★1966年 マツダ ボンゴ 愛嬌満点・大ヒットした初代ボンゴ ~ 自動車カタログ棚から 170 | ポルシェ356Aカレラ

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おめえの乗ってるボンゴ型のクルマ、何て言うだべ?

あー、おらのボンゴ型はバネットって言うだべさ

ってな調子で、かつてはマツダボンゴがワンボックスタイプの代名詞のように使われた時代があった。

警察関係の資料でも、ワンボックスタイプの車両について「ボンゴ型」と記載されることがあったようだ。裏を返せばそれ程ボンゴはワンボックス車として売れたクルマだった。

初代マツダボンゴは、1966年(昭和41年)5月に市販が開始された。ビートルズ来日の前月あるいは初代ウルトラマン放映開始の前々月のことである。
ボンゴは初代ファミリアのオールアルミ製「白いエンジン」(水冷4気筒782cc)をリアに搭載したリアエンジン・リアドライブの小型商用車として登場した。トラック・ワンボックスバン・後部サイドウインドが塞がれたルートバン・ワンボックス乗用ワゴン「コーチ」の4タイプが同時に市販開始され、コーチはバンの荷台を省き3列シートとして8人乗りを実現した乗用登録ワゴン車であった。

★ボンゴコーチはサイズの小さなマイクロバスといった性格のクルマでありカタログではゴルフ場や旅館の送迎用に推奨され現在のミニバンの先祖的な使われ方をしたクルマであった。このクラスの国産ワンボックス車としては、ボンゴ発売より6年先の1960年(昭和35年)8月に市販されて僅か2年程で消えた「日野コンマース」の例もあるが、コンマースはFFワンボックスであるのに対してボンゴはRRであり設計は大きく異なる。また1960年代の発売時期の6年の差は現在では考えられない程に大きな差であり、コンマース発売時点の自動車は非常に高価なものだったがボンゴ登場の1966年にはカローラやサニーのデビューによるマイカーブームも到来し自動車が一般庶民にも手が届くモノとなりつつあった。そんな時代の中で初代ボンゴは売れ行きを伸ばした。ボンゴは小型クラスのワンボックスバンとして初のヒット車となり、ボンゴ登場以降、「ボンゴ」がワンボックスカーの代名詞ともなったのである。

★初代ボンゴの特徴は愛くるしいルックス。国産商用車史上、最も魅力的で美しいクルマの1台だったとも思える。機構的にはRRによって実現されたボディ中央部の超低床。床面地上高はトラックが46cm、バン45cmと大人の膝くらいの高さに床があり楽に荷物を積むことが出来た。この点がデビュー当初からカタログでも強調されている。ファミリアの水冷直列4気筒 OHV・排気量782ccのガソリンエンジンはリアに縦置きで搭載されたが、商用ユーズに伴う高負荷を考慮して低速型にチューニングされ、最高出力はファミリアの42psより5psダウンの37ps、しかし最大トルクはファミリアの6.0kgmが6.3kgmにアップされていた。最大トルクの発生回転数もファミリアより低くされ扱いやすさを重視したものとなっていた。
1968年(昭和43年)4月には先にファミリアに搭載された1000cc48psエンジンに換装して、車名を「ボンゴ1000」とした後、1975年(昭和50年)まで丸10年に亘り生産された。その後、2年のブランクを経て1977年(昭和52年)9月にコンベンショナルなFR駆動の2代目ボンゴが登場した。ボンゴは現在でも4代目が製造販売されているが、残念ながらマツダはそう遠くない将来、自社製商用車の生産を全面的に中止するとアナウンスしている。
なお、1962年のマツダK360からマツダ車のノックダウン生産をしていた韓国 起亜自動車では1980年(昭和55年)より2代目以降のボンゴを生産したが初代ボンゴは生産していない。


