★1963年ホンダＳ500 世界に誇るミニスポーツ　～自動車カタログ棚から 043

★1962年(昭和37年)10月ホンダ社報表紙【第9回東京モーターショーのホンダS500】

★ホンダスポーツ(通称エス)というと、私はその外観を模した遊園地用のゴーカートに子供の頃によく乗ったことを思い出す。多摩テック、朝霞テック、鈴鹿サーキットに併設の遊園地モートピアといったホンダ系列の遊園地は勿論のこと、1960年代には白樺湖ファミリーランド等の各地の遊園地にエスの子供用ゴーカートがあった。
あのゴーカートは正式にはホンダＳ50と言い、50ｃｃエンジンを搭載していたらしい。果たして、あのエスのゴーカートＳ50は現存している個体があるのだろうか。

●ホンダ系列遊園地パンフレットの【ホンダＳ50ゴーカート】

●1967年(昭和42年)夏、多摩テックにてホンダS50を運転する7歳の私 (右はその時の入場券)
親が撮ったホンダS50ゴーカートに乗る子供の頃の私の写真は他にも何枚か残っている。

★前項のホンダＴ360 の記事で紹介した通り、ホンダは四輪進出に向けて、1962年(昭和37年)10月の東京モーターショーにホンダＳ500・Ｓ360のオープンスポーツとＴ360の3台を発売予定として出品した。
Ｓ360はスポーツカーとしては排気量がミニマムに過ぎること、軽としてはトラックＴ360を発売したことなどから試作車のみの幻と終わり、Ｔ360に遅れること２ヵ月の1963年(昭和38年)10月、第10回東京モーターショー開催と同時にＳ500（型式ＡＳ280型）のみが発売された。発売価格は45万9,000円であった。
その後、S500はS600、Ｓ800と漸次排気量を増やし、更にＳ600以降はクーペボディも追加されたが、ディテールは異なるもののＳ500と同じ基本デザインのまま1970年5月まで生産された。言うまでもなく、ホンダ・エスシリーズは1960年代の日本を代表するスポーツカーの1台である。

★1964年（昭和39年）3月 には排気量を増やしたＳ600に変更されたため、Ｓ500の販売期間は1963年10月～1964年2月の僅か5ヵ月のみであった。但し、実際の納車時期は殆どの車両が1964年に入ってからだったと言われる。Ｓ500の生産台数は500台強と言われ、現存する車両もホンダ・エスシリーズの中では最も少ない(現存車両ゼロと言われる試作だけで終わったＳ360は除く)。

★ホンダスポーツは 2輪専業メーカーだったホンダらしく、本田宗一郎の発案でファイナルドライブにはローラーチェーンが使われ、アルミ・ダイキャスト製のチェーンケースがトレーリング・アームを兼ねた独特のリア・サスペンションを採用した。Ｓ800前期まで採用された有名なチェーンドライブ方式である。
エンジンは、軽トラックＴ360同じ水冷直列4気筒4キャブレターのＤＯＨＣで、Ｔ360に続く日本で2番目のＤＯＨＣエンジン搭載の市販車であった。

【主要スペック】
全長3300㎜・全幅1430mm・全高1200㎜・ﾎｲｰﾙﾍﾞｰｽ2000mm・全長3300㎜・全幅1430mm・全高1200㎜・ﾎｲｰﾙﾍﾞｰｽ2000mm・車両重量725kg・水冷直列4気筒DOHC531ｃｃ・最大出力44PS/8,000rpm・最大トルク4.6kgm/4500rpm・最高速130km/h

●1962年10月　ホンダ四輪発売予告カタログ（表紙はS360）