★1947年 トヨペットSA型 戦後初のトヨタ小型乗用車 ~ 自動車カタログ棚から 145 | ポルシェ356Aカレラ

ポルシェ356Aカレラ

★20世紀の自動車カタログ、鉄道車輛カタログ、玩具・模型カタログ、ビートルズ、ショパン、ヴィンテージ・ポルシェ、草軽電鉄 etc


★第二次世界大戦中の日本では軍用・公用を除く乗用車の生産が中止されていた。1945年(昭和20年)8月15日の終戦後も進駐軍GHQが日本の乗用車生産を禁止し、生産を許可されたのはトラックとバスに限られていた。終戦から2年近く経った1947年(昭和22年)6月に至り、進駐軍は年間300台に限り乗用車の生産を許可した。
トヨタでは戦前のトヨダAA型の改良型として戦時中に設計されたAC型乗用車(1943年に少量生産)を1947年に50台のみ追加生産したのが戦後初めての乗用車であったが、これには外国貿易代表団向けの公用車としての使用を目的とすることによって生産が許可されたという特殊な事情があった。

★トヨタの当時のトップ豊田喜一郎(1894年6月11日-1952年3月27日)は日本でも乗用車の生産が再開できる時が来ることを予見し、国内市場で販路を見込める小型乗用車の開発を指示した。
喜一郎の指示により、トヨタの小型乗用車は、終戦から僅か2週間後の1945年8月末には開発計画が出され同年11月には開発が着手された。東大教授で内燃機関の専門家として知られ、豊田喜一郎の親友でもあり戦前からトヨタの顧問であった隈部一雄(1897-1971)が常務に就任し、この計画の指揮を執った。小型乗用車の開発作業は異例のハイペースで進み、1947年(昭和22年)1月には試作第1号車を完成し、同年10月より本格的な生産・販売が開始された。
こうして誕生したトヨペットSA型乗用車は、当時の日本車としては極めて先進的な機構を多数導入した意欲作であった。バックボーン式フレーム、四輪独立懸架サスペンション、リモートコントロールの3速コラムシフトといった日本車初の先進技術に加え、ボディスタイルはVWビートルとも近似性のある当時としては非常に斬新なものであった。SAとビートルの近似性については、上述の隈部一雄がVWビートルの設計者フェルディナント・ポルシェ(1875年9月3日-1951年1月30日)と親交があり、渡欧した際にKDF(後のビートル)の実車を見て感銘を受けたためとも言われる。

★先進的な機構を持って登場したSAではあったが、まだオーナードライバーの時代にはほど遠く乗用車の需要の殆どはタクシーとしての使用であったため、2ドアボディであることや四独サスを始めとする先進機構はタクシー業界からは敬遠され、1952年(昭和27年)5月までの5年余りの期間に計215台の生産で終わった。これは月産僅か3台程度の計算となり、当時を知る年代の人であってもSAの実車を見る機会は少なかった。
なお、1952年6月から9月にかけてSAを4ドアとしたSAF型が18台のみ生産された。
SAは現在でもトヨタの販売チャンネルの一つとして名前の残るトヨペット」を車名とした第1号車であり、1947年8月にSAの愛称が一般公募され同年9月に「トヨペット」と決定した。

【主要スペック】 1947年 トヨペットSA型 小型乗用車 
全長3800㎜・全幅1600㎜・全高1530㎜・ホイールベース2400㎜・車重1170kg・FR・S型水冷4気筒SV995cc・最高出力27ps/4000rpm・最大トルク5.9kgm/2400rpm・乗車定員4名・変速機3速MTリモートコントロール式・最高速85km/h・販売価格91万円(現在の貨幣価値では3000万円前後?)

●1951年トヨペットSA型 トヨタ博物館所蔵車 
$1959PORSCHE356Aのブログ-実車


●1948年発行 トヨタ総合カタログ (縦23.5×横17.5cm・日本語6つ折12面)
生産台数も少なかったSAの専用カタログは未発行?総合カタログにはスペックを含めてSAが比較的詳しく紹介されている。
$1959PORSCHE356Aのブログ-日本語表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-日本語1中
$1959PORSCHE356Aのブログ-日本語2中
$1959PORSCHE356Aのブログ-日本語3中
左ハンドル車は造られた記録はないのに絵は左ハンドル
$1959PORSCHE356Aのブログ-日本語4中左ハンドル
スペック掲載頁
$1959PORSCHE356Aのブログ-日本語5中スペック


●1948年発行 トヨタ総合カタログ (縦23.5×横17.5cm・英文6つ折12面)
日本語版とはSAのイラストが異なる以外は言語替え。
$1959PORSCHE356Aのブログ-英語表紙
中頁から
$1959PORSCHE356Aのブログ-英語1中
$1959PORSCHE356Aのブログ-英語2中
$1959PORSCHE356Aのブログ-英語3中
日本語版と同じ左ハンドルの絵
$1959PORSCHE356Aのブログ-英語4中左ハンドル
スペック掲載頁
$1959PORSCHE356Aのブログ-英語5中スペック



★オマケ: リーンレプリカ 1/43スケール 1947年トヨペットSA型
当時定価3000円。1970年代後半の製品。ホワイトメタル製。日本を代表するミニカーコレクターのクラブ「JMAC」の会員だった故・佐久間達次氏が歴史的な日本車を少量生産した貴重なブランド。歴史的なクルマにも係わらずSAのモデルカーは現在に至るまでこれのみというのは寂しい。SAのイメージカラーであるこの水色以外に黄緑とベージュのカラーバリエーションも発売されている。
$1959PORSCHE356Aのブログ-リーン(1)
$1959PORSCHE356Aのブログ-リーン(2)
$1959PORSCHE356Aのブログ-リーン(3)
$1959PORSCHE356Aのブログ-リーン(4)
$1959PORSCHE356Aのブログ-リーン(5)