●車名の由来: ボンゴ=Bongoは、哺乳綱ウシ目(偶蹄目)ウシ科ボンゴ属に分類される体調2m強の動物の名称から。アフリカの密林に生息する世界四大珍獣の一つ。ボンゴの顔はエジプトの仮面を被っているように複雑で顔下面と鼻は黒く、頭~眼下までが焦げ茶色、その中間が薄茶色で毛色は赤栗色で胴体に白い横線が10~15本、胸に三日月形の白い斑あり。 背中には毛が立っており雌雄ともに角あり。 耳は横に広がって大きく物音に敏感で危機を感じると素早く逃げ去る習性あり。雌は20頭程で集団生活をし、年老いた雄は単独で生活する。食べ物は木の葉や芽、木の実、樹皮。
車名の由来についてカタログには次のように記載されている。
BONGOはアフリカに棲むかもしかの一種で珍獣のひとつ。ツノが太くスタイルは優雅。身のこなしがしなやかで走りっぷりがスマート。小回り性能や走行性能がよく似ていることからボンゴとネーミングしました


【主要スペック】 1966年 マツダ ボンゴ トラック デラックス (FSA-A型)
全長3770㎜・全幅1500㎜・全高1700㎜・ホイールベース2000mm・車重775kg・RR・SA型水冷4サイクル直列4気筒OHV782cc・最高出力37ps/5000rpm・最大トルク6.3kgm/3000rpm・四輪独立懸架・変速機4速MT・乗車定員2名・最大積載量500㎏・燃費20km/L・最高速100km・販売価格42万5000円


●1966年 マツダ ボンゴ 三菱電機販売店納入車 専用リーフレット (A4判・表裏1枚)
東洋工業と三菱電機のダブルネーム。街の電気屋さんにボンゴを買ってもらうためのもの。似たような手法のものとしてはアサヒビールの酒屋さんへの斡旋車両のカタログが出ている。
$ポルシェ356Aカレラ-三菱1表
裏面にはプロシード、ファミリアトラック、B360トラックを掲載
$ポルシェ356Aカレラ-三菱2裏


●1966年5月 マツダ ボンゴ トラック 専用カタログ  (縦21×横27cm・12頁)
$ポルシェ356Aカレラ-66トラック表紙1
表紙・裏表紙で1枚の写真
$ポルシェ356Aカレラ-66トラック表紙2
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-66トラック1中
$ポルシェ356Aカレラ-66トラック2中
37psエンジン
$ポルシェ356Aカレラ-66トラック3中白いエンジン
スペック掲載箇所
$ポルシェ356Aカレラ-66トラック4中スペック


●1966年5月 マツダ ボンゴ バン/コーチ 専用カタログ  (縦27×横21cm・18頁)
トラックのカタログとはサイズは同一だがトラックは横長でこちらは縦長
$ポルシェ356Aカレラ-66バン表紙1
トラック同様、表紙・裏表紙で1枚の写真
$ポルシェ356Aカレラ-66バン表紙2
中頁から
バン
$ポルシェ356Aカレラ-66バン1中バン
ルートバン
$ポルシェ356Aカレラ-66バン2中ルートバン
8人乗りコーチ
$ポルシェ356Aカレラ-66バン3中コーチ


●1967年7月 マツダ・ボンゴ 簡易カタログ (縦18×横25cm・6つ折)
表紙左上に車名の由来である動物ボンゴを図案化したマークが入った。
$ポルシェ356Aカレラ-67簡易表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-67簡易中頁


●1967年12月 マツダ ボンゴ トラック 専用カタログ  (縦30×横22.5cm・12頁)
$ポルシェ356Aカレラ-67トラック表紙
中頁から
小鳥屋さんのボンゴトラック
$ポルシェ356Aカレラ-67トラック1中小鳥屋さん
運転席の景色
$ポルシェ356Aカレラ-67トラック2中運転席
特別注文車両のボンゴ・ビーチカー
$ポルシェ356Aカレラ-67トラック3中ビーチカー特注


