★1955年 トヨペットクラウンRS 最初のクラウン ~ 自動車カタログ棚から 098 | ポルシェ356Aカレラ

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1955年(昭和30年)1月に発表された初代クラウン(RS型)は、初代トヨエースと共にトヨタの戦後の隆盛を招いた記念碑的なクルマである。真に戦後型の国産乗用車は1955年登場のクラウンRSとダットサン110の2車から始まったと言われる。それまでの国産乗用車の大半がトラックシャシー・ベースだったのに対してクラウンは純然たる乗用車として新たに設計され、前輪サスペンションのコイルスプリングによるダブルウィッシュボーン式独立懸架、ハイポイド・ギヤ、シンクロ付コラムミッション等を採用していた。当時の国産メーカーでは、日産はオースチン、日野はルノー、いすゞはヒルマンをノックダウンして戦中戦後に欧米から大きく立ち遅れた自動車技術を習得していた時代の中で、トヨタは独自開発でクラウンを造った。エンジンは当時の小型車枠一杯の1500ccで、これはクラウン以前の乗用車トヨペット・スーパー(RHK/RHN)から流用したものであった。

★俗に「観音開きのクラウン」と言われる通り、初代クラウンは外観的には観音開きの左右ドアが特徴で、強度保持のためセンターピラーを残しているためピラーレス程の解放感はないものの後席に乗降しやすいことがメリットだった。頻繁に乗降を繰り返すタクシー用途には同時発表のトヨペットマスター以上に利便性が高かったとも言われる。ボディデザイン全体としては同時期のプリンスセダンと共にミニ・アメリカ車的なムードを持っていたが、クラウンと同年発売のダットサン110と同様に日本的な味わいのあるデザインでもあった。生産はプレスによる本格的な量産が行なわれ、クラウンの成功は戦後10年目の日本の産業界全体に自信と光明を与えた。初代クラウンはデビューの年の暮れにデラックスモデル(RSD)を追加した後、幾度かのマイナーチェンジを経て1962年10月に2代目40系にバトンタッチするまで、約8年の長期に亘り生産された。

◎今回は初代クラウンの1958年(昭和33年)までの前期型をご紹介します(後期型は改めてご紹介予定)。なお、クラウンと同時に発表・発売されたタクシー専用車トヨペットマスターについては、このシリーズの35回目の記事をご参照ください。

【主要スペック】 1955年トヨペットクラウン(RS型)
全長4285mm・全幅1680mm・全高1525mm ・ホイールベース2530mm・車重1210㎏・R型 水冷 直列4気筒OHV1453ccエンジン・最高出力48ps/4000rpm・最大トルク10.0kgm/2400rpm・変速機3速コラムMT・乗車定員6名・最高速100km/h・販売価格98万円

●1955年1月発行 トヨペット クラウン 本カタログ (A4判・16頁)
トヨタカタログNo.297
記念碑的なこの最初のクラウンの本カタログにはトヨタ博物館の出した出来の良い(一見本物に見える)復刻版もある。なお、オリジナルにはA4サイズのものと一回り大きなものとサイズ違いが2種類あるが発行時期の前後関係は不明。
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※中頁から
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●1955年1月発行 トヨペット クラウン 簡易カタログ (B5判・2つ折)
トヨタカタログNo.298
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※中面から
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※裏面スペック
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●1955年12月発行 トヨペット クラウン デラックス 本カタログ (縦17×横37cm・16頁)
トヨタカタログNo.339
フロントウインドーを曲面1枚ガラスとし、フロントフードマスコット、リアサイドモール、フォグランプ、バックライト、白タイヤ、青ガラス、ラジオ、ヒーター等を装備したデラックスモデル(RSD型)を追加。当時の日本人にとっての高級車を具現化したクルマ。
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※中頁から
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※スペック掲載頁
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※裏面
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●1956年10月発行 トヨペット クラウン 本カタログ (A4判・16頁)
トヨタカタログNo.386
55psにパワーアップ。このカタログから赤いリボンを巻いた黒い犬がマスコットキャラクターになった(表紙左下)。
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※中頁から
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※裏面
$1959PORSCHE356Aのブログ-56年RS6裏面

