短くしたMP5型デビュー
(7) 1963年(昭和38年)4月・・・ガソリンとオイルを別々に入れ自動的に混合するオイルマチック採用
(8) 1969年(昭和44年)8月・・・フロントウインカー大型化、サイドマーカー追加、ヘッドレストとシートベルトを標準としたMP5後期型デビュー
(9) 1971年(昭和46年)12月・・・生産終了(販売は1972年1月まで)


【主要スペック】1959年ダイハツ ミゼットMP2型 Daihatsu Midget MP2
全長2685㎜・全幅1296㎜・全高1510㎜・ホイールベース1740㎜・車重385kg・ZA型強制空冷単気筒2サイクル249cc・最高出力12ps/4500rpm・最大トルク2.2kgm/2500rpm・乗車定員2名・最大積載量350kg・荷台寸法:長さ960㎜幅1100㎜・最高速60km/h・販売価格22万8000円


●1959年4月発行 ダイハツ・トライモービル 本カタログ(A4判・英文8頁)
アメリカ輸出向け左ハンドルMP型
$ポルシェ356Aカレラ-英文表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-英文1中
$ポルシェ356Aカレラ-英文2中
$ポルシェ356Aカレラ-英文3中


●1959年10月発行 ダイハツ ミゼットMP2型 本カタログ(縦10×横21cm・12頁)
$ポルシェ356Aカレラ-MP2表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-MP2中(1)
「アベックでミニカー・ドライブ!」のコピー。まだ自動車が庶民には夢の夢だった時代なので、ミゼットをデートカーにというのも当時としては自然な発想だったのかもしれない。
$ポルシェ356Aカレラ-MP2中(2)アベックで
アベックでピクニック♪
$ポルシェ356Aカレラ-MP2中(3)ピクニックアベック
バーハンドル時代からのイメージキャラクター大村昆ちゃんも登場
$ポルシェ356Aカレラ-MP2中(4)昆ちゃん
$ポルシェ356Aカレラ-MP2中(5)
スペック掲載箇所
$ポルシェ356Aカレラ-MP2中(6)スペック
図面
$ポルシェ356Aカレラ-MP2中(7)図面


●1960年4月発行 ダイハツ ミゼットMP3後期型(?) 本カタログ(縦10×横21cm・12頁)
全長はMP2と同じ2685mmのまま12psZD型エンジンに換装されリアウインドは1枚窓となった。
$ポルシェ356Aカレラ-354表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-354中(1)
「アベックでミニカー・ドライブも楽しめます」とやはりデートカーとして使えることを強調
$ポルシェ356Aカレラ-354中(2)アベックでデート


●1960年6月発行 ダイハツ ミゼットMP4型 本カタログ(縦10×横21cm・12頁)
全長が200mm延長され2885㎜となり荷箱が拡大された
$ポルシェ356Aカレラ-356表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-356中(1)
$ポルシェ356Aカレラ-356中(2)


●1961年8月発行 ダイハツ ミゼットMP4後期型 本カタログ(縦14.5×横30cm・12頁)
三角窓とサイドモールが付き、鋼製のパネルバン(MP4V型)を追加。表紙は当時最新のタイプライター。
$ポルシェ356Aカレラ-タイプ表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-タイプ1中
$ポルシェ356Aカレラ-タイプ2中
シャシー&エンジン
$ポルシェ356Aカレラ-タイプ3中シャシー&エンジン
パネルバン
$ポルシェ356Aカレラ-タイプ4中パネルバン


●1963年2月発行 ダイハツ ミゼットMP5型 本カタログ(A4判・8頁+)
キャンバストップを廃止し全鋼鉄製キャビンとなった。表紙は当時最新の電話機。
$ポルシェ356Aカレラ-電話表紙
中頁から
ドアノブの上にあったサイドモールがドアノブと一直線に並んだ。
$ポルシェ356Aカレラ-電話1中
後部荷箱の床面もスチール製に変更
$ポルシェ356Aカレラ-電話2中
パネルバン
$ポルシェ356Aカレラ-電話3中


●1964年11月発行 ダイハツ ミゼットMP5型 オイルマチック カタログ(A4判・2つ折)
$ポルシェ356Aカレラ-オイル表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-オイル中頁


●参考文献(その1): カーグラフィック1972年4月号掲載「ダイハツ ミゼットの一生」 (記事9頁)
ミゼット生産終了直後にカーグラに掲載された秀逸なミゼット評論
$ポルシェ356Aカレラ-カーグラフィック

●参考文献(その2): 1995年発行 ミゼット物語 
36頁、木村信之著。18年前の出版だが貴重な現存車両の写真と共に型式による差異を解説したミゼットファン必携の1冊。
ポルシェ356Aカレラ-ミゼット物語



