★1970年三菱コルトギャラン イメージを一新した三菱セダン ~ 自動車カタログ棚から 154 | ポルシェ356Aカレラ

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★1960年(昭和35年)4月発売の三菱500から始まった三菱の乗用車はその後、コルト600、800、1000、1500、そしてフラッグシップのデボネアと1960年代に順次バリエーションを拡大していった。しかし、三菱車は小型トラックのキャンター、中型トラックのジュピター等も含めて派手なデザインよりも手堅いエンジニアリング優先の製品ばかりであったため、高度な技術を持ちながらも市販された製品は地味で悪く言えば野暮ったいイメージが払拭できなかった。エンジニアリングそのものも信頼性と実用性は高かったとはいえ、けっして個性的ではなく型通りのコンベンショナルで保守的なものであった。

★そのような三菱車のマイナスイメージを覆し一新したクルマが1969年(昭和44年)10月の第16回東京モーターショーに展示された後、同年1969年12月からコルト・ギャランの名で市販が開始された。
ギャランは来たるべく輝かしい時代、1970年代を予感させるモダンなウェッジシェイプをモチーフとしたボディに三菱初のSOHCエンジンを搭載して登場した。ボディデザインはイタル・デザインのジョルジェット・ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro;1938年8月7日-)の原案を元に三菱の乗用車開発本部デザイン部長だった三橋慎一氏を中心とした社内チームによって完成されたといわれ、当時としては非常に斬新で時代の最先端をいくものであった。それまでの三菱コルトに比べて長く幅広く全高は低められたボディは当時の日産3代目ブルーバード510とほぼ同じプロポーションであったが、ギャランはウェッジシェイプ(くさび形造型)が強く510ブルーバードより数段新しさを感じさせるものだった。フロント・サスペンションにマクファーソン・ストラットが採用されたのも三菱車では初めてであったが、当時は世界的に小型車の標準となりつつあったので世界標準に追い付いたシャシー設計といえた。三菱初のSOHCエンジンには大別して2種類あり何れも4気筒5ベアリングで1300cc87ps(4G30型)搭載車がAIシリーズ、1500cc95ps(4G31)搭載車がAⅡシリーズの2本立が基本で、最上位車種としてSUツインキャブと10.0の圧縮比により105psにチューンしたスポーツグレードAⅡGS(グランドスポーツ)がラインナップされた。何れも当時の標準を上回る高性能を誇った。デザイン上は印象的な角型ヘッドライトが初期型ギャランの特徴。

★コルト・ギャランは高性能サルーンであると同時に初めてステアリングを握ってもすぐにフルスロットルで走り出せる運転のし易さ、低回転でも強いトルクを発し高速まで気持ちよく吹け上がるレスポンスの良いエンジン、安定した操縦性など同時代の国産他車を確実に上回る性能をもっていたため、その斬新なデザインと相まって大ヒットとなった。1979年頃、私は10年落ちに近い初期型AⅠに乗ったことがあるが、操作系が軽くキビキビと走りとても乗りやすいクルマだったことを思い出す。
当初4ドアのみでデビューしたギャランは1970年(昭和45年)5月に2ドア・ハードトップを追加、1971年(昭和46年)3月のマイナーチェンジで全車丸型4灯ヘッドライトに変更して排気量も1400と1600に100ccアップ、1973年(昭和48年)6月にはホイールベースは同じままボディサイズを拡大したニューギャランにビッグマイナーチェンジ(この時、車名からコルトが外れた)、排ガス対策等の改良を積み重ねた後、1976年(昭和51年)5月にギャラン∑に三菱小型セダンのバトンを渡した。

●ギャラン命名の由来
ギャラン(GALANT)とはフランス語で「勇ましい・・・」「勇気ある・・・」といった意味と「洗練された・・・」「華麗な・・・」という意味とを併せ持っており、華麗なスタイルに凄まじいほどの高性能を秘めたクルマという意味合いで命名。

【1970年コルトギャラン(4ドア)のグレードと価格】
1300cc
1)AⅠスタンダード (ベンチシート・コラムシフト): 52万8000円(主にタクシー用)
2)AⅠデラックス (ベンチシート・コラムシフト): 57万8000円
3)AⅠデラックス (リクライニングシート・コラムシフト): 59万5000円
4)AⅠデラックス (リクライニングシート・フロアシフト): 59万8000円
5)AⅠカスタム (ベンチシート・コラムシフト): 60万6000円
6)AⅠカスタム (リクライニングシート・コラムシフト): 62万3000円
7)AⅠカスタム (リクライニングシート・フロアシフト): 62万6000円
8)AⅠスポーツ (リクライニングシート・フロアシフト): 66万1000円

1500cc
1)AⅡカスタム (ベンチシート・コラムシフト): 63万1000円
2)AⅡカスタム (リクライニングシート・コラムシフト): 64万8000円
3)AⅡカスタム (リクライニングシート・フロアシフト): 65万1000円
4)AⅡカスタムL (リクライニングシート・フロアシフト): 68万1000円
5)AⅡカスタムL (リクライニングシート・フロアBWオートマ): 73万6000円
6)AⅡGS (バケットシート・フロアシフト): 72万1000円

※大きくはAⅠにスタンダード・デラックス・カスタム・スポーツの4グレード、AⅡにはカスタム・カスタムL・GSの3グレードがあり、その価格構成をみるとコラムシフトよりフロアシフト、ベンチシートよりリクライニングシートが高く、オートマは1グレードにしか設定がない上に高性能なAⅡGSより更に高価だったことが判る。