●1956年10月発行 トヨペット クラウン デラックス 本カタログ (A4判・16頁)
トヨタカタログNo.393
55psにパワーアップ
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※中頁から
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●1957年10月発行? トヨペット クラウン 本カタログ (A4判・16頁)
トヨタカタログNo.386
1956年10月発行版カタログの改訂版。表紙以外はカタログナンバーまで同一。
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●1957年10月発行? トヨペット クラウン デラックス 本カタログ (A4判・16頁)
トヨタカタログNo.506
1956年10月発行版カタログの改訂版。表紙以外はほぼ同一。
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●1958年4月発行 トヨペット クラウン 本カタログ (縦24×横26cm・12頁)
トヨタカタログNo.508
58psにパワーアップ
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※中頁から
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●1958年4月発行 トヨペット クラウン デラックス 本カタログ (A4判・12頁)
トヨタカタログNo.520
58psにパワーアップ
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※中頁から
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●1955年8月発行? トヨペット クラウン カタログ (縦17×横36cm・英文4つ折)
トヨタカタログNo.321
国内向けと同じ右ハンドル車両が掲載された最初の英文カタログ
$1959PORSCHE356Aのブログ-55年英文表紙

※裏面スペック: 右端には沖縄・台湾・タイ・トルコ・アルゼンチン・ブラジル・チリのトヨタ代理店の住所が印字されている。
$1959PORSCHE356Aのブログ-55年英文裏面スペック

●1957年10月発行 トヨペット クラウン カタログ (A4判・英文4つ折)
トヨタカタログNoの印字なし
米国トヨタの設立に伴い発行された最初の左ハンドル車RSLのカタログ。この時代の輸出用カタログの表紙には和装の女性が描かれているものが多い。エンジン出力は国内向けより高い60psに引き上げられているものの、米国での高速運転ではオーバーヒートが続出し高速安定性も同時期のアメリカ車には遠く及ばず販売は低迷した。
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※中頁:「トヨペットはあなたのペット」のコピーと共に左ハンドルRSLが描かれている。
$1959PORSCHE356Aのブログ-57年英文中頁



★オマケ(その1): 萬代屋(現バンダイ) 1/20スケール 1955年トヨペット クラウンRS
一定期間内の破損は無償修理するという萬代屋の保証制玩具第1号。商品番号300。当時定価:不明(調査中)。発売時期は1956年初頭(?)。写真の個体に付いている保証券には昭和31年6月30日まで有効と記載されている。フロントウインドーにセンターピラーがないのが惜しまれるが、実車同様、歴史に残る萬代屋の逸品。箱絵は1955年の英文カタログの表紙画を真似て描かれている。

付属の説明書には次のように記載されている。
お父さま・お母さまにお願い!トヨペット・クラウン・・・この自動車は1956年型の国産車トヨペット・クラウンを模型化したおもちゃです。トヨペット・クラウンは東洋一の自動車工場と云われるトヨタ自動車名古屋挙母工場で流れ作業によって大量に生産されています。いままでのおもちゃの自動車は、すべて外国の自動車をモデルとして居りましたが、日本でもこのような美しいスタイルと素晴らしい性能を備えた、自動車が出来るようになりましたので、国産車の優秀性を、皆様に再認識して戴き、又愛用して戴くため、技術陣を動員して精巧な、しかも堅牢を誇る良心的な玩具を作りました。どうか可愛いお子様達にこの話をして戴き、永く愛用して遊んで戴くようお願い致します。
そのため、もし期間内に破損しました場合は、その自動車と添付の保証券を一緒に御送付下されば、二週間以内に完全修理して御返送致します。注意 御送付料は自己負担、御返送料は弊社負担 株式会社 萬代屋


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★オマケ(その2): 萬代屋(現バンダイ) 1/20スケール 1956年トヨペット クラウン デラックス
オマケ1を実車のデラックス(RSD型)に改めた製品。箱絵は1955年12月発行のカタログのイラストが流用されている。
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★オマケ(その3): トヨタノベルティ 1/17スケール 1955年トヨペット クラウンRS
1955年1月の実車発表会で来場者に配布されたスケールモデル。ボディはプラ系素材。発表会来場者にアトランダムに配布されたが、カラーバリエーションが5種類程度あり。
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★オマケ(その4): トヨタノベルティ 1957年45回転ソノシート
クラウンデラックスと初代コロナのイラストと共に「やがて一家に一台」の文字。まだクルマは高嶺の花で一家に一台と言える時代ではなかった。収録曲は「花かげ」「どんぐりころころ」「夕焼こやけ」の3曲。
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★オマケ(その5): 1957年 トッパンの愛児絵本1才-3才「じどうしゃ」
当時の花形乗用車として初期のクラウンデラックスが表紙に描かれている。3ナンバーは御愛嬌。
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★オマケ(その6): トヨタ自動車販売発行 取扱説明書
実車購入時に付いてきた取扱い説明書

●RS型用
1955年2月15日発行・A5判・43頁+定期点検手入調整表+シャシー給油表
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●RS型+RSD型用
1958年2月28日発行・A5判・55頁+定期点検手入調整表+シャシー給油表
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