★オマケ(その1): 2007年東宝映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」から
鈴木オートのミゼットMPが大活躍。ミゼットMPが準主役を務めた映画としては1990年公開の桑田佳祐監督「稲村ジェーン」(1990年東宝)などもあった。



★オマケ(その2): 増田屋齋藤貿易 1/13スケール ダイハツ ミゼットMP
当時定価:都内200円・地方220円。増田屋製品番号3104番。リアウインドが2分割のMP2~MP3初期型をモデル化している。後期製品では全鋼製キャビンとなった実車のMP5のようにルーフがボディ同色となった。
$ポルシェ356Aカレラ-増田屋(1)
$ポルシェ356Aカレラ-増田屋(2)
$ポルシェ356Aカレラ-増田屋(3)


★オマケ(その3): 光球商会 1/16スケール ダイハツ ミゼットMP
当時定価:都内110円・地方120円。全長17cm。これもリアウインドが2分割のMP2~MP3初期型をモデル化。ノーマルのカラーは赤・青・薄草の3色あり、ビニール製の幌には昆ちゃんのイラストの有無のバリエーションあり。
$ポルシェ356Aカレラ-光球(1)
$ポルシェ356Aカレラ-光球(2)
$ポルシェ356Aカレラ-光球(3)
同じ光球紹介のMP郵便車仕様。リアルーフから小銭を入れ後部ハッチから取り出す形の貯金箱となっている。
$ポルシェ356Aカレラ-光球(4)郵便1
$ポルシェ356Aカレラ-光球(4)郵便2貯金箱


★オマケ(その4): 野村トーイ 1/17スケール ダイハツ ミゼットMP
当時定価:不明。全長16.5cm。オマケ3の光球商会製とほぼ同サイズながら、こちらの方が格段にシャープな造形で室内のプリントもなかなか正確にされている傑作モデル。
$ポルシェ356Aカレラ-野村(1)
$ポルシェ356Aカレラ-野村(2)
室内のメーター等もかなり正確にプリントで再現
$ポルシェ356Aカレラ-野村(3)室内ダッシュパネル


★オマケ(その5): 緑商会 1/22スケール程度 ダイハツ ミゼットMP4 プラモデル
当時定価:不明。日本のプラモデル黎明期のキットの一つ。ビニール製の幌が泣かせる。
$ポルシェ356Aカレラ-緑商会プラモ


★オマケ(その6): 大滝製作所 1/17スケール程度 ダイハツ ミゼットMP 半プラキット
当時定価:不明。プラスチック性のフロントノーズ以外は木製という木製ソリッドキットからプラモデルへの移行期ならではの珍キット。これもビニール製の幌入り。リアウインドが2分割のMP2~MP3初期型をモデル化。
$ポルシェ356Aカレラ-大滝キット


★オマケ(その7): メーカー不詳 1/40スケール程度 1961年ダイハツ ミゼットMP プラスチックトーイ
製造/販売会社を示すロゴ等が箱になくメーカー不詳。赤青白緑のミゼットが3台ずつ計12台入っており、恐らく当時、駄菓子屋さんの店頭で1台10円、20円といった金額で子供たちにバラ売りされたであろう駄玩具。
$ポルシェ356Aカレラ-プラ製駄玩具





実は諸都合によりアメブロを退会しようと思っていたのですが、自動車カタログ棚シリーズの記事だけでも1記事作成に最低3時間×170記事=510時間分の労力のかかった過去記事を全て消すことには少々戸惑いもあり、当面、自動車カタログ棚シリーズ200回目位までは頑張りたいと思います。なお、基本的にペタはやめましたので何卒御了承ください。また、以前のようにアメブロに頻繁にアクセスすることがなくなりましたため、コメントのお返しは時間がかかる見込みです。
9月に入りましたのでミゼットとは無関係ですが、私の好きな1曲を最後に。。


★セプテンバー  TULIP 1974
作詞・作曲: 財津和夫
チューリップのメンバーが乗る初代ハイエースや70年代前半の博多天神の懐かしい路面電車やクルマも登場します。この曲あたりは、かなりビートルズの影響を感じます。


【歌 詞】
夏が通り過ぎ 風が流れて
僕の心の扉あけて 君がやってきた
一人ぼっちが とても長すぎて
幸せ忘れてた二人 愛をあたためたよ
September 9月になれば
September 君を思いだす
Uh Uh Uh…

君を抱きしめて ねむった夜は
涙流した君のほほに そっと口づけした
September 9月になれば
September 君を思いだす
Uh Uh Uh…

街を歩けば 今日もふりかえる
人ごみの中にいつか君を さがしてる僕なのさ
DADA DADADADA
DADADADADADADADA