●1967年12月 マツダ ボンゴ バン/コーチ 専用カタログ  (縦30×横22.5cm・18頁)
$ポルシェ356Aカレラ-67バン表紙
中頁から
バン
$ポルシェ356Aカレラ-67バン1中
マネキン美女にニヤけるオッサンの図
$ポルシェ356Aカレラ-67バン2中マネキンニヤニヤ
キャンピングカーとしての使用
$ポルシェ356Aカレラ-67バン3中キャンピングカー
8人乗りコーチ
$ポルシェ356Aカレラ-67バン4中コーチ送迎車


●1969年12月 マツダ ボンゴ 本カタログ  (縦30×横22.5cm・20頁)
1000ccエンジンに換装。このカタログからはトラックとバン/コーチが併載となった。
$ポルシェ356Aカレラ-69表紙
中頁から
フロント横にサイドマーカーが付いた。
$ポルシェ356Aカレラ-69中(1)
バン
$ポルシェ356Aカレラ-69中(2)バン
ルートバン
$ポルシェ356Aカレラ-69中(3)ルートバン
8人乗りコーチ
$ポルシェ356Aカレラ-69中(4)コーチ


●1971年3月 マツダ ボンゴ 本カタログ  (縦30×横22.5cm・12頁)
70年代風にケバいミニスカートの42年前のお姉さん、よく見るとマスコットキャラクター・ボンゴのTシャツを着ている。
$ポルシェ356Aカレラ-71表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-71中(1)
$ポルシェ356Aカレラ-71中(2)


●1972年? マツダ ボンゴ 本カタログ  (縦30×横25cm・12頁)
雑誌風の表紙&構成の風変りなカタログ。発行年月の印字がないが、裏面のマツダのロゴマークが新しい横長の「MAZDA」に替わっているので72年以降と思われる。
$ポルシェ356Aカレラ-72表紙
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-72中(1)
$ポルシェ356Aカレラ-72中(2)
裏面:下部のロゴが現在でも馴染みのあるMAZDA
$ポルシェ356Aカレラ-72中(3)裏ロゴ変更


●1976年1月 マツダ ボンゴ カタログ  (縦30×横25cm・3つ折6面)
末期のカタログ。折カタログだが、末期はこのカタログ以外は発行されていないのでは。ボディカラーはグリーンとクリームの2色のみ。トラックは既にラインナップにはない。
$ポルシェ356Aカレラ-76年1月ボンゴ29.5×25
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-76年1月ボンゴ中頁



★オマケ(その1): 野村トーイ 1/12スケール 1966年 マツダ ボンゴ トラック
当時定価:都内580円・全国640円。全長32cm。野村トーイ品番367。出来は良い。他に品番475で郵便車仕様も発売されていた。1979年(昭和54年)、都内某所で発掘。
$ポルシェ356Aカレラ-野村(1)
$ポルシェ356Aカレラ-野村(2)
$ポルシェ356Aカレラ-野村(3)


★オマケ(その2): 三橋 1/16スケール 1966年 マツダ ボンゴ トラック
当時定価: 不明(調査中)。全長23cm。ボンゴ特有の顔の表情が再現されておらず、マツダのマークやBongoのプリントがなければ一見ボンゴとは判らないような甘い仕上がり。でも今となっては初代ボンゴを製品化してくれたこと自体に価値があるように思える。1980年(昭和55年)夏に山梨県塩山市内(現甲州市)の玩具店で発掘。
$ポルシェ356Aカレラ-三橋(1)
$ポルシェ356Aカレラ-三橋(2)
$ポルシェ356Aカレラ-三橋(3)


★オマケ(その3): 青島文化教材社 1/150スケール 1966年 マツダ ボンゴ コーチ軌道モーターカー
税込定価5040円。最近発売されたNゲージサイズのボンゴ軌道モーターカー。カテゴリー的には鉄道模型(これはお借りした画像です)。
$ポルシェ356Aカレラ-青島文化教材モーターカー
$ポルシェ356Aカレラ-青島モーターカー(2)


★オマケ(その4): 車名の由来となった世界4大珍獣「ボンゴ」の画像
ツートンカラーのボンゴとどこか似ているかも。
$ポルシェ356Aカレラ-珍獣ボンゴ(1)
$ポルシェ356Aカレラ-珍獣ボンゴ(2)