★1961年コニーグッピー　可憐な熱帯魚　～自動車カタログ棚から 037

★名古屋市 に本社を置く愛知機械工業は、現在、日産系列のエンジンおよびトランスミッションの製造メーカーだが、かつて1950年代には三輪トラック「ヂャイアント」、1960年代には軽四輪商用車「コニー」を自社ブランド製品として生産していた。
コニーグッピー(型式AF8)は1961年(昭和36年)4月に東京・名古屋・大阪で発表会が行われた後、翌5月より市販され、1963年3月までの2年弱の期間に4645台が生産された。
当時の軽規格360ccの半分強の排気量199ccで岡村製作所のトルコン・オートマを備え、スクーターと軽自動車の中間需要を狙った超小型のピックアップトラックであった。
乗り心地を重視し四輪独立懸架であったが当時の日本の悪路での使用には向かなかったことから、当初の月産目標5000台には遠く及ばないまま、ひっそりと消えていった。
グッピーの残存パーツにより、日産がダットサン・ベビーの名で1965年開園の横浜・こどもの国の子供自動車を製造した(苫小牧市科学センターに現存)。

★東京国立近代美術館 にもその作品が収蔵されているジュエリー・デザイナーである宮田脩平氏(1933－)は、1960年代を中心とする約10年間のみ愛知機械工業で自動車デザインに携わっていた。愛知機械工業のコニーブランドの自動車の殆どが宮田氏による作品でコニーグッピーのデザインも氏の手によるもの。
グッピーは開発当初、前2輪・後1輪のメッサーシュミットのような三輪レイアウトだったものが、リアに荷台を付けるには後1輪は厳しいとの宮田氏の意見により四輪に変更された。
宮田氏はグッピーをデザインするために1959年から1960年にかけて新大久保の氏の事務所から名古屋の愛知機械工業まで国鉄・特急こだまで片道4時間半かけて通われたという。

★軽スポーツカー に荷台を付けたようなグッピーのデザイン・コンセプトは、「スタイルと居住性を重視した上で荷箱も装備した超軽量四輪車」であった。前半分のスポーツクーペ的部分と後ろのピックアップ荷台部分との結合(後傾したリアピラー等)がデザインの要となっている。当時は殆ど例を見なかったフェンダーラインと一体となったボディ同色一体型バンパーもグッピーの大きなデザインポイント。
グッピーの「軽スポーツ・ピックアップ」のコンセプトは1983年にスズキが発売したマイティボーイにも見られる。

【主要スペック】 (型式AF8)
全長2615mm・全幅1265mm・全高1290mm・ﾎｲｰﾙﾍﾞｰｽ1670mm・車両重量290kg・強制空冷2サイクル単気筒199cc・最高出力11ps・RR駆動・トルコンオートマ・乗車定員2名・最大積載量100kg・燃料消費率30km/L・最高速80km/h・発売価格225000円

●コニーグッピー愛知機械工業発行ポストカード2種
Ⅰ）1961年5月発売時販促用

Ⅱ）1962年年賀用

●1961年コニーグッピー　カタログ　(フルカラー14頁＋)
「いつでも、どこでも、だれにでも・・・こんな言葉がぴったりあてはまる車、雨の日も、風の日も、狭い小道も素晴らしいハイウェイも全く自由に、しかもお年を召した方にも女性の方にも簡単に運転できる車、こんな夢を満たそうと永年に亘る研究の結果生まれたのが、このコマーシャル・クーペ　コニーグッピーです。日本で生まれた四輪車の中では、最も可愛らしく、最も軽快な車コニーグッピーは、その名の示すごとく、フレッシュでスポーティーなムードを持ち、氾濫する車の波をスイスイと縫って泳ぎ抜く素晴らしさ・・・その上お値段がスクーター・オートバイなみとあってはゴキゲン、これこそあなたの自家用車です」