【主要スペック】 1970年 三菱コルト・ギャランAⅡGS
全長4080㎜・全幅1560㎜・全高1370㎜・ホイールベース2420㎜・車重855kg・FR・4G31型4サイクル水冷直列4気筒1499cc・最高出力105ps/6700rpm・最大トルク13.4kgm/4800rpm・変速機4速フロアMT・前ディスクブレーキ・乗車定員5名・最高速175km/h・販売価格72万1000円


●1969年12月 三菱コルト・ギャラン 簡易カタログ (縦29.5cm×横25.5cm・8頁+)
ミニスカートの金髪女性が印象的な表紙は最初のギャランの代表的なビジュアル。
$1959PORSCHE356Aのブログ-簡易表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-簡易1中
$1959PORSCHE356Aのブログ-簡易2中
裏面スペック&ボディカラー
ボディカラーは8色
$1959PORSCHE356Aのブログ-簡易3スペック・カラー


●1969年12月 三菱コルト・ギャラン 本カタログ (縦29.5cm×横25.5cm・32頁)
$1959PORSCHE356Aのブログ-本表紙(1)
後席に座っているのは簡易カタログ表紙の女性
$1959PORSCHE356Aのブログ-本表紙(2)後席簡易女性
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-本1中
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$1959PORSCHE356Aのブログ-本3中
メーターパネルは横型が標準(GSⅡのみ丸型メーター)
$1959PORSCHE356Aのブログ-本4中室内
エンジン
$1959PORSCHE356Aのブログ-本5中エンジン
簡易カタログ表紙写真の別カット
$1959PORSCHE356Aのブログ-本6中簡易別カット
1300cc・AⅠグレード
$1959PORSCHE356Aのブログ-本7中AⅠグレード
1500cc・AⅡグレード
$1959PORSCHE356Aのブログ-本8中AⅡグレード
最上位グレードGSⅡ
砲弾型フェンダーミラー、丸型メーター等を装備
$1959PORSCHE356Aのブログ-本9中GSグレード
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●1970年3月 三菱広報誌すりいだいや別冊「ギャランのすべて」 (A4判・32頁)
弘田三枝子、生沢徹、滝進太郎、石津謙介、渡辺貞夫、加山雄三等の各氏のギャラン評に加えて自動車史研究の第一人者だった五十嵐平達氏の一文も掲載されたカタログ以上に楽しめる内容の1冊。
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌1中
生沢徹氏
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌2中(生沢徹1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌3中(生沢徹2)
弘田三枝子氏
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌4中(弘田1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌5中(弘田2)
滝進太郎氏と奥様
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌6中(滝氏と奥様)
五十嵐平達氏がギャラン発売に寄せた一文
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌7中(五十嵐平達氏)
ギャランはパワフルでスポーティーであることを強調
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌8中(ラリーシーン)
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌9中(バリエーション)
裏表紙
$1959PORSCHE356Aのブログ-広報誌10中(裏表紙)


●1969年12月 三菱ディーラー店頭用 コルト・ギャラン ポスター(B1サイズ;縦103×横72cm)
簡易カタログの表紙と同じ写真をアレンジして作られた店頭用ポスター。店頭用ポスターは現在でも作られているが、カタログ同様に新車が出ると処分される運命にある上、実際に使用されたものは日焼け褪色等の傷みが多く良い状態で残っているものは少ない。
$1959PORSCHE356Aのブログ-店頭用ポスター



★オマケ(その1): ダイヤペット196番 1/40スケール 1970年三菱コルト・ギャランAⅡGS
1970年10月、米澤玩具より発売。当時定価600円。ダイキャスト製。リアドア以外全て開閉アクション付。エンジンの造りも丁寧でダイヤペットが国産新車を矢継ぎ早にリリースしてとても元気だった時代の1台。当時物としては一宏(イチコー)の大スケールTIN製のほかプラモデルが一光(イッコー)などから数種類出ていた。最近ではトミカリミテッドヴィンテージから1/64スケールが出ているが、標準サイズのミニカーは現在に至るまでこのダイヤペットのみ。
$1959PORSCHE356Aのブログ-ダイヤペット(1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-ダイヤペット(2)
$1959PORSCHE356Aのブログ-ダイヤペット(3)



★オマケ(その2): ギャランの宣伝に一役買った弘田三枝子の「私のベイビー」1963
ニューポート・ジャズ・フェスティバルにも出演した歌唱力はすごいです。この曲のレコーディング当時、弱冠16歳。




★オマケ(その3): John Lennon 「Be My Baby」 1974
ついでに私の好きなジョン・レノン・バージョン。3分35秒位からのジョンの歌の迫力には鳥肌が立ちます。


Be My Baby  1963 by ELLIE GREENWICH

The night we met I knew I needed you so
And if I had the chance I'd never let you go
So won't you say you love me
I'll make you so proud of me
We'll make 'em turn their heads
Every place we go
So won't you please

(Be my be my baby) Be my little baby
(I want it only say) Say you'll be my darling
(Be my be my baby) Be my baby now
(I want it only say) Ooh, ohh, ohh, oh

I'll make you happy, baby
Just wait and see
For every kiss you give me
I'll give you three
Oh, since the day I saw you
I have been waiting for you
You know I will adore you
Till eternity
So won't you please

(Be my be my baby) Be my little baby
(I want it only say) Say you'll be my darling
(Be my be my baby) Be my baby now
(I want it only say) Ooh, ohh, ohh, ohh, oh

[INSTRUMENTAL]

So come on and please
(Be my be my baby) Be my little baby
(I want it only say) Say you'll be my darling
(Be my be my baby) Be my baby now
(I want it only say) Ooh, ohh, ohh, oh

(Be my be my baby) Be my little baby
(I want it only say) Ooh-oh-oh-oh, ooh-oh-oh-oh
(Be my be my baby) Oh-oh-oh, oohh...
(I want it only say) Oh, oh, oh, oh, oooohh...